MLB戦力ランキング2026春
記事
世界中が熱狂した「WBC(ワールドベースボールクラシック)」の興奮が冷めやらぬなか、ついにMLBの季節がやってきた。3月26日(日本時間)のヤンキース対ジャイアンツの開幕戦を皮切りに、27日(日本時間)に他の全球団も一斉に開幕の火蓋を切る。本企画では、ナ・リーグ15球団の戦力を「打力」「機動力」「投手力」「守備力」「選手層」「経験値」の6項目(各100点満点)で徹底分析。さらに、今オフのストーブリーグでの動きを反映した「補強」項目を加え、独自の視点で判定した。激戦必至のナ・リーグで、開幕直前に最強の評価を手にしたのはどのチームか。最新の戦力図を解明する。
(企画監修・解説:村田洋輔)
※上位と解説はスポーツナビアプリでご覧いただけます。また、チーム名の後ろにある(東)(中)(西)は地区名を表しています。
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解説
昨季「3強2弱」の展開が予想されていた東地区はブレーブスの不振とメッツの失速により、最終的にはフィリーズが独走で連覇を果たした。しかし、期待を裏切った2チームが巻き返しを目指して積極的な補強を展開。昨季3位のマーリンズがやや弱体化したため、今季も「3強2弱」となりそうだ。
3連覇を目指すフィリーズは今オフの重要課題だった大砲カイル・シュワバーと正捕手J.T.リアルミュートの引き留めに成功。しかし、これはあくまでも戦力をキープしただけ。戦力アップにつながりそうな補強はなく、やや不本意な成績に終わったスーパースターのブライス・ハーパーや開幕ローテーションに抜擢される有望株アンドリュー・ペインターの活躍がなければ、戦力の上積みは期待できない。後半戦に離脱したエースのザック・ウィーラーが、復帰後に故障前と同様の支配的なピッチングを見せられるかどうかも大きなポイントとなる。
昨季4位に沈んだブレーブスは各選手が離脱することなく実力を発揮すれば、フィリーズに匹敵する戦力を持つ。打線はジュリクソン・プロファーの出場停止が大誤算だが、ロナルド・アクーニャJr.やオースティン・ライリーが1年を通して健康にプレーできれば、リーグ上位の得点力を取り戻すことができるはずだ。クリス・セール、スペンサー・ストライダーという強力な二本柱を擁する先発陣はスペンサー・シュウェレンバック、ハーストン・ウォルドレプの両右腕が肘の手術で離脱。最多セーブのロベルト・スアレスが加入したブルペンは強力であり、先発4~5番手を担うグラント・ホームズ、ブライス・エルダーの出来がチームの浮沈を左右することになるだろう。
この2チームを上回る戦力を揃えたのがメッツだ。スターンズ編成本部長は「失点阻止」を重視する方針を掲げ、大幅なメンバーの入れ替えを敢行。打線にボー・ビシェット、ホルヘ・ポランコ、マーカス・セミエン、ルイス・ロベルトJr.らを加え、ブルペンにもルーク・ウィーバー、デビン・ウィリアムズを獲得した。さらに、千賀滉大らが並ぶ先発陣には待望のエースとして最多勝右腕のフレディ・ペラルタが加入。主砲ピート・アロンソや守護神エドウィン・ディアスが抜けたものの、チーム全体のバランスは良くなった印象があり、移籍2年目のフアン・ソトが本領を発揮するようなら40年ぶりのワールドシリーズ制覇も視界に入ってくる。
マーリンズはクローザーとして3年連続20セーブのピーター・フェアバンクスを獲得したが、剛腕エドワード・カブレラと左腕ライアン・ウェザーズを放出した先発陣は戦力ダウン。打線も強力とは言えず、元サイ・ヤング賞投手のサンディ・アルカンタラとエース候補のエウリー・ペレスの活躍次第では勝率5割のラインは狙えそうだが、ポストシーズン争いに絡むのは難しいだろう。
ナショナルズはエース左腕のマッケンジー・ゴアを放出し、再建モードが継続。打線にも目立った補強はなかった。先発陣にはマイルズ・マイコラス、フォスター・グリフィン、ザック・リテルが加入したが、投手陣全体として層は決して厚くないため、40人枠外からのスタートとなる小笠原慎之介にもチャンスは巡ってくるはずだ。
中地区はブリュワーズの4連覇を阻止すべく、カブスが充実の戦力を揃えた。強打者カイル・タッカーがFAで退団したものの、スター三塁手のアレックス・ブレグマンを獲得。リーダーシップに定評のあるアレックス・ブレグマンは、ピート・クルーアームストロング、マット・ショウ、モイゼス・バレストロスといった若手はもちろん、鈴木誠也ら主力にも好影響を与えることが期待される。先発陣は今永昇太の残留とエドワード・カブレラの加入でローテーションの5枠がしっかり固まり、ブルペンにも実績のある投手が4人加入。投打の戦力は全30球団の中でもドジャースに次ぐ充実度と言っていいだろう。
ブリュワーズはエースのフレディ・ペラルタを放出してやや戦力ダウンしたが、すぐに穴を埋める選手が台頭してくるのがこのチームの強みでもある。知名度のある選手は少ないが、確かな実力を持つ選手が揃っており、今季も侮れないチームであることは間違いない。
絶対的エースのポール・スキーンズを中心に投手陣が充実してきたパイレーツは今オフ、課題の得点力不足を解消するために打線強化に動いた。31本塁打のブランドン・ロー、21本塁打のマルセル・オズナ、17本塁打のライアン・オハーンが加入し、打線のパワーアップに成功。新戦力が期待通りに活躍すれば、「台風の目」となる可能性を秘める。
昨季ポストシーズン進出を果たしたレッズは剛腕ハンター・グリーンの出遅れが痛い。ただし、有望株のレット・ラウダー、チェイス・バーンズと穴を埋められる投手はいるため、エース不在の影響を最小限に抑えられるかもしれない。エリー・デラクルス、サル・スチュワートら若手野手の成長次第では今季もポストシーズン争いに絡んでくるだろう。
ナ・リーグ最多となる11度のワールドシリーズ制覇を誇るカージナルスは編成トップが交代し、数十年ぶりとなる本格的なチーム再建を開始。ソニー・グレイ、ノーラン・アレナド、ウィルソン・コントレラス、ブレンダン・ドノバンと主力を次々に放出して戦力ダウンしており、今季は次の勝負期を担う若手たちに経験を積ませるシーズンとなりそうだ。
西地区は98~2000年のヤンキース以来となるワールドシリーズ3連覇を狙うドジャースが圧倒的な戦力を誇る。重要な戦力で退団したのは71登板のアンソニー・バンダくらい。ミゲル・ロハス、キケ・ヘルナンデスと再契約を結んだほか、マイケル・コンフォートの不振で固定できなかった外野の1枠に23年ア・リーグ打点王のカイル・タッカー、タナー・スコットの不振で大きな弱点となっていたクローザーにはオールスター選出3度の剛腕エドウィン・ディアスを獲得した。そもそも昨季は新戦力の不振も含め、誤算が続出したにもかかわらず、球団史上初のワールドシリーズ連覇を達成。それを考えれば、よほど想定外の出来事が続出しない限り、地区優勝やポストシーズン進出を逃すことは考えにくい。今季も10月の戦いに照準を合わせ、ある程度余裕を持ちながらレギュラーシーズンを戦っていくのではないだろうか。大谷翔平と山本由伸はもちろん、2年目を迎える佐々木朗希の活躍にも期待したい。
ドジャースを追う「2番手グループ」は団子状態だが、戦力的にはダイヤモンドバックスがやや抜け出している印象だ。ヘラルド・ペルドモ、ケテル・マルテ、コービン・キャロルとオールスター級のタレントが並ぶ上位打線は強力で、下位打線にはノーラン・アレナド、カルロス・サンタナと実績十分のベテランが加入。投手陣はエース格のザック・ゲーレンが1年契約で残留し、元クローザーのポール・シーウォルドも戻ってきた。それぞれ肘の手術で離脱しているコービン・バーンズ、A.J.パック、ジャスティン・マルティネスの主力3投手がスムーズに復帰できれば、3年ぶりのポストシーズン進出のチャンスは十分にある。
ここ数年、ドジャース追撃の1番手だったパドレスは先発のディラン・シース、抑えのロベルト・スアレス、主力打者のルイス・アラエスとライアン・オハーンが抜けて戦力ダウン。資金難の影響もあり、大型補強に動くこともできなかった。選手層が厚いとは言えない中、ダルビッシュ有の全休は大きな痛手であり、WBCを辞退した松井裕樹の出遅れも確定。ここ数年で最も厳しい戦いとなるかもしれない。
21年に奇跡的な快進撃でドジャースから地区王座を奪ったあと、4年連続で勝率5割前後をウロウロしているジャイアンツは今季も「5割レベル」という印象。打線にルイス・アラエス、ハリソン・ベーダー、先発陣にタイラー・マーレ、エイドリアン・ハウザーを加えたが、劇的な戦力アップにつながるほどのインパクトはない。大学球界から直接メジャーの監督に就任したビテロ新監督の手腕には注目が集まるものの、5年ぶりに貯金を作ることができれば上出来だろう。
菅野智之が加入したロッキーズは現在、メジャーで最も状態が悪いチーム。戦力が足りていないだけでなく、将来の見通しも暗い。昨季の119敗を上回ることはないと信じたいが、4年連続で100敗を喫する可能性は極めて高い。上位進出を狙うチームはロッキーズ戦で取りこぼさないことが重要だ。
(企画構成:スリーライト)
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