昨季全試合出場、すみだの中田秀人が持つ”特殊能力”。21歳が須賀監督の心をつかむ理由とは?

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【軍記ひろし】

Fリーグ開幕から3試合を終え、フウガドールすみだが好調だ。第2節、ホームで迎えたバサジィ大分戦は決め手を欠いて1?3で敗れたものの、前節は苦手としているペスカドーラ町田にアウェイで勝利。各選手のコンディションも良く、チーム内で活発な競争が起こっている印象だ。チーム全体が好調ななかでも今、一際コンディションを上げている選手がいる。21歳のレフティ、中田秀人だ。

チームを支える貴重な左利き

フットサルという競技において、左利きの存在は非常に重要だ。右サイドから中に切り込んで放つシュートや、右奥で縦パスを受けた際のワンタッチでの折り返しなど、試合中、左足を使うのがマストな状況が必ず訪れる。セットプレーやパワープレーにおいてはそれが顕著であり、チームに左利きがいなければ、そうしたオプションの威力は半減してしまう。したがって、どのチームでも左利きの選手が重宝される傾向にある。レフティであることは、ある種の特殊能力だと言えるのだ。

中田は、そんな特殊能力を持つ選手。右サイドで中を向いた状態でのプレーを得意とし、左利きを生かして戦術的な幅を広げてくれる貴重な存在だ。昨シーズン途中にガリンシャが加入するまでは、チームのフィールドプレーヤーで唯一の左利きだったため、その希少価値はより高いものだった。須賀雄大監督からも重用され、昨シーズンはリーグ戦全33試合に出場して7ゴール。すっかりチームにいなくてはならない選手となった。

目に見える結果を残すシーズンに

Fリーグ2年目にして、すでに一定の結果を残した中田。20歳で全試合出場は、立派と言うほかない。だが当の本人は、その結果に全く満足していなかった。なぜなら、「左利きの希少性」によって試合に“出場できていた”側面が多分にあったからだ。

「左利きだからとかは関係なく、『この選手は絶対入れよう』と思われるくらいの選手になろうと強く思うようになりました。一人の選手としてのベースをもっと上げないといけない。もっと攻守に貢献して、より目に見える結果を残せる選手になるのが今の目標です」

今シーズンに懸ける中田の覚悟は、開幕からのたった3試合のなかでも如実に表れている。もともと運動量が豊富な選手だったが、アグレッシブさにさらに磨きが掛かった印象だ。特に前線からのプレッシングでの存在感は目を見張るものがある。相手の利き足を見てパスコースを切り、そこから一気に距離を詰めて自由を奪う。敏捷性に優れ、しかも終盤になってもほとんど強度が落ちない。今シーズンのすみだは開幕から前プレがハマっている印象だが、これは中田の貢献によるところも大きい。

「須賀監督からも『(プレッシングは)お前のストロングだ』と言われています。今はそれを思い切り出そうという意識で試合に入っています」

6月9日(日)に行われた第3節のペスカドーラ町田戦では、自ら前線でボールを奪取して、そのままゴールを決めてみせた。この日は2得点を挙げて、彼自身がテーマとしている「目に見える結果」を残した。

だがそれでも、中田に慢心はない。

「2ゴールという結果を残せたことに関しては良かったと思います。ただ結局、開幕からの2戦は点を取れていないので、そこはもっと求めていきたい。この試合でも、修正しないといけないことはたくさんあるので、良かった部分は継続しつつ、練習からより厳しく、もっと結果を求めてやっていきたいと思います」

好調のチームのなかで存在感を増している中田秀人。将来を嘱望される21歳の若きアラは、ただのレフティで終わるような選手ではなさそうだ。
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