ロッテ今岡二軍監督が自分を律する理由

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【厳しい目で練習を見つめる今岡二軍監督】

人生はいい事ばかりではない。ダメなものはダメと伝えないといけない

  千葉ロッテマリーンズの今岡真訪二軍監督が朝起きて、一番最初に行うルーティンは洗面所の鏡に映る自分の顔に向かって話しかけることである。「自分を律する。己を律する」と何度も語り掛ける。昨年、二軍監督に就任してから一貫してファームに厳しさを求めた。プロとしてグラウンドという場には張り詰める空気を求めた。だからこそ、まず指揮官である自分自身が模範とならなければならないと思っている。
 「選手たちに納得させるためには、まずは自分を律する必要がある。そうでないと言葉に説得力がないからね。この人に言われたら仕方がないと納得できる存在でありたいと思っている。だから毎朝、自分に言い聞かせるんだ。オレも決して立派だと胸を張れるような人間ではない。若い頃はムラがあった。自分でもそれは分かっている。だからこそ律する」
 二軍というのは世間的に若手育成の場という見え方があるかもしれない。しかし、現実はそうではない。故障者もいれば、実績があっても不振で二軍落ちしている選手もいる。枠から漏れた外国人選手もいる。育成選手もいる。いろいろな選手の集合体の中で、組織としてしっかりと規律を重んじ、いつ誰が一軍に呼ばれてもいいように士気を高く維持しなくてはならない。そのためには褒めることもあれば厳しく指導することも時には必要となる。プロ集団として必要不可欠な整然とした空気を作る事を今岡監督は大事にしているのだ。
 「いい事ばかりではない。ダメなものはダメと伝えなくてはいけない。そんな中で一人でも多くの選手の心を動かして一軍で活躍させたいというのが想い」
 空気を大事にする指揮官はあえて練習中に話をすることはあまりない。選手はもちろん、コーチと会話をする姿を見ることすら少ない。じっと練習を見つめている。ひたすら見る。場所を色々と移して仁王立ちで練習を見つめている。その凝視する姿こそが選手たちに緊張感を与えている。
 「厳しく接しているからには、しっかりと練習を見てあげないといけないよね。どういう姿勢で練習をしているか。なにを思っているのだろうかとか、調子はどうだろうかとか。その中で褒める時は褒め、指摘するときはする」
 厳しい目は、とりわけ若い選手に向けられる。それはプレーだけではなく私生活にまで至る。挨拶はちゃんとできているか、時間をしっかりと守っているのか、食事は十分にとっているか。チーム練習後の個別トレーニングを行っているか。細部までチェックをする。それは今岡二軍監督の信念だ。
 「高校を卒業したばかりの選手なんてまだ18歳。その頃の自分を思い出しても社会において右も左も分からないよ。若い子にはまずは人間教育。野球だけを教え込めばいいとは思っていない。野球だけが上手い選手は世の中にいくらでもいる。でもオレが育てたいのは人間力のある選手。そういう選手が一軍に出て来てマリーンズを引っ張って欲しい。世の中に夢や希望を運んでほしい。オレはそれが使命だと思っている」
 現在、二軍には将来有望な選手がキラ星のごとくいる。そして虎視眈々と一軍の戦力に加わるべく牙を研ぎ澄ませる実績のある選手や助っ人たちがいる。一歩間違えれば、どんよりとした雰囲気が漂う事の多いファームという場が早朝のような凛とした空気を維持している背景には今岡二軍監督の存在なしには語れない。
安田尚憲、藤原恭大という野球ファンなら誰もが注目をしているドラ1選手たちが将来、どのような人間力溢れる選手になるかも楽しみだ。千葉ロッテマリーンズ二軍の空気はきょうも澄んでいる。

千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

球団に関するニュース、球団広報によるコラム、オフィシャルライターによるチームのこぼれ話や球団情報をお届けします。お楽しみに!!

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント