軍記ひろし

【フットサル日本代表】2020W杯へ向けて、ブルーノ監督と日本フットサルが挑む一大プロジェクト。「チーム作りは70%に達している」

SAL

日本サッカー協会(JFA)は12日、今月23日と25日に行われるタイ代表との国際親善試合に臨む日本代表メンバー16名を発表した。

会見を行ったブルーノ・ガルシア監督は、今回のメンバー選考の意図や試合に向けた意気込みを語り、記者団との質疑応答を行った。

タイとの試合は大きなプロジェクトの最初のステップ

◆ブルーノ・ガルシア監督(日本代表)

コンニチハ。まずは今回、こういった機会に集まっていただき感謝しています。ありがとうございます。こうして今度のトレーニングキャンプと、その先にある国際親善試合(に向けたメンバー)を発表できてうれしく思います。

今回の試合は、日頃フットサルを応援してくださっているファンの方の前で試合をできる絶好の機会ですし、初めて来てくださる方もいると思います。そうした方にファンになってもらう意味でも、フットサル界にとって重要な機会だと思っています。非常に多くのフィニッシュや1対1など、ダイナミックな展開を必ずお見せしたいと思っています。

前回、日本で行った国際親善試合は、(2016年の)ワールドカップで優勝した当時のチャンピオンのアルゼンチンと(2018年1月に)戦いました。同時に、前回のAFCフットサルアジア選手権に向かう直前の壮行試合という印象もありましたし、素晴らしいゲームができたことで(アジア選手権で)いい戦いができたと思っています。

自分が就任した当初から、日本での国際親善試合の重要性であったり、世界のどこの国と比べても素晴らしいファンがいるという確信を持っています。そしてそれは、この代表チームだけではなく、アンダーカテゴリーや女子など、様々なカテゴリーでも、日本には素晴らしいサポーターがいることを常々感じながら過ごしてきたので、今回の機会はすごくうれしく思っています。

タイというチームは、アジアの中ではではトップレベルの国ですし、そういう強豪国を迎えられる機会を作っていただいた協会の皆さんにも感謝していますし、その分、素晴らしい試合をお見せしたいと思っています。

今回のトレーニングキャンプとゲームは、16日から始まって、25日の2戦目の名古屋までの期間になります。これは、大きく分けて2つのパートがあります。チームとしての準備、その準備の成果を発揮するのが2試合です。

このキャンプには、いくつかの目的があります。プライオリティが高いのは、10月に控えている、中国のオルドス市(中国国内モンゴル自治区西南部に位置する地級市)で行われるW杯に向けた予選(の東アジア選手権)があるので、そこに向けた準備という位置付けになります。

ここからの戦いは、アジア選手権の本戦にいくための予選ですし、その先にある本大会は、(リトアニアで2020年に開催される)W杯の出場権を得るためなので、大きな枠組みにおける大事な流れになっています。その大きなプロジェクトの最初のステップとして、同じアジアの中で、ここ数年間で良い成績を残しているチームを招待した形で準備をしたいなと思っていました。

タイとの関係性で言うと、今年2月にタイに招待してもらい、アウェイで2連戦を行いました。今回はそのお返しと言いますか、逆に日本に来てもらうことになりました。その試合では2勝した経緯があるので、タイもリベンジという強い気持ちを持って臨んでくると思います。タイは、フットサルという競技に対して、長い伝統と発展してきた強豪国として発展しました。メンバーもいい選手がそろっているので、間違いなく素晴らしいゲームになると期待しています。

タイの戦術的なところで言うと、ハーフから前線に押し上げる、あるいは前線からプレスを掛けてくる守備ですが、いずれのラインであってもアグレッシブな守備を行うことが特徴です。また攻撃では、3−1と4−0の2つのシステムをうまく使ってきます。3−1の場合は、ピヴォが前線で違いを生み出す形も持っています。さらにその中でも彼らのストロングポイントは、トランディション(攻守の切り替えの早さ)とセットプレーです。そこは気をつけないといけないですし、彼らが自信を持っているストロングポイントになります。この2試合はそういう強豪国に対して警戒しなければいけないですが、間違いなくおもしろい、フットサルの醍醐味が詰まった試合ができると思っています。

16名の内訳は7割の中核と3割の経験値が多くない選手

ここまでは全体の枠組みや準備、目的のお話をしましたが、ここからは具体的なメンバーを発表します。今回は16名を招集しています。

ゴレイロは2人で、ピレス・イゴールと関口優志、フィクソは4人で、滝田学、皆本晃、森洸、田村友貴、ピヴォは4人で、森岡薫、星翔太、芝野創太、森村孝志、アラは6人で、吉川智貴、仁部屋和弘、室田祐希、加藤未渚実、堀米翔太です。

ただし、ポジションごとに発表しましたが、これは固定ということではありません。例えば田村であれば、フィクソと言いましたが、ゲームによってはアラでプレーすることもあります。森村であれば、彼はピヴォですが、状況によってはアラでプレーすることもあります。

この16名の内訳を説明すると、70パーセントは中核です。多くの時間をキャンプや海外遠征で過ごしてきた選手と、残り30パーセントの、そこを争っていく選手で構成されています。今お話した30パーセントの選手とは5名の選手のことです。その中の森、田村は代表のユニフォームを着て試合に出場することが初めてとなります。芝野は、私が来てからの2年間では初めての試合となります。それ以前には2試合を経験しています。堀米はU-25のメンバーで臨んだインドアゲームズで一緒に国際親善試合を経験しています。森村は、ポルトガルとドイツと戦った欧州遠征の際に招集して国際経験を積んでいますが、彼らは70パーセントの選手に比べると経験値はまだ多くはないですから、30パーセントに入っているということです。

16名は、国内のみの選手から構成されていて、Fリーグの7クラブから招集しています。プラス3名、逸見勝利ラファエル、平田・ネト・アントニオ・マサノリ、清水和也がスペインとポルトガルでプレーしていて、彼らのことは私の頭の中にあります。今回の試合はFIFAデイズ(FIFAオフィシャルマッチデー)ですが、今回は4日間しかないので、彼らの所属クラブから日本に来て試合をしてまた戻るということは現状では厳しいため、招集しませんでした。その意味では、この先にある東アジア選手権に登録できる14名の座を懸けてポジション争いをしていく構図もあります。

16名の国内組は、前回の国内キャンプにも全選手が招集されていますし、次のアジア選手権に向けて、一つの道を順調に進んでいるという段階です。また、忘れてはいけないのは自分のリストの中にいるケガをしている選手です。ケガで招集できない選手、ケガからの回復段階で、順調に復調していますがここでの招集は(見送った)という選手のことも忘れてはいません。

質問をお受けする前に、メディアの皆さんの存在は、自分たちのことを知ってもらうためにも重要だと思っています。こういった大会があること、こんなにおもしろい試合があるということ、今、お話したようなことを、ぜひ多くの方に拡散していただいて、長岡と名古屋の試合に本当にたくさんのファンの皆さんに来てもらえるような協力体制を築けたらうれしいですし、間違いなくおもしろい試合をすることをお約束します。

実際のゲームを見てもらうことで、メディアや試合を観に来てもらうファン、代表チームが一つになって、最大の目標である2020年のW杯に向けての力を養いたいと思います。

日本代表は常に自分たちが主役となるチーム

──東アジア選手権の枠組みとアジア選手権本大会への出場権獲得の条件、大会のレベルなどを教えてください。

東アジア選手権という名前の通り、自分たちは東アジアのグループで、参加するのは7カ国あります。その7カ国のうち上位3カ国が、2020年に行われるアジア選手権の本戦への出場権を獲得します。7カ国が2グループに分かれ、日本は3カ国のグループに入りました。対戦相手はマカオと韓国になります。

グループの1位は自動的に出場権を獲得し、2位のチーム同士が3つ目の枠を争うというレギュレーションです。10月22日にマカオ、24日に韓国と対戦することが決まっています。そこでの目標は、グループのチャンピオンになること。1位になって、本戦の出場権を獲得したいと思っています。

マカオは前回の東アジア予選で戦っていますし、韓国とは本戦で戦いました。そこでの学びと、これからのスカウティングでしっかりといい準備をしたいと思っています。自分たちが一番注力しないといけないのは、この2試合ということです。ここでしっかりと勝利して本戦にいくために全力を尽くしている段階です。

──タイとの2試合は別々の選手を起用するのか、1試合目を経てブラッシュアップして2試合目に臨むのか?

現段階で言えるのは、2試合で異なるゲームプランを用意してあるということです。その一つは、目の前のタイ代表に勝つためのプランニングです。別のプランは、その先の東アジア選手権を想定したものです。

16名の選手のうち、70%を占めている中核の選手は、このゲームに勝ち、その先の東アジア選手権でのプレーにつなげるため(の準備)。一方で30%の選手たちは、その枠を争います。キャンプではなく国際試合でどういったパフォーマンスが出せるのかにも期待しています。その選手たちにもしっかりとしたプレータイム、チャンスを作ることを考えています。

──監督がここまで積み上げてきて集大成に向かっていくなか、チーム作りは何%達成されているのか?

先ほど、選手構成の話で70%と30%というお話をしました。その数字と同じくらいかなと思っています。100%に向けて、選手をフィルタリングして、中核組と新たな可能性がある選手への可能性を作っています。最終形である(選手構成の比率が中核と新たな可能性がある選手の)8:2に向けて進めている段階です。なので、今の完成度は70%だと思っています。

──前回のW杯予選(アジア選手権)で日本は敗れました。監督の下でいい結果を出すために何が一番大事か?

前回の敗戦は、決して忘れてはいけません。そこからの学びを持った上で、新しい希望を開拓していく。それを実行するマインドが一番大事だと思っています。間違いなく日本のレベルは、W杯に行かなければいけないところにあると確信しています。それに値する取り組みをしていますし、日本はW杯に出るに値する国です。失敗から学ぶこともありますが、希望と強いマインドを持って臨むことが大事だと思います。

大会ごとにアジアのレベルが上がっていることは間違いありません。そのいい例が、2016年のベトナムの躍進です。とは言え、忘れてはいけないのが私たちは日本です。アジアのなかで長年、フットサルを引っ張ってきて、称賛に値する結果を出しています。日々の取り組みも含めてそういう国です。前回、敗れているからといって、それが崩れ去るものではありません。アジアでそういう強い国だという誇りを持って臨むことが大事です。

──大事なチャレンジに向けて、木暮賢一郎コーチはどういう存在か?
(※会見の通訳は木暮コーチが担当)

すごく大事です。鈴木隆二コーチ、内山慶太郎GKコーチ、下地達朗フィジカルコーチなど、自分にとって幸運なことは素晴らしいスタッフに恵まれているということです。いつも言っていますが、身近なところに辿り着くためには1人でも可能かもしれません。遠い目的を達成するためには1人では難しいです。いいスタッフ、仲間がいることでそこに辿り着くことができます。選手経験、監督経験があるスタッフとの意見交換は、自分の目的を達成するためのプランにも大きな役割を担っています。

──今回の試合は地上波で放送されるため、今まで以上に多くの方にフットサルを観てもらう機会。選手個人の技術や積み重ねてきたグループの戦術など、どういった部分に注目して観てもらいたいか?

自分の哲学でもありますが、日本代表というチームは常に自分たちが主役となるチームです。どういうことかというと、自分たちがしっかりとボールを持って、主役としてゲームを進めていきます。ボールを保持し続けて、主役としてプレーするために2つのシステムがあります。それは3-1と4-0です。この2つのシステムをうまくトランスフォーム、ミックスしてプレーするのがスタイルです。

ボールを失ったとしても、できるだけ早くボールを奪い返します。トラジションというシチュエーションでも相手を上回ります。主役としてプレーするためには、守備でもそういうアグレッシブな守備をします。なので、ボールを持っていても持っていなくても、常に自分たちが主役。イニシアチブを取り続けるチームです。

セットプレーでも多くのバリエーションを持っているので、そこも注目して観ていただきたいと思います。今いったような部分は、日本代表として掲げているアイデンティティです。その部分を見どころとして、興味を持って観ていただければと思います。

(チームとして)ゲームを支配し続けることをお話ししましたが、そのなかで個人とし違いを出せる選手もいます。仁部屋和弘選手や、加藤未渚実選手、室田祐希選手といったサイドでの1対1を仕掛けることが得意な選手もいますし、森岡薫選手や星翔太選手といったピヴォで違いを出せる選手もいます。そういった選手の個の部分も重要です。観ていただく方たちにとっては、1対1やフィニッシュのシチュエーションを見ていただければと思います。

先ほど挙げた名前の選手は攻撃の選手ですが、一方では、自分たちにとって忘れてはいけない素晴らしいプレーヤーは、皆本晃選手や滝田学選手、吉川智貴選手、西谷良介選手といった40分間、途切れることない集中力でゲームを落ち着かせ、ゲームを作る選手。彼らの存在も価値があります。

また、フットサルというスポーツは攻守の切り替えが非常に早いですし、フィニッシュのシチュエーションが非常に多いです。なので、(ピレス・)イゴール選手や関口優志選手といった、GKの存在も非常に大きいです。GKがプレーに関与する割合も非常に高く、それも特徴の一つなので、彼らのパフォーマンスもぜひ観ていただきたいと思います。

自分たちの第1の目標は、このゲームに向けていい準備をして勝つことです。それと同時に、このスポーツの魅力やおもしろさを知ってもらいたいと思っています。今挙げたような個人の部分も重要です。来ていただくお客さんには、2、3時間の会場にいる時間で本当に楽しい思いをしてもらって、「次にいつフットサルの試合があるんだろう」という気持ちになって帰ってもらえるようなゲームをしたいと思います。

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