【フットサル日本代表】東アジア選手権の“連勝突破”に確信を持つブルーノ・ジャパン。「今いる最適な選手の集合で、ベストなチョイスになっている」

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【軍記ひろし】

日本サッカー協会(JFA)は8日、中国のオルドス市(中国国内モンゴル自治区西南部に位置する地級市)で行われるAFCフットサル選手権トルクメニスタン2020東地区予選に向けた日本代表メンバー14名を発表。

タイ代表との国際親善試合を戦ったメンバーから森洸、田村友貴、芝野創太、堀米将太の4人が外れ、スペインリーグで戦う清水和也、名古屋オーシャンズの安藤良平が招集。海外組の逸見勝利ラファエル(ベンフィカ)、平田・ネト・アントニオ・マサノリ(ADフンダオ)は選ばれなかった。また、メンバー争いの当落線上とされていた選手のうち、その座をつかんだのはヴォスクオーレ仙台の森村孝志。その理由は何か。

会見を行ったブルーノ・ガルシア監督は、今回の選考の意図や試合に向けた意気込みを語り、記者団との質疑応答を行った。

韓国戦には十分すぎるくらいの準備をして臨む

◆ブルーノ・ガルシア監督(フットサル日本代表)

コンニチハ。いろんな活動があるなかで時間を調整してきていただきありがとうございます。メンバーリストの構成をお話しします。GKは2名(ピレス・イゴール、関口優志)、フィクソは3人(滝田学、皆本晃、安藤良平)、ピヴォは3人(森岡薫、星翔太、清水和也)、もう一人、アラでもピヴォでも稼働してもらおうと思っているのが森村孝志、アラでもフィクソでも稼働してもらおうと考えているのが吉川智貴、それ以外の4人(西谷良介、仁部屋和弘、室田祐希、加藤未渚実)はアラ、サイドのポジションで通常通り稼働してもらおうと考えています。ここ最近のキャンプの招集メンバーから大きく変化はしていません。そのなかで、清水和也選手はスペインリーグに所属しています。所属クラブとの相談のなかで、試合が行われるFIFAデイズ以外の期間も参加できるように送り出してくれたので、事前のキャンプから合流することになります。

もう一人、フィクソの安藤良平選手ですが、これまで数多くの招集をしていましたが、最近は招集できていませんでした。ケガとクラブの稼働、過密スケジュールの状況を総合的に考えて、負荷を掛けない方がいいだろうということで、戦略的な意図で招集していなかった背景があります。14名のうち11人は、代表チーム、A代表としての公式戦に出場経験があり、加藤未渚実、安藤良平、森村孝志は、今回が公式戦の初招集となります。リストについてはそういった構成になっています。

今大会の目的ですが、ワールドカップがある4年スパンが一つのサイクルとなります。このサイクルのなかで、今回、向かう大会は一番大事なものだと思っています。それはアジア選手権に向かうための一つ目のカギだということです。その目的は、来年、トルクメニスタンで行われるアジア選手権の出場枠を確実に取るということ。そのなかでの目標としては、最短でグループを勝ち抜いて、早々に決める。そこを狙っていきたいと思います。2連勝することで、最短距離を取れると考えています。

その相手についてですが、この大会で3つの国がアジア選手権の出場権のを得るなかで、私たちのグループにはマカオと韓国がいますが、両方のチームと対戦して知っています。マカオは前回の東アジア選手権で対戦しています(2017年11月 ◯11-0)。チームのスタイルとしては、特に固まった規律を守って意図的にやっているというよりも、閉じ込もった(守備をする)ところからカウンターを狙う。そのために、相手の混乱した状況を活用して仕掛けていくというチームです。なので自分たちがボールを持っている時間が長くなると思うので、そこでどういったパフォーマンス、どういったクオリティーのプレーをできるかがカギです。

韓国は、マカオとは全く異なるプロファイルを持ったチームです。前回のアジア選手権本大会のグループリーグで対戦して(2018年2月 ◯5-2)、非常に厳しいゲームをしました。この韓国は、前回の東アジア選手権(2017年)に(日本とは)別グループで1位抜けをして本大会に出てきたのですが、スタイルとしては、非常に堅固な守備からのカウンターを得意としています。彼らの力は、直接対決で難しいゲームになったということだけではなく、今回の韓国代表の70%から75%を構成しているであろうソウルのクラブチーム(スターFS ソウル)が、(8月に行われた)アジアクラブ選手権にも出場していて、いいパフォーマンスをしていた情報もあります。そういった力をつけてきていることに加えて、どのスポーツでも日韓戦となれば厳しい戦いになることは承知しているので、私たちとしては、十分すぎるくらいの準備をしてこのゲームに臨みたいと思います。

最後に、22日にマカオ、24日に韓国と大会を戦うわけですが、それに向かって、15日に国内キャンプを開始して、17日に現地に飛び、そこからそこから試合前までトレーニングで準備します。

以下、質疑応答。

安藤は守備とバランス、清水はフィニッシュを期待

──「十分すぎるくらいの準備をして臨む」というお話がありましたが、これまでのチーム作りを踏まえて、最後にどんなところを積み上げて大会に臨もうと考えていますか?

マカオと韓国は、違うプロファイルを持っているチームなので、準備も少し違ってきます。韓国戦ということに視点を置くと、私たちがいつも示してきているフットサル日本代表チームのアイデンティティをきちんと出すことをできれば、それは相手への素晴らしい対策になると確信しています。

そのためにプレーモデルをしっかりと体現することと、ただ具体的には、トランディション。攻撃から守備へのトランディションは十分な準備が必要だと思っています。韓国がまさに、守備からの攻撃を強みをしているので、その部分を特に強調して準備したいと思っています。

──清水和也、安藤良平は戻ってきた印象ですが、彼らに特に期待することはありますか?

自分たちとしても、帰ってきてもらえたという感覚があります。清水については、私が就任した当初から軸に据えている選手、中核選手の一人ですし、安藤選手は、その立場を、2018年にアジア選手権以降、勝ち取っている位置付けです。2人ともチームの骨格をなすフィクソとピヴォの選手です。安藤選手は守備面の強さとバランス、安定感をもたらすところにすごく期待したいです。清水選手は、やはりピヴォらしい、フィニッシャーとしての役割に期待しています。

──マカオは格下で、韓国はそれよりは上という印象ですが、韓国は日本が試合のない23日に試合をしているので(相手は連戦となるために)日本に有利な部分があると思います。プレーオフまで持ち込まないことがマストではあると思うがどうか。

レベル差があるというのは、慎重な考え方をしつつ、多少、そういうふうに捉えられる側面はあると思います。なぜそのようなことを言うかというと、今日のフットサルは、これまでの成績でこうだったからということが全く当てにならないくらいゲームが難しくなっていて、サプライズがそこかしこで起こることがたくさんあるので、そういう捉え方は基本的にはしていません。ただそういう前提のなかでも、日本の方が、経験と実績において3チームのなかで一番だろうと自覚していますし、そのことを20m×40mのピッチのなかで確実に示すことが、本当に大事だという気持ちです。

カレンダーの側面でも、私たちの方がやりやすいような時間間隔ではありますが、ただ(日本とマカオの試合が)大会の第1試合ということもあるので、その入り方には気をつけて、いい準備をしないといけないと思っています。ただどちらにしても、相手2チームをリスペクトしつつ、自分たちがやるべきことは、これまでと同じように、自分たちの最大パフォーマンスを見せることができれば、きっと上回れるだろうという信念のもと、準備をしていくということに尽きると思っています。

森村が選ばれ、逸見、平田が選ばれなかった理由は?

──14人のメンバー選考はギリギリまで迷うものだと思いますが、2日前までのかみすセントラルでは、森村孝志選手が高いパフォーマンスを示していました。そういったところも、選考の最後の一押しになっているのでしょうか。メンバーから外れた選手もいますが、当落の決め手となるような要因は何でしょうか?

おっしゃる通り、これまで招集してきたメンバーの人数を考えても、そこから14人を選ぶことが本当に難しくなってきています。ただ難しさがあることこそ、自分たちとしては喜ばしいこと。選考が難しくなるくらいに、力をつけている選手が増えてきているということです。そのなかで最終リストを作るためには、ものすごく多くの観点が必要になります。先ほどお話しした通り、14人のうちの11人は、これまで中核となってコンスタントに支えてきた選手。3人は、これまで呼ばれてきていて、中核に近しい選手。

もう一つはポジションバランスを大事にしています。森村選手の例でいうと、もちろんクラブのパフォーマンスが高いということは一つの要因ではあるのですが、左利きで、アラでもピヴォでも稼働できることは、他のメンバーとの組み合わせ、全体バランスを考える上で重要になりました。それに加えて、他の選手にも言えることですが、当然、クラブでのパフォーマンスは考慮すべき大きなポイントですが、実際に招集して、代表チームでプレーしてもらったときに、対外試合を含めて、その選手の稼働の仕方、パフォーマンスが代表チームに則したものか、適したものになっているかも非常に重要なポイントになっています。

クラブでは活躍して素晴らしいパフォーマンスを見せていて、潜在能力も高いとしても、代表チームという一つのチームとしてどうなのかというのは判断材料になります。そんな状況のなかで、できる限りのFリーグを直接見ていますし、試合を見るということでは、試合のビデオを入手して全試合を見て、どういう状況になっているかをつぶさに追ってきているので、今お話ししていた観点に加えて、現状のパフォーマンスを考え合わせて、頭を絞り続けた結果のリストになっています。ですからきっと、今いる最適な選手の集合で、ベストなチョイスになっていると思っています。

──逸見勝利ラファエル選手、平田・ネト・アントニオ・マサノリ選手については、所属クラブとの兼ね合いで呼べなかったということもあるのでしょうか?

2人については、同じくくりでは話せないところがあります。共通している状況としては、FIFAデイズが21日から始まり、私たちの試合が22日なので、チームを離れることを許されてから試合までが1日あるかどうかというなかでは、タイトな状況があるというところです。

逸見選手については、クラブが今、チャンピオンズリーグを戦っている最中です。それに加えて、ここ最近まで、3カ月強、ケガでチームを離れている状況がありました。今はチームに戻って普通の流れで稼働していますが、ただチーム状況が非常に混み合っているということがあります。そのなかで、清水選手はクラブとの話し合いのなかで、事前キャンプが始まる15日からチームを離れてもいいと言ってもらえましたが、逸見選手はそれを実現できない状況がありました。ですから適した招集にならないという判断です。

平田選手は、FIFAデイズ、チームが選手をリリースしてくれるタイミングが迫っているというところがあります。さらに彼は、チームを移籍してから、私たちが期待している通り、チームの中軸になって活躍して、そのポジションを確固たるものにしようとしているところなので、このまま進んでもらって、その先の機会を狙ってほしいと考えています。

──4年前のアジア選手権でW杯出場権を逃してしまいました。そのことを気にしている選手も多いと思いますが、今回の代表チームで、そのことについてメンタル的なケアや話をされていますか?

その2016年大会の直後に私は来日して就任したのですが、そのときから次のサイクルを見据えたときに、働き掛けが必要だなと思いながら、それ以来、働き掛けを続けてきたことでもあります。

ただ一方で、重要なことは、選手がナーバス感を持って、そこに飲み込まれそうな感じがする、あるいはそういう兆候を見せている選手は、この最適なメンバーに入っていないですし、入ってこれません。2016年のことは過去のことです。過去を忘れてはいけないですし、分析して学ばないといけないですが、過去であることは厳然たる事実です。私は新しいサイクルから就任して、この新しいサイクルのなかでの最高を目指していくというマインドで来ています。その視点で選んで、一緒に働いて、取り組んできた選手たちがこの14名ということを考えると、その部分についてはずっと意識して取り組んで、乗り越える準備ができた選手、最適な選手だと確信しているので、このメンバーと一緒にそれを変えていきたいと思っています。
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