2021年プロ野球セ・パ交流戦直前、12球団戦力値チェック

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 熱戦展開中の2021年のプロ野球シーズン。開幕2カ月を経て、5月25日からは2年ぶりのセ・パ交流戦(各カード3回戦の計108試合を予定)に突入する。優勝争いにも大きく影響する“重要な3週間”を前に、セ・パ12球団の現在の戦力値を打力(30点満点)、機動力(10点満点)、先発投手(20点満点)、救援投手(10点満点)、守備(10点満点)、選手層(10点満点)、経験(10点満点)の7項目に分けて数値化した。交流戦の優勝候補No.1はどこなのか? 果たして、数値通りの結果になるのだろうか?

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解説

佐藤輝明(右)と中野拓夢の阪神ルーキーコンビ。交流戦も勢いそのまま活躍となるか?【写真は共同】

 交流戦開幕時のチーム力を数値化した結果、現在セ・リーグ首位を快走している阪神が総合スコア「80」でトップに立った。まず打力「28」が12球団トップ。3番・マルテが好調を維持し、5番・サンズも本塁打を量産。そして佐藤輝明、中野拓夢のルーキーコンビの勢いがそのままチームの得点力アップに繋がっている。加えて、スロースタートだった1番・近本光司が5月に入って急上昇中で、離脱中の大山悠輔は交流戦から復帰予定。合流が遅れたロハス・ジュニアに当たりが出ていないが、パ・リーグ主催でのDH制採用はプラス材料だ。また、昨季リーグトップタイの年間80盗塁をマークした機動力は今季さらに効果的で、チーム得点圏打率.283の勝負強さが相手投手陣に大きなプレッシャーを与えている。投手陣も先発、救援ともに人材豊富でバランスが良く、両方を足した「25」も12球団トップ。失策数は依然として多く、守備力への評価は「5」と低いが、選手層が厚く、矢野耀大監督3年目を迎えた中でチームとしての経験値も高い。2019年の交流戦は10位に沈んだ矢野タイガースだが、セ・リーグ球団として2例目、そして阪神球団初の交流戦制覇へ向けて大いに期待できる状況が整っている。

 その阪神に続くのが、数値の上ではソフトバンクになる。4年連続日本一の王者であり、交流戦でも過去15回中8度の優勝(最高勝率)を誇り、経験値「10」、選手層「9」が12球団トップの評価。だが、エース・千賀滉大が長期離脱中で、グラシアル、森唯斗の投打のキーマンも故障し、さらに絶対的な安定感を誇るモイネロが、デスパイネらとともに東京五輪予選に挑むキューバ代表の一員として離日。パ・リーグ首位で交流戦を迎えたが、本来の戦力値よりも「先発」、「救援」、「打力」と数字を落としている。投手陣では武田翔太が復活し、打線では柳田悠岐が奮起。チャンスを得たバレンティン、真砂勇介も実力十分だが、例年とは異なる、難しい3週間を過ごすことになるのは間違いない。

 総合3位のスコア「73」の巨人も万全からは程遠い。チーム成績的には現在リーグ2位に付け、チーム打率.256(12球団中3位)、チーム防御率3.36(12球団中4位)も優れたものだが、エース・菅野智之、主将・坂本勇人の2枚看板が故障離脱してチーム状態は下降線。ここまで踏ん張ってきた今村信貴、髙橋優貴の左腕コンビも徐々に失点が目立ち、まだ信頼しきれない。FA加入した梶谷隆幸、新外国人のスモークが好調で、4番・岡本和真も調子を上げてきたが、丸佳浩の不振が長引き、本来の戦力値よりも各項目で評価を下げた。ソフトバンク同様、今年は我慢の3週間になりそうだ。

パ・リーグトップ6勝をマーク、チームを引っ張る楽天・早川【写真は共同】

 パ・リーグ2位で交流戦を迎えた楽天は、則本昂大、涌井秀章、岸孝之に田中将大と早川隆久が加わった自慢の先発投手陣を12球団最高の「19」とした。同時に、守護神・松井裕樹が防御率0点台をキープし、宋家豪と福山博之が好調を維持する救援陣も12球団トップとなる「9」評価。その一方で攻撃陣が低迷しており、チーム打率.235は12球団中11番目の数字。選手層は確実に厚くなっているが、ディクソン、カスティーヨの新助っ人コンビが戦力になれておらず、投打のバランスを欠き、機動力も足りない。先発陣がセ・リーグ球団の打線を力でねじ伏せて勢いに乗る可能性は大いにあるが、果たしてどうなるか。

西武は怪我人が多い。本来ならば12球団屈指の強力打線を有するはずが、チーム打率.240(12球団中8位)で1試合平均3.68得点(47試合173得点)は12球団中8位。若林楽人、呉念庭といった新たな戦力は奮闘しているが、山川穂高の調子が上がらず、森友哉の成績も今一つ。外崎修汰は骨折で長期離脱中だ。その一方、機動力は12球団トップの49盗塁を評価して「9」とし、投手陣も覚醒した高橋光成を筆頭に今井達也、松本航が好調の先発陣に、平良海馬が無双中の救援陣も悪くない。疲労蓄積が心配だが、勢いを掴めば交流戦での浮上は十分にある。

 ロッテは打線が好調だ。チーム打率.248は12球団中5番目だが、チーム出塁率.338は12球団トップを誇り、1試合平均4.67得点(46試合215得点)もトップ。2番に座るマーティンが12球団トップの14本塁打を放ち、荻野貴司、角中勝也のベテランも好調。手負いのソフトバンク、巨人を上回る打力「25」と評価した。ただ、投手陣は先発、リリーフともに決め手を欠く陣容で、それぞれ「11」と「6」の評価。正捕手・田村龍弘が負傷離脱中という点は、守備面において大きなマイナスと言える。

高卒2年目ながらローテの柱になりつつあるオリックス・宮城【写真は共同】

 オリックスは大きな可能性を秘めるチームだ。山本由伸、山岡泰輔、田嶋大樹に、新たに今季大ブレイク中の宮城大弥が加わった先発投手陣は12球団トップクラスで「18」の評価を与える。打線の繋がりを欠き、機動力も不足しているが、選手個々では吉田正尚が首位打者快走中で、その後の4番に座った杉本裕太郎もついに本格化。打力「21」の評価も、さらなる上積みの期待はある。救援防御率4.19(12球団中10位)でチームとしての経験不足の面は否めないが、若手が成長を続けてチーム一丸となれば、交流戦で台風の目となれる力はある。

 総合スコア「61」のヤクルトは、打線が強力で「24」の評価。山田哲人、村上宗隆、オスナ、青木宣親、サンタナと続く並びは迫力満点。1試合平均4.26得点(12球団中4位)と得点力も上がって来たが、1、2番をどうするのかを含めて課題はある。それ以上の問題が、先発投手陣。トレード加入の田口麗斗は奮闘を続けているが、明らかに戦力が不足しており「9」の評価。それでも現在セ・リーグAクラスにいるのは、マクガフ、清水昇、近藤弘樹の中継ぎ陣の奮闘が大きな理由。引き続き「9回打ち切り」ルールが続く中で、高津臣吾監督のやり繰りも鍵を握る。
 
 完全な投高打低の状況となっているのが中日だ。12球団トップのチーム防御率2.84を誇る先発陣には「17」の高評価を与えるも、チーム打率.236は12球団中10位で、1試合平均2.78得点(45試合125得点)は12球団ワースト。根尾昂や岡林勇希、石川昂弥と将来有望な若手野手はいるが、現状ではチームの攻撃力をアップさせる働きはできておらず、チームとして打力「14」の評価が限界。守備陣は固いが、救援陣でR.マルティネスがキューバ代表として離脱するのは大きな痛手だ。

借金17と苦しい状態で交流戦に突入するDeNA三浦監督。戦力的にも厳しい状態が続く【写真は共同】

 日本ハムも状態が良くない。先発投手は上沢直之、加藤貴之、そしてドラフト1位ルーキーの伊藤大海が高い実力を示しているが、打線が低調でチーム打率.221は12球団ワースト。新型コロナウイルスの「特例2021」で離脱していた西川遥輝、渡邊諒の2人が5月15日から無事にチームに再合流した点は朗報だが、開幕から不振が続いていた中田翔が5月17日に登録抹消。選手個々では奮闘している者はいるが、チームとしては機能しておらず、交流戦でも同様に苦しい戦いが予想される。

 広島は交流戦直前に発覚した新型コロナのクラスターによる影響が大きそうだ。投手陣ではルーキー守護神の栗林良吏が新人の連続無失点記録を伸ばしているものの、先発陣では3本柱の一角、森下暢仁が濃厚接触者と判定され離脱。打線でも日本記録に迫る勢いでヒットを量産していた菊池涼介に加え、主軸の鈴木誠也や長野久義らも陽性判定を受けた。もともとの得点力不足に拍車がかかり打力「15」の評価に。力勝負となる交流戦への不安は非常に大きい。

 コロナ禍の広島と並び、総合スコア「50」の評価となったのが、DeNAだ。佐野恵太、宮崎敏郎、オースティン、ソトに、新たに牧秀悟が加わった打線には魅力があるが、投手陣、特に先発投手陣が試合を作れず、12球団ワーストの先発防御率5.34では、評価「3」も致し方なし。交流戦では、就任1年目の三浦大輔監督の経験不足も不安の種。左肩手術から5月23日に281日ぶりの1軍復帰登板を果たしたエース・今永昇太が起爆剤になりたいが、その復帰戦で4回1/3を6失点で、チームは借金17。交流戦で流れを変えたいところだが、パ・リーグ球団相手に泥沼状態となる危険性もある。チームの命運を握る3週間になる。

 コロナ禍の今、いつチーム内に新型コロナウイルスが蔓延し、主力が大量離脱する事態に見舞われるか分からない。感染予防に万全を期しながらも、非常時の際の準備を整え、チーム全員での戦い、チームの総合力が問われる。波乱か順当か。この数値を超える“ドラマ”を期待したい。

(文、ランキング監修:ベースボールタイムズ)

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