有村智恵 愛のセッティングで発奮

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 18番の第3打。グリーン手前からのアプローチに息を飲んだ。ふわりとボールを浮かせ、絶妙なタッチ。あとひと転がりでチップインバーディーだったが、記憶に残るワンショットは、入場料を払ってもみたいーと思わせた。コースが選手を育てる。今大会の小樽カントリー倶楽部は、ツアー屈指の難コースの評判が高い。この日は2バーディー、1ボギーの内容だ。通算3アンダーとした。「大きなミスはしなかった。バーディーパットの感触がとてもいい」とパー3の7、17番をクローズアップ。

 さらに、セッティング担当・塩谷育代へメッセージを発信する。「きょうのピンの位置は、本気を出してきたなと感じた。それでも、40%ぐらいかなぁ」。さらに、続けた。「いつもより、かなり難しい。ボールの落としどころがすごく、せまい」とストレートな感想を話す。 

 有村と塩谷の駆け引きは、大東建託・いい部屋ネットレディスでも展開された。最終日、2位タイに終わり、「塩谷さんに負けました」という名言まで飛び出す。その後、当人から意見を求められたエピソードを語ってくれた。

 「選手のレベルアップを考え、心を鬼にしてセッティングしているーとうかがって、モチベーションが上がってきた。こういった環境が、渋野さんのような選手を生みだすのだと思う。チャレンジしがいがありますし、こういうセッティングで勝ちたい」。ほとばしる情熱を言葉にした。

 前週はオープンウイークに充て、英気を養っている。京都へひとり旅を。「目的を決めず、タクシーの運転手さんがすすめてくれたスポットをまわりました。楽しかったです。いい気分転換ができた」とほほ笑む。心の余裕が精神を研ぎ澄ませた。18番のアプローチがまさに、それだ。 (中山 亜子)
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