ロッテ清水将海コーチが大事にしている事。「足を使って、目で確認をしろ」

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【練習で選手たちの動きをジックリと観察する清水コーチ】

  千葉ロッテマリーンズ 清水将海バッテリーコーチ人生の転機は高校一年の冬に訪れた。当時、東農大二高を指揮していたのは斎藤章児監督。内野と外野をメインにプレーをしていた清水コーチは捕手へのコンバートを打診される。初めてのポジション。猛特訓が始まり2年夏の本格的に捕手デビューを果たした。

 「正直、嫌だなあと思っていたけど仕方がないという感じ。ただ今思うとキャッチャーをやっていなかったらプロに入っていない。性格的にもキャッチャーだった。若かった自分の可能性を大きく広げてくれた」

 清水コーチは人生の分岐点となった若かりし日を振り返る。その時に斎藤監督から言われたのが「常に自分の足を使って、自分の目で確認をしろ」と言う事。捕手として、とにかく人よりも多くの投手のボールを受けることで投手の状態と性格を把握する。相手打者についても情報だけを頭に入れるのではなく出来るのであれば実際に見て分析をする。頭でっかちになりがちなポジションにあって自分が直に目で見た事、肌で感じたことを大事にし、試合において使える材料を集める地道な作業と努力の大切さを伝えてくれた。それは捕手だけではなくその他の職業や社会でも生きることだと知ったのは、年を重ねてからになる。

 「指導者になって特に思う。自分の目でしっかりと選手たちを見てあげて、状況を確認することが大事だと思っている。そして次にどういう言葉をかけようか、どんなアドバイスをするのが適切かを考えて決める」

 指導者になった清水コーチは選手との対話を大事にすると同時に練習の時から動きをジックリと観察するようにしている。その中で選手にどのようなアプローチをかけるかを決めて行く。

 シーズン中に大事にしていることの一つに試合後のミーティングがある。実際に試合を終えて捕手が打席に入る打者から感じた事、そして受けた投手陣のボールの状況について話し合う。選手と一緒になり試合前のミーティングとの相違を洗い出し翌日の試合に反映させる。それはまさにデータだけではなく自分の目で手に入れた情報を絞り出す作業であり試合後のミーティングにおける地道な話し合いが翌日の勝利を呼び込んできた。

 「捕手というのは受け身のポジション。だからこそ、その中で一歩引いて常に冷静でいないといけない。常に視野を広くあるためには日ごろから自分の目で確認した事が大事な判断材料となる」

 高校一年の春に恩師から教えてもらった言葉を、今は伝える側に回っている。そんな一生忘れることのない大事な言葉を伝え、プロ野球の世界に入る可能性を広げてくれた恩師は今年4月に急逝した。79歳だった。

 捕手はチームの勝敗に直結する扇の要となるポジション。指導にするにあたっては妥協なく熱意の限りを注ぐ。足で稼ぎ、自分の目で見た情報を選手に提供し、育てる。いつも胸には捕手という生涯の仕事へと導いてくれた恩師の言葉がある。意志を受け継ぎ、若き捕手たちに伝え続けて行く。そんな清水コーチにあえて聞いてみた。人生がもう一度、あったら捕手をしますか?「絶対に嫌だね。怒られてばっかりだし、キツいよね。でも、野球をやったら結局はキャッチャーだろうね」。笑いながら答えてくれた。

文・千葉ロッテマリーンズ広報メディア室 梶原 紀章(かじわら・のりあき)

 1976年8月18日生まれ、大阪府吹田市出身。東京都私立郁文館高校〜関西大学。99年に産経新聞社に入社後、サンケイスポーツ運動部に配属し、00年にオリックス担当、01年から04年まで阪神担当。05年に千葉ロッテマリーンズに入団し主に広報業務を担う。11年にはチケット営業に異動。12年7月に広報部門に再び戻り、現在は広報メディア室室長
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