五輪ラグビー出場国ランキング

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 東京五輪で7月26日に競技が始まる7人制ラグビー男子の12カ国を分析。各項目の充実度を10点満点でランキング化した。リオ五輪で4位に入った日本は悲願のメダル獲得なるか?(監修:斉藤健仁)

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寸評

優勝候補の筆頭であるフィジーを引っ張るジェリー・ツワイ主将【写真:Haruhiko Otsuka/アフロ】

■フィジー
 優勝候補筆頭は、やはりリオ五輪金メダルの「フライングフィジアン」ことフィジーだ。「セブンズ王国」として名高く、セブンズが国技のフィジーは、同国初の金メダルとなったリオ五輪優勝を記念して祝日が設定されたり、優勝記念の「7ドル札」が発行されたりしたほどだ。18-19シーズンのワールドシリーズ(WS)では10大会中5大会で優勝し総合優勝を飾り東京五輪出場権を得た。

 なんと言っても「セブンズマジック」とも呼ばれる、ポジションに関係なく、どこからでもランとオフロードパスでボールをつないでトライを取り切るスタイルが強み。一度ボールを持ったら相手は止めるのは至難の業だ。スコッド12人のうち、リオ五輪経験者は19年にセブンズ世界最優秀選手と過去10年のセブンズのベストプレイヤーに選ばれたジェリー・ツワイ主将のみというメンバー構成となった。

 国がコロナ禍の影響で入国制限をしていたが、セミ・ラドラドラ(ブリストル)ら海外の15人制で活躍していた3人が間に合った。19-20シーズンのWSで得点王&ドリームセブン(優秀選手賞)に輝いた若手のナポリオニ・ボラカの活躍にも期待がかかる。

 予選プールはイギリス、カナダ、日本と同組になった。東京五輪でも優勝候補筆頭のセブンズ王国が世界と日本のファンを魅了しつつ頂点に立つことができるか。

■ニュージーランド

 リオ五輪では初戦で日本に敗れて5位と苦杯をなめたが、フィジーと並ぶ優勝候補が「オールブラックスセブンズ」ことニュージーランドだ。18年のセブンズW杯では最多となる3回目の優勝を飾り、WSでも総合優勝は最多の13回を誇る。

 17年7月からスコットランド出身で、15人制で活躍したグレイグ・レイドローの従兄弟のクラークが指揮を執っている。スコッドを見るとリオ五輪経験者が5人で、ほかにも18年セブンズW杯経験者が7人と経験豊富な選手が中心だ。

 大黒柱となるのは13年のセブンズ世界最優秀選手賞を受賞している34歳のベテランで共同主将のティム・ミケルソンだ。ほかにも19-20シーズンのWSのドリームチーム(優秀選手賞)に選ばれた共同主将を務める32歳のスコット・カリー、18-19シーズンのWSの得点王アンドリュー・ニュースタッブらお馴染みのメンバーがスコッド入りした。21歳のエテン・ナナイ・セトゥーロはアメージングスターとなる可能性は十分だ。

 スタイルは、ボールをしっかりとキープするラグビーも、チャンスがあればオフロードパスを駆使し、個人技で突破するラグビーもでき、セットプレーも強いオールラウンダー。指揮官は東京の暑さを想定し、複数ポジションでプレーできる経験値の高い選手をローテーションで起用するつもりだという。
 リオ五輪ではメダルも取れず「7人制ニュージーランド代表がオールブラックスを名乗ってもいいのか?」という議論にもなったほどだ。前回大会の屈辱を晴らし、東京五輪で頂点に立って「ラグビー王国」のプライドを保つことができるか。

■南アフリカ

 19年15人制W杯で優勝した南アフリカは、「ブリッツボッカ」と呼ばれるセブンズも強豪で、リオ五輪は日本を下して3位に輝いているように優勝候補の一角を占める。同国は15人制と別にセブンズを強化し、13年からニール・パウェルが指揮を執り続けている。16―17シーズン、17-18シーズンのWSでは連覇を果たすなど総合優勝3回、準優勝8回を誇る。

 リオ五輪から連続出場する選手は突破力に長けたジャスティン・ゲダルドのみで、レジェンドのセシル・アフリカは引退、チェスリン・コルビ、クワッガ・スミスらは15人制に専念しスコッドには入っていない。
 18年セブンズW杯でトライ王に輝いた主将のシヴィヴェ・ソイツワピ、リオ五輪のバックアップメンバーだったクリス・ドライ、ブランコ・デュプレアといった3人で198大会に出場を誇り、セルヴィン・ダーヴィッツ、若手のJCプレトリウスの2人は19―20シーズンのWSでドリームチーム(優秀選手賞)に選出された。

 南アフリカらしく接点やタックルのフィジカルとセットプレーは強く、個々の選手はスピードがありトライを取り切る力も高い。予選プールはアメリカ、ケニア、アイルランドと同組となった。同国はコロナ禍で長くロックダウンが続き、近年、国際試合を経験していないという不安はあるが、層は厚く総合力は高い。何が起きるかわからないセブンズでは、フィジー、ニュージーランドの2強を押さえてブリッツボッカが頂点に立つ可能性は十分にあろう。

■アメリカ

「スポーツ大国」アメリカは、「イーグルスセブンズ」こと7人制代表チームも強豪国で18―19シーズンのWS総合2位で東京五輪の出場権を得た。近年、WSでは常に上位進出するようになったが、リオ五輪は振るわず9位、18年の自国開催だったセブンズW杯も6位とメダルに手が届いておらず、東京大会にかける思いは人一倍強いはずだ。

 14年からイングランド出身のマイク・フライデーHCが指揮を執り継続的に強化してきた。スコッド12人のうち、リオ五輪メンバーが7人、セブンズW杯に出場した選手が10人と経験値の高いメンバーで臨む。

 アメリカの強みは何と言っても17年、18年にセブンズの世界最優秀賞に輝いたアメリカンフットボール出身のペリー・ベイカー、陸上の短距離出身で100mは10秒前半の記録を持ち18-19シーズンのWSでトライ王になったカーリン・アイルズという2人のスピードスターがいることだ。キックオフからのセットプレーも強く、この2人にいい形でボールを渡すことができれば、どのチームでも倒すことができよう。

 主将のマディソン・ヒューズ、36歳のフォラウ・ニウア、18-19シーズンのWSでドリームチーム(優秀選手賞)に選ばれたスティーブン・トマシンといった実力者がそろう。
 暑い東京の夏に開かれる大会の割にベテラン選手が多いことが気がかりだが、世界的スピードスターを2枚そろえたアメリカが悲願のメダル獲得なるか。

■アルゼンチン

 ラグビーの南米の雄で「プーマスセブンズ」ことアルゼンチン。15人制同様、セブンズでも南米では最強を誇り、大陸予選を難なく突破し2度目の五輪を決めた。
 WSでは99―00シーズンからコアチームとして出場を続けており、大会優勝こそないがベスト8以上の常連である。18年セブンズW杯は5位、隣国ブラジルで行われた前回の五輪は6位の実力国で、東京五輪でもメダルに絡んでくる可能性は十分だ。

 13年から同国のセブンズのレジェンドであるサンチャゴ・ゴメス・コラがHCを務めている。アルゼンチンは基本的に15人制とは別でセブンズの強化を進めており、リオ五輪と18年セブンズW杯の両方に出場している主将のサンチャゴ・アルバレス、ゲームコントローラーのガストン・レボルや、突破力が武器のマティアス・オサドチュクといった経験豊富な選手たちが主力だ。

 前に上がるディフェンスでプレッシャーをかけ、接点も強く、ターンオーバーからのアタックも鋭い。またサッカーでも強豪国としても有名なように、キックを交えたアタックも得意だ。予選プールはニュージーランド、オーストラリア、韓国と同組となった。しっかりと決勝トーナメントに出場し、五輪初のメダル獲得を狙う。

■イギリス

 リオ五輪で銀メダルに輝いた「GB(グレートブリテン)」ことイギリス。18-19シーズンのWSで最も上位だったイングランドが19年7月に開催された欧州予選に優勝し、前回大会に続いてイングランド主体のチームにスコットランド、ウェールズの選手を加えて「GB」として臨むことが決まった。

 20年からイングランドのトニー・ロックがアシスタントコーチから昇格し指揮を執っている。12人のスコッドを見ると、候補選手に3人選ばれていたウェールズ勢はスコッドに1人も入ることができず、イングランドが8人、スコットランドが4人という構成で臨むことになった。

 主将はベテランのトム・ミッチェル(イングランド)が務める。イングランドからはWS最多得点記録を持つ33歳のダン・ノートン、司令塔の一人であるダン・ビビーの「2人のダン」を筆頭に、ハリー・グローヴァーら経験豊富な選手が入った。

 スコットランドからはエースのマックス・マクファーランド、運動量豊富なロビー・ファーガソンら実力者がメンバー入りした。2チームから構成されているため、コミュニケーションや連携不足が懸念されるが、ボールを組織で継続する力やキックオフには強く、スピードや決定力あるランナーもそろう。
 東京五輪ではフィジー、カナダ、日本と同組となった。ユニオンの壁を乗り越えて共闘し、リオ五輪では獲得できなかった金メダルを獲得することができるか。

日本代表のスピードスター、松井千士主将【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

■日本

 リオ五輪では初戦からニュージーランドを撃破し4位に入って旋風を巻き起こした日本は、自国開催の東京五輪では開催国として出場権を得た。リオ五輪後は15人制と兼任する選手が多く、招集が思うようにいかず、18年のセブンズW杯では15位。WSでは昇格と降格を繰り返したが、セブンズに専念する選手も増えていき20年2月、南米で行われた大会で優勝し再びWS昇格を決めた。

 18年から岩渕健輔HCが指揮を執っている日本が目指すラグビーは「BEE RUGBY(ビーラグビー)」である。「蜂のように」相手より攻守にわたって素早く速く動いて数で上回ることを目指しており、大会本番は12人しか出られないため、全員が複数ポジションでプレーできるように準備している。

 12名の選手は「プレッシャーを楽しめる選手を選んだ」と指揮官がいうように、WS昇格大会に出場した選手が9人、さらに副島亀里ララボウラティアナラ、トゥキリ ロテ、羽野一志、彦坂匡克とリオ五輪経験者が4人となった。中心となるのはリオ五輪ではバックアップメンバーとして悔しい経験をしたスピードが武器の松井千士主将と司令塔だがダイナミックなランも持ち味の藤田慶和の2人だ。

 さらに身長197cmと空中戦に強いセル ジョセ、ゲームコントローラーとして落ち着きが出てきた加納遼大、ステップが武器で唯一の大学生である石田吉平、ハードなランが持ち味の副主将・本村直樹、さらにオーストラリア7人制代表経験のある副主将のヘンリー ブラッキン、ニュージーランド7人制代表で出場したことのあるフィジカルに長けたボーク コリン雷神という2人もメンバー入りを果たした。フィジカルに強い選手もいれば、スピードを武器とする選手もおり、バランスがいいメンバー構成となったと言えよう。

 リオ五輪金メダルのフィジー、銅メダルのイギリス、カナダと強豪ぞろいの予選プールに入った。日本は4月以来、海外遠征に行かず、国内で日本にいる外国人選手や元代表選手を対戦相手に見立て、厳しい合宿を繰り返してきた。メンバー、ポジションも変幻自在で、12人がチーム一丸となって、リオ五輪では惜しくも手にすることができなかったメダルを奪いたい。

■オーストラリア

 南半球のラグビー強国であるオーストラリア。7人制代表の「ワラビーズセブンズ」は、15人制と兼任している選手が多く、なかなかセブンズのメンバーを固定することはできていない。その影響もあり、前回のリオ五輪は8位、18年のセブンズW杯は10位、さらにWSにおいても中位に甘んじている。

 それでも18年から、リオ五輪で女子のオーストラリアに金メダルをもたらしたティム・ウォルシュHCが男子チームの指揮官に就任し強化を進め、オセアニア予選を勝ち抜いて東京五輪の出場権を得た。

 リオ五輪を経験している選手は主将のニコラス・マルーフ、ヘンリー・ハッチソンの2人のみで、18年のセブンズW杯に出場した選手もラクラン・アンダーソンら3人のみだ。そんな中、ウォルシュHCは15年と19年の15人制W杯に出場してCTBとして活躍していたサム・ケレヴィ(サントリー)を招集し、「スキル、ディシジョンメイキングなどすべてがワールドクラスだ」と高く評価している。試合を決めるインパクトプレイヤーになり得そうだ。

 個々のスキルレベルは高く、チームの持ち味は組織的にプレーし、アタックではボールを継続してチャンスをうかがい、守備も粘り強さが持ち味だ。
 予選プールではニュージーランド、アルゼンチン、韓国と同組となった。女子と比べて世界の舞台では結果は出せていないが、五輪の戦い方を知っている名将の下、世界最高峰の突破力を誇る選手も加わり選手層は厚くなった。予選プールから上位チームを倒して勢いに乗り、メダルまで駆け上がれるか。

■カナダ

 長い間、北米のラグビーを引っ張ってきたカナダ。15人制だけでなくセブンズも一定の存在感を発揮しており、一時は低迷したが17年のシンガポールセブンズでは優勝も経験した。

 12人のスコッド中、8人が18年セブンズW杯出場メンバーで、共同主将でゲームメイカーの日系人ネイサン・ヒラヤマ、共同主将のハリー・ジョーンズ、突破力がありエース的存在のジャスティン・ダグラス、攻守にわたり体を張るコーナー・ブレイド、アンドリュー・コーらがチームの中軸だ。

 持ち味はチームでしっかりボールをつなぐアタックと組織的なディフェンス、大柄な選手も多いためキックオフも武器とする。日本特有の蒸し暑さには少々、慣れるのには時間がかかるかもしれない。予選プールはリオ五輪優勝のフィジー、銅メダルのイギリス、開催国の日本と厳しい組に入ったが、チーム一丸となって、まずは決勝トーナメント進出を狙う。

■アイルランド

 東京五輪でメダル獲得のダークホース的存在となり得るのがアイルランドだ。6月に開かれた最終予選の決勝で強豪のフランスを28対19で下して、初の五輪出場を決めた。ラグビー強豪国ながら、セブンズでは後手を踏んでいたが、15年からセブンズのエリート育成プログラムを始めて、18年のセブンズW杯では9位に入った。同年の年末には協会と選手がプロ契約を結び、さらに強化を進めた。19―20シーズンからはコアチームに昇格し、ベスト8の常連になりつつあるチームだ。

 12名のスコッドは主将のビリー・ダーディスを筆頭に18年セブンズW杯に半数が参加。チームを引っ張るのは、100mは約10秒5でアメリカ代表のペリー・ベイカーに匹敵するスピードを誇るジョーダン・コンロイだ。19-20シーズンのWSでは30トライを挙げてトライ王に輝き、ドリームセブン(優秀選手賞)にも選ばれた。

 予選プールは南アフリカ、アメリカ、ケニアと同組になった。チームの強みは欧州のチームらしく、しっかりとボールを継続する組織的なプレーが持ち味で、世界的スピードスターのコンロイにいい形でボールが渡ればどのチームからでもトライを取る力は十二分にある。予選プールから強豪を倒し、初出場ながら台風の目となることができるか。

■ケニア

 南アフリカと並ぶアフリカのセブンズ強国である「シュージャー(英雄)セブンズ」ことケニア。アフリカ大陸予選を勝ち抜いてリオ五輪に続いて東京五輪の出場を決めた。
 ケニアはほかの国と違って15人制はあまり強化しておらず、7人制に特化している国のひとつで、もともと走力のある選手がそろっており攻撃力は高い。一方でセットプレーや守備は上位国とはやや差があるか。

 リオ五輪に出場していた選手は主将のアンドリュー・アモンデ、同国のレジェンドでありWS史上2番目の279得点を挙げているコリンズ・インジェラ、ウィリー・アンバカの主力の3人のみだ。18年のセブンズW杯に出場した選手も多く、経験値の高い選手が多いのが特徴だ。
 ただ選手が協会と契約や賃金についてもめることも多く、試合や練習をボイコットするのは日常茶飯事で、チームの一体感という点ではやや不安が残る。東京五輪の予選プールでは南アフリカ、アメリカ、アイルランドと強豪国がそろう組に入った。まずは決勝トーナメントに残り上位進出をうかがいたい。

■韓国

 アジア予選では準決勝で中国に12対7、ライバルの香港にも決勝で延長戦の末12対7で下し、初の五輪出場を決めた。徐天吾監督の下、元Hondaの梁永勲、流通経済大で指導している南アフリカ出身のチャールズ・ロウと日本でも馴染みのある2人がコーチを務めている。

 エースはアジア予選決勝で値千金のトライを決めたNTTコミュニケーションズでも活躍する張容興だ。ほかにも日野でプレーした鄭演植、NTTドコモに在籍した張成民の2人や献身的なプレーが光る主将の朴玩龍らが名を連ねた。

 東京五輪では優勝候補のニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンの強豪3チームと同組になった。コアチームとして通年のWSに参戦したことがなく、強豪との経験不足は否めない。6月末のアメリカで行われた大会でもアメリカ、イギリス、アルゼンチンと対戦し、いずれも大敗した。
 12人のスコッドのうち9人は五輪出場権を得たアジア予選に出場した選手でチームのまとまりには自信がある。そして強みである個々のフィジカルやスピードで勝負したい。金メダルを獲得した場合は3000万ウォン(約300万円)が報奨金として出ることになった。キックオフも含めて、どれだけ自分たちのボールを保持できるかが鍵となろう。

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