【アジア王者を目指すキミたちへ】大学フットサルとFリーグの“掛け持ち”を経て。「思い切り楽しんで、一瞬一瞬のプレーを大事に」(石田健太郎)

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2017年大会は、大学生としてU-20日本代表に選ばれた。石田健太郎は、多摩大学フットサル部に所属しながら、特別指定選手としてバルドラール浦安でFリーグも戦っていた異色の経歴の持ち主だ。

「大学の代表」を強く意識していた石田が、今度は「国の代表」になった。

しかし、決意とは裏腹に、結果は準々決勝敗退と振るわず。敗れたイラク戦を「フットサル人生で一番悔しい試合」と振り返るほどの悔しさを味わった。ただし、そのことが逆に、彼を大きく成長させた。

石田があの大会で感じたことは、そのまま、次の世代へのメッセージでもある。

イラク戦はフットサル人生で一番悔しい試合

──大会前は多摩大学に所属しながら、特別指定選手として浦安でプレーしていました。

大学に行きながらFリーグでプレーしている選手は他にはいませんでした(※大学のフットサル部とFリーグの“掛け持ち”選手がいなかった)。大学では自分が引っ張っていく必要がありましたが、浦安ではベテランの方がたくさんいて、多くのことを吸収して、それを大学に落とし込む。自分にしかできない特別な環境でしたね。

──その状況で、さらにU-20日本代表にも選ばれました。

選手を続ける上で、目指すべきところは代表チームです。当時は大学の代表でもあると思っていましたし、今度は国を代表して戦う機会をもらいました。絶対にアジア王者にならなければいけないな思って臨んだ大会でした。

──他の選手も話していましたが、「俺たちはアジア王者になれる」という自信はどこにあったんですか?

選手一人ひとりのクオリティの部分ですね。合宿の回数は少なかったですが、質の高さは感じていました。そういうメンバーが集まって、自信を持ってプレーしていたので。

──ただ、結果は満足のいくものではありませんでした。

2戦目と3戦目の引き分けのことを覚えていますね。2試合ともに残り数秒で追いつかれました。相手はパワープレーを仕掛けてきたのですが、あまりパワープレーの練習をできていませんでした。それでも、各選手はそれぞれのチームで練習をしていましたし、もっとうまく対応できたはずだなと。ただ、次の4戦目で勝てばいいだけでしたし、悲観はしていなくて、そこで結果を出すことだけを考えていました。

──グループステージを2位で通過して、準々決勝でイラクと対戦。

イラクは前評判がよかったですが、ゲームは8割くらいは自分たちが支配していた印象です。先に失点してしまいましたが、点を取れるだろうとみんなが思っていました。でも、時間が経つにつれて少し焦りが出始めて。後半も落ち着いてやれていれば得点できたと思います。

──焦りは、国を背負っているプレッシャーも影響していた?

そうですね。やはり日本代表ですし、少なからずプレッシャーはありました。得点できない時間が続いていたことで、それが焦りに変わっていきましたね。

──敗れた悔しさや、プレッシャーは、舞台に立たないと経験できないこと。改めて、あの大会でどんなことを得たのでしょうか。

自分としても初めての代表活動でしたし、ピッチで歌った国歌斉唱は鳥肌が立つほどのことでした。ベスト8で敗退した後にみんなで話したのですが、「この悔しさを晴らすためにも、A代表に上り詰めて、またみんなで戦おう」と約束しました。今は特に、あの大会の世代の選手が、各チームで主力としてプレーしています。
──悔しさが成長につながった。

僕にとって、あの大会はフットサル人生で一番悔しいものでした。それくらいの影響力がありました。

──仲間たちの活躍には何を感じていますか?

嬉しい反面、負けていられない気持ちが強いですね。刺激になっています。今日も(湘南ベルマーレには植松)晃都がいました。当時は同じポジションで、彼はすでにA代表でもプレーしていました。自分も追いつけるようにと思いながら、当時も今もプレーしています。

──この世代のテーマとして「家族」があったようですが、何か家族エピソードはありますか?

家族エピソード……(笑)。基本的にみんな仲が良かったですね。流通経済大から(樋口)岳志もメンバーに入っていましたが、彼自身もフットサルをすごく学んでしっかりとプレーできていましたし、そういう意味ではみんなが向いている方向は同じでした。負けた後も正直、解散したくないなって思いました。

──ムードメーカーといえば……?

坂(桂輔)ですね(笑)。でも(清水)和也くんも盛り上げてくれました。初戦の勝利後だったと思うのですが、(山田)慈英がロッカールームで踊っていて、そこに坂と和也くんが乗っかっていました(笑)。

──山田選手はどんな選手ですか?

自分たちのときも、苦しい時間で点を取ってくれるような選手でした。一緒に悔しい思いをした仲間なので、その悔しさを晴らすためにも、自分でゴールを決めてくれると思っています。

──今、次の世代が第2回大会に挑んでいます。先輩としてメッセージはありますか?

緊張している選手もいると思いますが、それは悪いことではありません。国を代表できるのは、その選手に持ち味あがあって、いいところがあるから。その持ち味を、日の丸を背負って存分に発揮してもらいたいです。

──選ばれた選手がピッチに立っている。

そうです。だからこそ、プレッシャーも含めて楽しんでもらいたいです。楽しむことが一番。自分も今はそうやってプレーしています。思い切り楽しんで、一瞬一瞬のプレーを大事に戦ってもらいたいと思います。

──ちなみに、試合は見ていますか?

見てますよ。11番の本石(猛裕)は大学が一緒でしたし、実は家も近いんです。彼もポテンシャルがありますし、応援しています。勝って、優勝して、帰ってきてもらいたいです。
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