「FIBAワールドカップ2019」総括「日本人魂を選手たち自身から発して戦っていた」東野智弥技術委員長

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【JBA】

AKATSUKI FIVE 男子日本代表は9月10日(火)に無事、帰国しました。空港には多くのファンや報道陣に出迎えていただき、「このような結果でも、ファンの方が出迎えてくれたことはうれしく、一生忘れられません」とフリオ・ラマスヘッドコーチは感謝を伝え、それは選手たちも同じです。

「FIBAワールドカップ2019」は決勝トーナメントがスタートしました。優勝争いをするベスト8だけではなく、1次ラウンドを突破した16チームの中にもアジア勢とアフリカ勢はいません。また、日本が属したグループEを勝ち上がったアメリカとチェコはベスト8入りし、トルコはアメリカと延長戦までもつれる戦いをしており、死のグループであったと言えます。

この結果を踏まえ、ラマスヘッドコーチは「現段階ではヨーロッパ大陸とアメリカ大陸、そこにオーストラリアが加わり、彼らが世界を制しています。我々の次のステップは、そのレベルのチームとどれだけ競争できるかどうか。今大会に向けてその準備をしてきましたが、まだまだ先が長く、時間をかけて成果を出せるように全力を尽くしていきます。チームとしてもっと進歩していかなければなりません」と課題が明確となり、止まることなく成長していく必要があります。

経験の差も否めず、「ワールドカップはNBAやユーロリーグで戦っている選手ばかりであり、その環境にいる選手たちと戦うのは厳しいことです。我々はまだまだその部分でも成長しなければなりません。最後にワールドカップに出場したのも2006年であり、それを経験しているのも竹内公輔と譲次だけです。今年は今大会を含めて10試合の国際試合を行いました。世界と戦ったこの経験を無駄にせず、次につなげていかなければなりません」とラマスヘッドコーチは言います。勝利に届かなかった現実を受け止めつつ、「だからこそ、オリンピックで結果を残すためには、今から成長するために準備しなければならないですし、すぐにでもはじめなければなりません」

フリオ・ラマスヘッドコーチ 【JBA】

2006年、自国開催した世界選手権(現ワールドカップ)を経験した竹内譲次選手(アルバルク東京)は、「前回はグループリーグに優勝したスペインがいました。彼らは日本を相手に手を抜かず、本気で戦ってきていたことに驚きました。今回のアメリカも似たような感じがあり、それが世界のトップレベルであり、相手がどこであっても全力でくることは変わりません。それに対し、2006年とは戦う姿勢が違いました。前回はランクがひとつ上の相手と対戦するという意識でしたが、今回は一矢報いる気持ちで戦っていました」と当時と比較します。

竹内公輔選手(宇都宮ブレックス)もアメリカ戦に対し、「大敗して言うのもあれですが、世界1位と対戦できてすごく楽しかったです」と大差がついても、チームとして最後まで立ち向かっていったことに充実感を得られていました。「日本代表チームがここまで心を込めて、日本人魂を選手たち自身から発して戦っていたのは、長年代表に携わっていますがはじめてのことです」と結果にはつながりませんでしたが、戦う姿勢について東野智弥技術委員長も評価しています。

竹内譲次選手(アルバルク東京) 【JBA】

2016年のFIBAオリンピック世界最終予選もありましたが、世界No.1を決める真剣勝負に出場したのは13年ぶりのことです。「これまで世界と戦って来られなかった空白がこの結果を生んだと思ってます。この空白をなくしていくことが先決です。バスケットはチームスポーツであり、トレンドがどんどん変わって行きます。地下に潜っていてはそれが分からず、今回ようやく地上に出たからこそ知ることができました」と東野委員長が言うように新たな一歩を踏み出したばかりです。現在地を知ることができたからこそ、東野委員長は以下のように受け止めていました。

「インサイドの戦い、ディフェンスとリバウンドの部分はずっと同じ課題として挙げられてきましたが、それを払拭するためにすべきことは1〜3年程度の短期間で解決できるような話ではありません。他の国も課題を克服し、それぞれのスタイルを確立するのに30年を費やして今があるわけです。3〜40年の長期スパンでこの課題の解決に向けた育成、強化を継続してやり続けること。これ以外に方法はありません。この問題を解決するためにも、いつも地上に出て世界レベルの戦いをしていかなければ払拭することもできません。それをあらためて感じる大会でした」

幸い、男子日本代表は2020年東京オリンピック、そして沖縄が開催地のひとつとなる2023年FIBAワールドカップも出場権があり、追い風が吹いています。東野委員長はアンダーカテゴリーを含めて、「10年ほどのスパンでゴールデンエイジが出てきます。日本の歴史を見ていてもそれは明確です。しかしその出現を待ち、彼らに頼るのではなく、次々と出てくるような普及や育成、発掘できる方法論を取れば、日本が世界レベルに達するのに30年もかからないと思っています」とさらに日本一丸となり、急ピッチで変化させていきます。すでに、今大会で来年のオリンピックの出場権を獲得しはじめているチームに接触し、世界レベルと戦える準備をはじめています。

竹内公輔選手(宇都宮ブレックス) 【JBA】

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