驚異の回復力 渋野日向子、最終日も魅せる

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

一夜で一変。やっぱり、渋野日向子はシンデレラだった。ムービングデーのこの日、終盤4ホールで3バーディーを奪取。最高のパフォーマンスに、ギャラリーが沸く。通算4アンダー、9位タイで最終日を迎える。「きのう、38度の熱があった。病院へはいっていない。地元のかかりつけの先生へ連絡し、どんな薬が良いかをうかがって、母にドラッグストアで買ってきてもらって。ご飯を食べ、薬を飲んで10時間ぐらい、眠っていたかもしれません。おかげで、朝には35度台の平熱になりました」と打ち明けた。

 ちなみに、第1日は「プレー中、宙へ浮いたような感じ」とも。ベストショットは18番の第1打だ。「とても気持ち良く、クラブが振れたから」という。ところが、「第2打は、ほぼチョロだったけど」と苦笑する。そうはいっても、右ラフから残り97ヤードを、2.5メートルにつけ、バーディーフィニッシュ。

 「朝から、たくさんの人がいるなぁ。でも、なかなかバーディーがとれないのでイライラしているのかなぁとは思っていました。だから、15番で(この日の初バーディーは)やっときたという感じです。大歓声があがったので、すごくうれしい。お母さんに抱っこされているお子さんから、頑張ってと声をかけられ、たくさん手を振ってくださって本当にありがたかった」。声援をエネルギーに変換し、感謝をプレーで表現する。これぞ、真骨頂といえるだろう。

 一方で、密かに意識しているのは、20に伸ばした、ニチレイレディス第1日から継続中の、『連続イーブン以上ラウンド数』だ。記録の残る1990年以降ではイボミ、大山志保と並び、歴代8位へ躍進。「風がある状況でも、アンダーパーを出したことは良かった。この記録をプレッシャーに感じることはなく、あすも上位へ食い込みたい。いつも通り、攻めのプレーができれば−と思う」。サラリといってのけた。

 さて、多くのファンが期待するのは凱旋試合V。「これで、優勝できたら、本当にヤバい。トップ10へ入れれば、上デキです。全英女子オープン優勝で注目されているけど、そういうことはプレッシャーに感じていない。何とも思っていない。どうしてでしょうか」と、とびっきりの笑顔をつくる。首位から5打差とはいうものの、ひょっとしたら…。驚異の回復力の次は、全英女子オープンで大活躍した魔法の杖ならぬ、1Wがカギを握る。(森谷 清)
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