MLB戦力ランキング【2025年後半戦】

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 今シーズン中のトレード期限が終了し、プレーオフ進出、そしてワールドシリーズ制覇に向けて各球団の戦力が固まった。今回は、MLB全30球団の戦力を数値化。「打力」(30点満点)、「機動力」(10点満点)、「投手力」(30点満点)、「守備力」(10点満点)、「選手層」(10点満点)、「経験」(10点満点)の6項目に分けて評価した。さらに、トレード期限が迫るなかでまとまった移籍を「補強/放出」と7つ目の項目として設定し、加点/減点方式で評価。駆け込みトレードで「戦力」アップした球団は思惑通りの結果が得られるだろうか? 今回はア・リーグ編をお届けする。(監修:村田洋輔)

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※チーム名の後ろにある(東)(中)(西)は地区名を記載しています

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解説

ジャッジの復帰が待たれるヤンキース

復帰に向けて調整するアーロン・ジャッジ。逆転優勝へ早期復帰が期待される【Photo by Phebe Grosser/MLB Photos via Getty Images】

 日本時間8月1日午前7時、MLBはトレード期限を迎えた。ここでは各球団のトレード市場での動きを振り返りつつ、地区優勝やプレーオフ争いの行方を展望する。

 東地区の首位を走るブルージェイズはガーディアンズから元サイ・ヤング賞投手のシェーン・ビーバーを獲得。トミー・ジョン手術のリハビリは終盤に突入しており、8月中に復帰できる見込みのため、ケビン・ガウスマンら実績十分の投手が並ぶ先発ローテーションはさらに強化されそうだ。ほかにもツインズとのトレードでタイ・フランス、ルイ・バーランドを獲得し、選手層に厚みを加えた。2年ぶりのプレーオフ進出&10年ぶりの地区優勝に向け、堅実な補強を行った印象だ。

 ブルージェイズを追うヤンキースは負傷者リスト入りしている主砲アーロン・ジャッジの早期復帰が逆転優勝への絶対条件。トレード市場では弱点の三塁にライアン・マクマーン、ブルペンにデービッド・ベッドナーやカミロ・ドバルを加えたほか、元盗塁王のホセ・カバジェロらも獲得し、選手層も厚くなった。先発投手の補強は行わなかったが、今夏のトレード・デッドラインにおける「勝ち組」の1つに挙げる声も多く、逆転優勝を目指す。

 前半戦を破竹の10連勝で終えたレッドソックスは、オールスター・ブレイク後に6勝6敗とやや失速。それでも4年ぶりのプレーオフ進出に向け、ワイルドカード圏内をキープしている。トレード市場での補強はダスティン・メイとスティーブン・マッツの両投手を獲得したのが目立つ程度。6月には主砲ラファエル・ディバースを放出するというサプライズもあったが、大幅な戦力ダウンは感じられず、むしろ投打のバランスが良くなった印象も受ける。吉田正尚の奮起にも期待したい。

 格安年俸軍団のレイズは一時、首位争いに加わっていたが、徐々に後退。トレード市場では今後のチーム編成を見据え、売りと買いの両面でトレードを行った。放出が噂されたヤンディ・ディアス、ブランドン・ロー、ピーター・フェアバンクスはいずれも残留。複数年保有できるグリフィン・ジャックスをツインズから獲得したのは、来季以降の戦いに向けてプラス材料と言えるだろう。

 シーズン開幕前に優勝候補の一角だったオリオールズは、投打とも振るわず、まさかの低迷。セドリク・ムリンス、チャーリー・モートン、ライアン・オハーン、ラモン・ロレアノといった主力選手をトレードで放出し、今季のプレーオフ進出を諦めた。菅野智之はトレードされず残留しており、トレバー・ロジャーズとともに先発ローテーションを支える働きが期待される。

中地区独走のタイガースは選手層がさらに充実

タイガースは先発右腕クリス・パダックを獲得。早くもプレーオフの戦いを見据えている【Photo by John Fisher/Getty Images】

 中地区はタイガースが独走状態。そのタイガースは、先発陣にクリス・パダックとモートン、ブルペンにはカイル・フィネガン、ラファエル・モンテロらを加え、一気に層が厚くなった。地区優勝はほぼ間違いない状況であり、プレーオフの戦いにおいて、絶対的エースのタリク・スクバルの存在は他球団にとって大きな脅威。打線のバランスも悪くなく、スクバルに次ぐ「先発2番手」の確立がプレーオフを勝ち進んでいくためのポイントとなりそうだ。

 ガーディアンズは守護神エマニュエル・クラセのスポーツ賭博疑惑が影響したのか、売り手寄りのスタンスとなった。とはいえ、トレードが噂されたスティーブン・クワンやケード・スミスをキープするなど大幅な戦力ダウンは回避しており、逆転でのワイルドカード獲得を諦めたわけではなさそう。エース不在の先発陣の頑張り次第では十分にチャンスはある。

 ロイヤルズは早い段階から買い手に回る姿勢を明確にし、トレード候補だったセス・ルーゴと契約を延長したほか、アダム・フレージャーやランデル・グリチェクを補強。トレード期限間際にもベイリー・ファルターやマイク・ヤストレムスキーを獲得し、投打両面で戦力を底上げした。2番手捕手のフレディ・フェルミンをパドレスへ放出しているが、その穴は主将サルバドール・ペレスの頑張りとベテラン捕手のルーク・メイリーでカバーするつもりなのだろう。

 ツインズは豪快にチームを解体。カルロス・コレアの古巣アストロズへの電撃トレードにとどまらず、ジョアン・デュラン、パダック、ジャックス、バーランド、ブロック・スチュワート、ダニエル・コローン、ハリソン・ベイダー、ウィリー・カストロ、フランスとロースター26人枠から10選手を放出した。コレア放出で将来的な金銭負担が軽減されたため、チームの「再編」を進めていくことになりそうだ。

 最下位のホワイトソックスは今季の不振でトレード市場での価値が低下しているルイス・ロベルトJr.を放出しなかった。オースティン・スレーター、エイドリアン・ハウザーら一部の選手は放出したものの、チームリーダーとして存在感を示しているマイク・トークマンも残留。トークマンのようなベテランと一緒にプレーさせることで若手の成長を促す狙いがあるのかもしれない。

エンゼルスはワイルドカードに手が届くか

今季安定した投球を続ける菊池雄星。ワイルドカード出場へ望みをかける【Photo by Eric Thayer/Getty Images】

 西地区首位のアストロズはコレア復帰という大きなサプライズがあった。正三塁手のイサク・パレデスが右ハムストリングを痛めて復帰の見込みが立っていないため、プレーオフの実績も豊富なコレアを三塁手として起用するつもりのようだ。ほかにも補強ポイントだった「左打ちの外野手」としてヘスス・サンチェス、内野のバックアップ役にはラモン・ウリアスを獲得。駒不足気味の先発陣に不安を残すものの、地区5連覇に向けて戦力アップに成功した。

 マリナーズはアストロズ以上の積極補強を敢行。ダイヤモンドバックスからジョシュア・ネーラー、ユジニオ・スアレスという2人のスラッガーを獲得し、ランディ・アロザレーナ、フリオ・ロドリゲス、カル・ローリーら豪華ラインナップが完成した。投手陣には昨季ほどの安定感がないものの、得点力の向上で十分にカバーできるはず。殿堂入りしたイチロー氏の入団イヤーである2001年以来24年ぶりの地区優勝を目指し、首位アストロズにどこまで迫れるか注目だ。

 レンジャーズは防御率こそ優秀ながらも今一つ信頼感に欠けていたブルペンを重点的に補強。カージナルスからフィル・メイトン、ツインズからコローンを手に入れた。ジェーコブ・デグロムとネーサン・イオバルディの先発2本柱は球界有数の安定感を誇っており、プレーオフに進むことさえできれば、ワイルドカードから頂点に上り詰めた2023年の再現も期待できそうだ。

 終始5割前後をウロウロしているエンゼルスはケンリー・ジャンセンやテーラー・ウォードといった主力選手の放出も噂されたが、ブルペンにルイス・ガルシアとアンドルー・チェフィン、控えの内野手にはオスワルド・ペラザを獲得し、プレーオフ進出を諦めない姿勢を明確にした。ザカリー・ネト、ノーラン・シャヌエル、ジョ・アデルといった若手が着実に成長し、菊池雄星ら先発陣も大崩れすることなくローテーションを回すなど、チームの雰囲気は決して悪くない。もう1度、大型連勝を作ることができれば、ワイルドカードに手が届く可能性もある。

 最下位のアスレチックスは思い切って剛腕メーソン・ミラーをパドレスへ放出。その対価として球界有数のトップ・プロスペクトであるレオ・デブリーズを手に入れた。今季だけを見れば戦力ダウンは避けられないものの、長期的に見れば大きな戦力アップとなる可能性がある。強打のニック・カーツら若手も台頭しており、将来の見通しは決して暗くない。

(企画構成:スリーライト)

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