覚醒したシンデレラ 渋野日向子が2位浮上

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 魔法ではない。覚醒である。渋野日向子は勢いを加速。7バーディー、3ボギーの68をマークして、首位から1打差の2位タイで最終日は最終組でプレーする。「スコアボードに、同世代の名前があると、もっと頑張らなければと思う」。強いメンタルはすでに実証済みだ。

 序盤はバーディーとボギーが交互にやってきた。しかし、8番で転機が到来。4メートルのバーディーを奪うと、3連続バーディーを奪う。そして、「残り2ホールで連続バーディー」と活を入れた。大ギャラリーを沸かせる2連続バーディーフィニッシュで締める。

 周囲はシンデレラフィーバーが続く。今大会は、北コースで開催された1日の最高入場者を記録。コース周辺は早朝から大渋滞が発生するなど、人、人、人…である。ところが、時の人となった現在も、まったく変わることがないのが大一番での強さの秘密だった。

 「私には、獲得賞金1億円という目標があります。それに向かっている。また、ギャラリーの皆さんが多かろうが、少なかろうが、特に気持ちへ変化がない。緊張もしない。かといって、燃えるわけでもありません。フラットでいられます」。おそるべし、だ。このひとことに素晴らしさが集約されている。

 とはいえ、長い1日、ずっとカメラのファインダーにとらえられ続けるとは、どんな感じなのだろう。フォトジェニックのイボミに質問してみた。「とてもはずかしい。だから、カメラをみると笑うことしかできません」という。ただし、「私はプロゴルファー。スイングしたかっこういいショットを撮ってもらいたい」。プロ意識の高さがそのままワンショットに集約されるのだ。

 一方、この日は2020年東京オリンピック日本代表・服部道子コーチが視察に訪れ、渋野と初対面した。「これから、来年の6月30日までの1試合、1試合、ひとつのプレーも気が抜けない。あすもしっかりとスコアを伸ばさないと、優勝はありません。頑張ります」と話した。さらに、継続中の連続イーブン以上ラウンド数も歴代3位タイの23へ。記録にも記憶にも残るスーパースターは、ブレることがない。メジャーのタイトルが素晴らしい資質を呼び覚ました。 (中山 亜子)
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