【AFCフットサルクラブ選手権2019】なぜ名古屋オーシャンズはアジア王者になれたのか?密着取材したライターが読み解く2つの理由。
【AFC】
過密日程、ベンチ入りできる外国人枠がたった一つ、フエンテス監督就任1年目、死のグループ、負傷者続出、直前のエスポラーダ北海道戦での黒星……。
なぜ名古屋は様々な不安要素を跳ね除け、栄冠へとたどり着けられたのか。
タイ・バンコクでの大会を密着取材したライターが読み解く。
(取材・文/舞野隼大)
このままではアジア王者になれない
【AFC】
迎えたグループリーグ初戦、名古屋はアルダフラFC戦に先制点を決められてしまう。最終的には4-2で勝利を収めたものの、アジア王者への道のりが険しくなることを予感させた。
ただ、結果的にはこの2つの“ミス”はポジティブに働いた。
「僕たちができなかった部分、やれなかった部分が(北海道戦の)負けにつながってしまった。相手もやりきってきたというのもありますけど、ミスから(ゴールを)入れられた部分が結構多かった」(星龍太)
以前、星龍太は「“頭を冷やしながら心を燃やす”ことがオーシャンズの選手の宿命。(相手を受け止めきれず)カッとなると、泥試合のようになって審判とも言い合ってしまう。それがオーシャンズの負けパターンです」と語っていた。
うまくいかないときはある。ましてや、国際大会では審判のジャッジも、会場の雰囲気もいつもと違う。そうした要因から実力を発揮できずに崩れてもおかしくなかった。
ただ、今回の名古屋は違った。「まずは、自分たちがやるべきことをやろう」。試合前のロッカールームでは前向きな言葉が飛び交った。
結果論ではあるが、「このままではアジア王者になれない」という強烈な危機感を初戦の時点で共有できたのは大きかった。
名古屋を支えた「チーム力」とは?
【AFC】
「名古屋はどのクラブよりもチーム力が優れていました。短期決戦では試合での負荷を分散させるためにも、フィジカル面でもメンタル面においてもチーム力が重要になります。名古屋の選手たちは最後までフレッシュに走り回ることができていました」
最後までフレッシュに走り回れたのは、監督や選手の力だけではなかった。
今大会、名古屋は選手以外にもフィジカルコーチのナチョ、ドクターの西森康浩、トレーナーの新澤陽介、大橋央尚、通訳の宮澤孝、マネージャーの渡邊有輝の6人がスタッフとして日本から帯同していた。
ホテルの中には臨時の“メディカルルーム”が作られ、試合や練習が終わった選手たちはマッサージや治療を受けることができた。試合と試合の間が短い中では、コンディションをどれだけ回復できるかが生命線となる。フレッシュな状態を保てたのはサポート体制が整っていたからだろう。
大会前に怪我をして、万全の状態ではなかった安藤良平には、チーム練習とは別に特別練習が組まれた。練習が終わった後、トレーナーがつきっきりでボールタッチやアジリティーの状態を確認していた。安藤は2戦目から出場を果たし、決勝戦では見事なボレーでチームの2点目を叩き出した。
グループリーグを突破を決めた後のレストデーには、櫻井嘉人GMの発案で選手やスタッフによる食事会が開かれた。異国の地で、宿舎と試合会場を往復する日々はストレスが溜まるものだ。ノックアウトステージに突入する前に、選手の心身をリフレッシュさせるとともに一体感を高めた。
今大会のグループ3戦目のメス・サンガン・ヴァルザガン戦。前回大会で優勝したアジア王者との星龍太が退場してしまう。前回王者の前に万事休すかと思われたが、大黒柱の不在を全員で凌ぎ切って最後の最後に決勝点をたぐり寄せた。
星龍太を出場停止で欠いた準々決勝・バモスFC戦ではキャプテンの分まで奔走した笠井大輝だけではなく、全員が高い献身性を見せた。ピッチの外でも、名古屋の選手たちはベンチから声を張り上げて味方を鼓舞し続けた。
3大会ぶり、4度目のアジアチャンピオン。それは、やるべきことをやり続けた先につかんだ栄冠だった。
取材協力:INSIDE OCEANS(インサイド・オーシャンズ)
【INSIDE OCEANS】
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