千客万来 渋野はギャラリーパワーを再認識

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

スタンレーレディスゴルフトーナメント 東名カントリークラブ(静岡県)最終日

 静かなスタート。渋野日向子が、10番でチップインバーディーを決めた。通常なら、大歓声があがり、さらにサンデーチャージの戦闘モードが高まるシーン。しかし、史上初の無観客試合でも、雄大な富士山が祝福のエールを送ったようにも感じる。

 「試合っぽくない感じがしましたけど、とにかくスコアを出そう。あのバーディーでエンジンがかかった」とにっこり。9ホールのプレーで、4バーディーを奪取した。16番でもチップインバーディーを決めており、もしもギャラリーがいたらどんなに喜んだことだろう。

 この日は出場61人中で、ベストスコアの32をマーク。25位タイから、6位タイへ一気にジャンプアップした。ターゲットと宣言した賞金女王争いでも、首位の申ジエとの差を、約608万円に縮める。「がんばって、よかった」といい、「賞金女王になるためには次も、かなり大事。残り5試合、すべて上位争いをします」と話した。

 台風19号の影響で中止になった12日は終日、ホテルの自室で過ごしている。「ベッドで、ゴロゴロして、あとはご飯を食べて…。また、DVDを見ました。ボビー・ジョーンズとフランシス・ウィメットのです。最後は、感動して泣いちゃった」という。そのシーンで、「ボビー・ジョーンズは、プレッシャーがかかってくると、短いパッティングでも手が震えるというのがあった。あっ、わかる」。ゴルファーとして、共感できることがたくさん。

 一方、この日を振り返って、「やはり、私はギャラリーさんが、たくさんいるほうが燃えます。ナイスオンとか、そういう声援が改めて、ありがたいなぁと感じた」としみじみ語っている。名選手へさらなる成長を与えるのは、ギャラリーの熱視線と、大歓声。だからこそ、懸命に練習を繰り返す。お客さまは、やはり神さま―である。 (中山 亜子)
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