バタフライ世界記録保持者・知的障がい者水泳 東海林大の競技へのこだわりと素顔
【(C)Masashi Yamada】
知的障がい者水泳の未完の大器 東海林大(とうかいりん・だい)
いえ、短い距離の自由形が得意だったかな。小6の冬に育成コースから選手コースに進み、中学ではやはり兄と同じ水泳部でも一緒に厳しい練習に取り組みました。当時は、50m自由形で全国大会に出場した美しいフォームの長身選手に憧れて、『自分も絶対、全中にいくぞ!』と心に決めていたんです。でも、夢はかないませんでした。
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【(C)日本財団パラリンピックサポートセンター】
【(C)Masashi Yamada】
国内にもライバル選手が多くいますね。
リオパラリンピック日本代表の中島啓智選手とは切磋琢磨できるいいライバルです。あとは、過去に同部屋の選手の話が楽しくて、予選落ちしたその選手の分まで頑張れたということもありました。他に、リオパラリンピック出場権を逃した3ヵ月後の日本選手権では、悔しさをバネにしようという気持ちになれて存分に楽しむことができました。その結果、好記録を出せたという経験もありますね。
海外遠征では食事も楽しみだそうですね。
そうなんです! もちろん野菜や糖分のバランスをもちろん考えて食べますが、バイキングでは欧米の朝食に欠かせないコーンフレークをお皿に多種類盛るのが楽しみなんです。オーストラリアで焼き立てのパンケーキを食べられたときは感激しましたし、アメリカ合宿で食べたオムレツも最高でしたね。あとは、オレンジジュースは必ず飲みます。みかんが好きということもありますが、僕の名前は大(だい)ですから、橙(だいだい)はラッキーカラーなんですよ!
【(C)Masashi Yamada】
まずは、たくさん寝ることですね。気持ちがきついと感じたときは、ウォークマンで好きな音楽を聴いたり、スマホで楽しいときの写真を見返すということをやっています。70キログラムの体重を管理しながら、オフの日には大好きなクッキーサンドアイスやジンジャーエールをいただきます。
「できたことノート」を書いているとか……?
以前父にすすめられて『できたことノート』をつけるようになりました。水泳のことだけではなく、「お母さんに褒められた」「昔から好きな仮面ライダーの映画を見られた」とか。よかったことや楽しかったことを、ちょこっと書けばいいんですが、実際に書いてみると、けっこうなボリュームになってしまうんですよね。でもノートをつけ始めてから、楽しく泳げるようになった気がするので、これからも続けていきたいと思います。
東京パラリンピックへの思いを聞かせてください。
まだ東京パラリンピックの目標を語る自信がないんです。一度ノートに書いてみたのは、「世界一になるよりも、世界最高2番になる」です。順位は気にせず、予選ではファイナリストに残れるように頑張って、その次も最大限の力を出し切ることでしょうか。楽しむことが一番ですね。
text by Asuka Senaga
photo by Masashi Yamada
※本記事は2019年9月に「パラサポWEB」に掲載されたものです。
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