2019-20 NHK杯・男子SP

2019/11/22 19:05開始

羽生が首位発進 島田は6位、山本は7位

安藤美姫の総評

【写真:坂本清】

フィギュアスケートは、選手寿命が短いと言われますが、NHK杯は若手が多く出場した中で、ボロノフ選手が落ち着いた雰囲気、ベテランらしい演技を見せて3位に入りました。若手の鏡のような姿勢、年齢を重ねると逆に緊張など精神的なバランスを保つのが難しいのですが、コントロールの強さを見せてくれました。
年齢じゃないフィギュアの部分、繊細な競技・メンタルの調整・自分自身に勝つという点を垣間見られました。

羽生選手の演技を語る前に、チャンピオンでもミスをするもの。パーフェクトな演技は当たり前じゃないです。この演技をNHK杯で見られることは、奇跡的なことだと思います。羽生選手は100%納得していないと思いますので、100%の演技ができるのを、私たちや応援している人が支えていけたら、また羽生選手から感動をもらえると思います。
羽生選手は悔しいと思いますが、ノーミスでまとめるのはチャンピオンの証し。さすがだと思いました。2シーズンを同じ曲で演技するのは、気分転換もできず、(昨年と)同じ演技に見せないようするのはとても大変です。GPファイナル、全日本選手権、世界選手権の舞台で、羽生選手の納得のできる演技を見られるのが待ち遠しいです。

島田選手はステファン(・ランビエール)コーチに付いてから伸びています。今日は、ジャンプの転倒、ステップの転倒などもありましたが、きちんと6位に入りました。それは表現力、ファイブコンポーネンツの強化が生きたところだと思いました。

山本選手は、最初の4回転-3回転がきれいな一発だと思いましたが、その後の4回転が2回転になったところが悔しかったと思います。けがで氷に乗れなかった悔しい時期を過ごしてきた選手ですし、今は幸福感がすごく大きいと思います。ショートの『エデンの東』に乗せてその想いも伝わってきました。国際大会で4回転を決めたのは、1歩ずつ階段を上っている証拠です。フリーでは4回転トウループを強い気持ちで臨んでほしいです。

気になった選手はマーカー・イグナトフ選手。今までのロシアの選手と違うスケーティング、ジャンプをする選手ですね。ロシアの選手は近年、なかなか結果が残せてなかった中、ジャンプも質が良く、表現力で魅せられる選手が出てきたと思いました。イグナトフ選手はアメリカ、カナダのような印象です。今後、トップで争う選手になると思いました。

明日のフリーに向けては、ショートでの気持ちを切り替えて、最高の演技を日本の皆さんの前で発揮できるように願っています。GPファイナル出場がかかる選手もいますので、そういった選手の気持ちに寄り添って、暖かく応援していきたいと思います。(安藤)

12:アレクセイ・ビチェンコ

彼もベテラン選手の1人。
本来はとても力強い高さのあるジャンプをする選手なのですが、今日のショートは全体的に少し体に力が入ってしまい力んでしまった印象です。
トリプルアクセルが1回転に。4回転も転倒と、本来の滑りではなかったかもしれませんが、大人の雰囲気や力強さのあるスケーティングを見せてくれたのではないでしょうか!?
明日のフリーでは爆発力のあるジャンプ、大人の雰囲気あるスケートに期待です!(安藤)

11:羽生結弦

【坂本清】

去年と同じ曲で挑む今シーズン。細かい修正を加えた同じ曲でも全く違う作品に思えるようなショートプログラムです。
全てのジャンプが完璧なだけではなく、着氷した後の流れが美しいのが彼の強さです。

6分間練習で、4回転-3回転のコンビネーションジャンプの2つ目で両手を上げていましたが、本番では1つ目でいつもより詰まってしまい無理に上げませんでした。冷静な判断は、さすがとしか言いようのないジャンプでした。

スピンのポジションやステップの流れや強弱、スピード感もさすがのパフォーマンス。特に母国・日本でのグランプリで、また日本の皆さんの心をつかんだのではないでしょうか!? 明日も最高の演技を見たいですね。(安藤)

10:ジェイソン・ブラウン

【坂本清】

この選手はとにかくスケートが滑る!!!! 体の柔軟性や表現力。本当にいつまでも見ていたくなる雰囲気を持った選手です。
このショートでは2つのジャンプの転倒がありましたが、それを気にさせないぐらい完成度の高いステップやスピン。フリーでは彼の納得のいく演技が見られることを楽しみにしましょう。(安藤)

9:ケビン・エイモズ

【坂本清】

ジャンプのミスを最小限に抑えた、ほぼノーミスの演技。
何と言っても氷の上でダンスをしているような振付や、アクロバティックな振付と、彼にしかできない雰囲気を持った選手ですね。
ここまで踊って魅せる選手はなかなかいないので、フィギュアスケートの一つの魅力でもある「表現者」という、アーティストな部分が垣間見られた演技だったと思います!(安藤)

8:セルゲイ・ボロノフ

【坂本清】

以前は同じコーチの下、一緒にトレーニングをしていた私と同じ世代のベテランスケーターの1人です!
まだこうして現役で戦っていること、本当にすごいなと尊敬しています。
4回転を含む全てのジャンプを成功!! さすがベテランといったノーミスの落ち着いた演技でしたね。スケーティングやスピンもまだまだ進化している彼は、本当に今の若い選手にとってのロールモデルなのかなと思います。クイーンの曲にのせて、かっこよかったです!!!(安藤)

7:樋渡知樹

【坂本清】

去年の世界ジュニアチャンピオン、ご両親は日本人でアメリカ代表の選手です。
ジュニア上がりらしいアップテンポな選曲の中での演技。4回転とトリプルアクセルの失敗、3つ目のジャンプもやや流れが無かったのが残念でした。
スピンやスケーティングもまだまだ成長していく要素のある選手ですが、最初から最後までとてもエネルギッシュなショートプログラムでした!(安藤)

6:島田高志郎

【坂本清】

憧れの舞台での演技。
ステファン(・ランビエール)コーチの下で、トレーニングを始めて、表現力や感情移入が急激に大人っぽくなった印象ですね。4回転の転倒はあったものの、その他のジャンプはしっかり決めてまた少し精神的にも大人になった感じも見受けられます。
ステップでの転倒がもったいなかったですが、これがフィギュアスケート。とても繊細なスポーツなんです。フリーではこの憧れの舞台で最高の演技を!!!(安藤)

5:マーカー・イグナトフ

【坂本清】

「女子が強いロシア」の印象ですが、“最強ロシア男子”復活を表すような若手の選手の1人です。
トリプルアクセルの転倒が悔やまれますが、ショートで2本の4回転を完璧に成功させてくる強さ、表現力やスケーティングがとても丁寧で、今後、もしかしたら怖い存在になってくる選手の1人かもしれません!!!!!(安藤)

4:山本草太

【坂本清】

怪我を乗り越えて精神的にも強くなった印象! 1つ目の4回転のコンビネーションは素晴らしかったです!
2つ目の4回転が2回転になってしまい、トリプルアクセルも着氷が流れなかったですが、このショートで2本の4回転で、攻めの姿勢を見せた彼の気持ちがこもった演技だったと思います。スケーティングもよく滑り、心のこもった演技をするスケーターの1人ですね。ショートプログラムの『エデンの東』のストーリー性も感じられた演技ではなかったでしょうか。気持ちはフリーへ!!!(安藤)

3:コンラド・オルゼル

【坂本清】

まだ若手の選手ですが、最初のジャンプの転倒をリカバリーする判断力と、その後ミスのない演技をきっちりこなす落ち着きを持っていた印象です。まだまだスピンやステップ、スケーティングで荒削りな部分があったりしますが、シニアデビューでこの落ち着きと丁寧さを感じられるのは、これから強みにもなっていきますね。この選手も今後、カナダを背負っていく若きスケーターです。(安藤)

2:アントン・シュレポフ

【坂本清】

ショートで4回転は跳ばなかったですが、自分のできるパーフェクトな技術で臨んでいた印象です。途中のスピンでバランスを崩してしまったのが残念でしたが、ステップの前に衣装のボタンを外すというエンターテインメントなパフォーマンスもあり、とても楽しめたのではないでしょうか!? まだ加点が少ないので、ここから1つ1つの質を上げていったら、この選手も楽しみな選手だと思います。(安藤)

1:ロマン・サドブスキ

【坂本清】

カナダの若手選手の1人。シニアデビューから3年目、上半身の動きがとても滑らかで1年1年大人っぽい滑りになってきたなという印象です。最初の4回転は素晴らしかったのですが、その後のトリプルアクセルとコンビネーションのジャンプの失敗がもったいなかったです。ただ、スピンのポジションも足先まで伸びていて洗練されたスケートをするスケーターです。これからまだまだ伸びる選手の1人なので、今後に期待です。(安藤)

安藤美姫さんの見どころ解説

【スポーツナビ】

羽生選手の日本での演技を見るのは久しぶりで、全国の皆さんも楽しみにしていると思います。シーズン序盤から、去年と比べても安定した演技を見せているので、充実な練習を送られていると思います。流れのあるスケーティングが見られるのをワクワクしています。
ほか日本人2選手の島田選手、身長が伸び大人の雰囲気になり、ランビエール先生に付いてシニアらしい演技がついてきてこれから楽しみな選手です。山本選手はけがを乗り越えて、時々名古屋で練習をしているのも見ていました。羽生選手を目標と話していましたし、その選手と演技ができるのは思い出にもなり、刺激にもなると思います。「同じ土俵で戦える選手になった」というのを自信に変えて、伸び伸び演技してほしいです。声援を力に変えてほしいですね。

樋渡選手もセカンドホームだと思って楽しんでもらいたいです。アメリカの若い空気を味わえるのかなと思います。個人的には、セルゲイ・ボロノフ選手とアレクセイ・ビチェンコ選手のことを応援しています。ベテランの味で、「男」というジャンプをします。若い子とベテランとフィギュアの歴史の流れも詰まったNHK杯になると思います。

出場選手は、国のトップを争う選手ばかりなので、第1滑走から最終滑走まで、得点だけでなく、選手の持ち味、芸術面、選手の表現・メッセージも伝えていければと思います。皆さんと楽しみながら、フィギュアの魅力をわかりやすくお伝えてできればと思います。(安藤)

リアルタイム解説とは?

【©️sunao noto】

NHK杯男子SP、FSの演技を、指導者や振り付け師としても活躍する安藤美姫さん(写真)が解説。演技のポイントや選手の状態についてなど、フィギュアをより楽しむための情報をお届けします。
お楽しみに!

関連リンク