MLBポストシーズン戦力ランキング2025
記事
MLBは2025シーズンが終了し、ポストシーズンへと突入する。ワールドシリーズを制し、世界一の座を射止めるのはどのチームか?
今回は、ポストシーズンに進出した全12球団の戦力を数値化。「打力」(30点満点)、「機動力」(10点満点)、「投手力」(30点満点)、「守備力」(10点満点)、「選手層」(10点満点)、「経験」(10点満点)に加え、ポストシーズンを勝ち抜くうえで重要な「勢い」(10点満点)の7項目に分けて評価した。
ワールドシリーズ連覇を目指すドジャースを中心に、全12チームの見どころを解説する。
(監修:村田洋輔)
※上位と解説はスポーツナビアプリでご覧いただけます。また、チーム名の後ろにある(ア)(ナ)はリーグ名を表しています。
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解説
ドジャースの連覇をフィリーズが脅かすか
4年連続の地区優勝を成し遂げ、21世紀初のワールドシリーズ連覇を目指すドジャースだが、今年は第3シードでワイルドカード・シリーズからの出場となるため、連覇への道のりは長く険しいものとなる。リーグ2位の55本塁打を放った大谷翔平が牽引する打線はリーグトップの得点力を誇り、ポストシーズンの経験が豊富な選手が多いのも頼もしい。先発陣もブレイク・スネル、山本由伸、大谷、タイラー・グラスノーの4本柱は間違いなく球界トップクラスの陣容だ。懸念材料はレギュラーシーズン中も不安定だったブルペン。タナー・スコットやブレーク・トライネンが精彩を欠いており、先発からブルペンに回るクレイトン・カーショー、エメ・シーハン、佐々木朗希らが今年のポストシーズンのキーマンとなるかもしれない。また、右手の亀裂骨折で離脱しているウィル・スミスの復帰時期もチームの戦いを大きく左右することになるだろう。戦力的には依然としてトップクラスだが、懸念材料も少なくなく、思わぬ早期敗退を強いられる可能性もありそうだ。
ドジャースの対抗馬はフィリーズだ。クリストフェル・サンチェス、ランヘル・スアレス、ヘスス・ルサルドの先発左腕トリオは安定感抜群。ブルペンも夏場のトレードで剛腕ヨアン・デュランを獲得したことにより、必勝パターンが固まった。打線は首位打者のトレー・ターナー、本塁打と打点の二冠に輝いたカイル・シュワバー、言わずと知れたスーパースターのブライス・ハーパーなど役者が揃う。絶対的エースのザック・ウィーラーを故障で欠いているのは痛手だが、防御率6点台と不振だったアーロン・ノラが復調し、先発4番手に収まれば、投打とも穴らしい穴はほとんど見当たらない。レッドソックスを解雇されたあと、マイナー契約で加入し、移籍後3登板で3勝0敗、防御率0.66と好投したウォーカー・ビューラーも貴重な戦力となりそうだ。ポストシーズン進出は4年連続。2008年以来のワールドシリーズ制覇に向けて「今年こそ」の思いは強い。
球団新記録の97勝を挙げ、メジャー最高勝率をマークしたブリュワーズも侮れない存在だ。17勝を挙げたエースのフレディ・ペラルタ、チーム最多の29本塁打&103打点を叩き出したクリスチャン・イエリチを除き、突出した存在はいないものの、誰が出場しても戦力が落ちないという選手層の厚さは大きな武器。2ケタ本塁打が7人、2ケタ盗塁も7人と打って走れる選手が揃っているのも特徴だ。セットアッパーのアブナー・ウリーベからクローザーのトレバー・メギルにつなぐ勝利の方程式も強力で、ポイントになるのは2番手以降の先発陣。右広背筋を痛めたブランドン・ウッドラフの復帰時期は不透明だが、今季ブレイクしたクイン・プリースターや経験豊富なホセ・キンタナがレギュラーシーズン通りのパフォーマンスを披露できれば、球団史上初のワールドシリーズ制覇も夢ではない。ポストシーズンでは2019年以降、最初のシリーズでの敗退が続いており、まずは地区シリーズを突破して勢いに乗っていきたい。
日本人選手が所属するカブスとパドレスはいきなりワイルドカード・シリーズで激突する。カブスはレギュラーシーズン終盤にカイル・タッカーが復帰し、鈴木誠也とピート・クルーアームストロングの復調もあって、打線の破壊力が戻ってきたのが明るい材料。34本塁打のマイケル・ブッシュ、打率リーグ2位のニコ・ホーナーなど、ほかにもタレントが揃う。投手陣に目を向けると、後半戦の12先発で防御率1.03と絶好調だった新人王候補のケイド・ホートンを故障で欠くのは大きな痛手。ポストシーズン中に復帰できる可能性もあるが、先発陣はマット・ボイド、今永昇太、ジェームソン・タイヨンの3枚を軸に回していくことになりそうだ。ブルペンも含め、ホートンの穴をカバーしていきたい。
パドレスの武器は何と言っても球界トップクラスの強力ブルペンだ。セットアッパーのジェイソン・アダムを故障で欠いてもなお、最多セーブのタイトルを獲得した守護神ロベルト・スアレス、チーム最多タイの13勝を挙げ、防御率2.08と安定感抜群だったアドリアン・モレホン、73イニングで108三振を奪ったジェレミア・エストラダ、夏場に加入し、圧巻の奪三振ショーを見せたメーソン・ミラーと強力な4枚が揃う。試合の6~9回はこの4人に任せることができるため、ダルビッシュ有や松井裕樹も含め、ほかの投手陣が5回までしっかり試合を作ることができれば、勝機が見えてくる。フェルナンド・タティスとマニー・マチャドの両スターが牽引する打線が早いイニングで得点を奪って先発陣を援護し、強力ブルペンを投入できる展開を作りたい。
ワイルドカード・シリーズでドジャースと対戦するレッズは、メッツとの熾烈な争いを制し、第6シードでのポストシーズン進出を決めた。ワールドシリーズ制覇二度、最優秀監督賞三度の名将テリー・フランコーナが率いるチームだけに不気味な存在だ。コンスタントに100マイルの速球を投げ込む剛腕エースのハンター・グリーンを中心に、防御率2点台のアンドルー・アボット、チーム最多の14勝を挙げたブラディ・シンガー、制球力抜群のザック・リテル、実力派左腕のニコラス・ロドロと先発陣はコマが揃っており、その強みを生かした戦いができれば、面白い存在となりそうだ。
強力打線のヤンキースが有力だがマリナーズも面白い
ア・リーグで最も充実した戦力を誇るのは、ブルージェイズと同率首位ながらも直接対決の成績でワイルドカードに回り、第4シードからのスタートとなるヤンキースだ。現役最強打者のアーロン・ジャッジが牽引する打線は今季メジャートップの849得点&274本塁打を記録。自己最多の34本塁打を放ったトレント・グリシャム、球団史上3人目の30本塁打&30盗塁を達成したジャズ・チザムなど、どこからでも一発が飛び出す重量打線だ。先発陣は19勝を挙げたマックス・フリードと18勝のカルロス・ロドンの2枚看板が頼もしい。ただし、3番手以降の人材を欠いており、7月のデビュー後、14先発で防御率2.96と好投したキャム・シュリットラーがキーマンとなりそうだ。最大の懸念材料は、ドジャースと同様にブルペン。絶対的守護神として期待されたデビン・ウィリアムスは防御率4.79でわずか18セーブと期待を裏切り、夏場に加入したカミロ・ドバルも制球難を克服できなかった。同じく途中加入のデービッド・ベッドナーは移籍後22登板で10セーブ、防御率2.19と安定しており、なんとかベッドナーにつなぐ展開を作りたい。2009年以来16年ぶり、球団史上28度目のワールドシリーズ制覇を目指す戦いがいよいよ始まる。
ヤンキースの主砲ジャッジとMVPを争うカル・ローリーを擁するマリナーズも楽しみな存在だ。今季は9月に17勝8敗と大きく勝ち越し、イチロー入団の2001年以来24年ぶりの地区優勝を達成。第2シードに入り、ポストシーズンでは地区シリーズからの登場となる。自慢の強力投手陣はレギュラーシーズン中、期待されたほどのパフォーマンスを見せられなかったものの、チーム最多の15勝と飛躍したブライアン・ウーを筆頭に、ローガン・ギルバート、ジョージ・カービー、ルイス・カスティーヨと依然として魅力的な陣容。ただし、ウーはレギュラーシーズン終盤に胸筋の張りを訴えており、ウーが投げられないような事態になれば、大幅な戦力ダウンは避けられない。ブルペンは守護神アンドレス・ムニョスが健在で、中継ぎ陣にも無名ながら質の高い投手が揃う。打線は60本塁打のローリー、球団史上初となる2度目の30本塁打&30盗塁を達成したフリオ・ロドリゲス、5年連続の20本塁打&20盗塁をマークしたランディ・アロザレーナ、途中加入のユジニオ・スアレスとジョシュア・ネーラーなど、豪華なメンバーが並んでいるが、見た目の印象ほど得点力は高くない。球団史上初のリーグ優勝、そしてワールドシリーズ制覇を果たすためには、投打の歯車がしっかりと噛み合うことが必要だ。
10年ぶりの地区優勝を成し遂げたブルージェイズは、投手力の弱さを打線がカバーしてきた。主砲ウラジーミル・ゲレロJr.は昨季ほどの活躍ではなかったが、ボー・ビシェットとジョージ・スプリンガーが復活を遂げ、ドールトン・バーショはわずか71試合の出場ながら20本塁打。新戦力のアンソニー・サンタンダーは期待外れだったものの、アディソン・バーガー、ネーサン・ルークス、アーニー・クレメントなど、日替わりでヒーローが誕生する打線がチームの快進撃を支えた。先発陣はエースのケビン・ガウスマンこそ例年通りの働きを見せたものの、それ以外はポストシーズンを勝ち抜く上でやや不安が残る陣容。夏場のトレードで加入した元サイ・ヤング賞投手のシェーン・ビーバーと9月にデビューして好投した有望株トレイ・イェサベージがキーマンとなりそうだ。ブルペンは全体的に不安定。特にクローザーのジェフ・ホフマンの一発病が心配だ。
吉田正尚が所属するレッドソックスは4年ぶりのポストシーズン進出。6月に主砲ラファエル・デバースをジャイアンツへ放出する電撃トレードがあったものの、投打のバランスが取れた戦力でワイルドカード争いを勝ち抜いた。打線はアレックス・ブレグマンとトレバー・ストーリーの三遊間コンビが軸。左わき腹を痛めている有望株ロマン・アンソニーは残念ながらワイルドカード・シリーズには間に合わない。先発陣はギャレット・クロシェット、ブライアン・ベロ、ルーカス・ジオリトの2ケタ勝利トリオが牽引してきたが、ジオリトは右ひじの疲労でワイルドカード・シリーズを欠場する。3戦目までもつれた場合、9月にデビューした有望株コネリー・アーリーが先発の大役を担うことになりそうだ。ブルペンは剛腕アロルディス・チャプマンが絶対的守護神として君臨。そこにつなぐまでの中継ぎ陣もコマが揃っている。
ア・リーグ中地区はガーディアンズが最大15.5ゲーム差を逆転するという劇的な結末となったが、ワイルドカード・シリーズで地区王者のガーディアンズと2位タイガースが再び顔を合わせる。ガーディアンズは9月に入って投手陣が急激に安定し、10連勝を含む20勝7敗という快進撃につながったが、短期決戦で重要とされる絶対的エースは不在。30本塁打&40盗塁を達成したホセ・ラミレスが牽引する打線の得点力は高くないだけに、タナー・バイビー、ギャビン・ウィリアムスら先発陣が崩れるようだと、一気に苦しくなる。9月の勢いをどこまで維持できるかがポストシーズンの戦いを左右することになりそうだ。
まさかの逆転優勝を許したタイガースには、絶対的エースのタリク・スクバルがいる。今季も13勝6敗、防御率2.21、241奪三振と素晴らしい活躍を見せ、2年連続のサイ・ヤング賞が有力。レギュラーシーズン161試合目にポストシーズン進出が決まったため、162試合目に先発予定だったスクバルをワイルドカード・シリーズ初戦に投入できるのは非常に大きい。先発2番手以降には大きな不安を残し、それが7勝17敗という9月の失速にもつながっただけに、短期決戦のポストシーズンにおいて、スクバル登板試合は絶対に勝たなければならない試合となる。打線は36本塁打&111打点をマークしたライリー・グリーンが軸。アストロズ時代にワールドシリーズ制覇を経験している名将A・J・ヒンチの采配にも注目したい。
(企画構成:スリーライト)
関連リンク
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