MLB戦力ランキング【2025年後半戦】

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 今シーズン中のトレード期限が終了し、プレーオフ進出、そしてワールドシリーズ制覇に向けて各球団の戦力が固まった。今回は、MLB全30球団の戦力を数値化。「打力」(30点満点)、「機動力」(10点満点)、「投手力」(30点満点)、「守備力」(10点満点)、「選手層」(10点満点)、「経験」(10点満点)の6項目に分けて評価した。さらに、トレード期限が迫るなかでまとまった移籍を「補強/放出」と7つ目の項目として設定し、加点/減点方式で評価。駆け込みトレードで「戦力」アップした球団は思惑通りの結果が得られるだろうか? 今回はナ・リーグ編をお届けする。(監修:村田洋輔)

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解説

千賀ら先発陣安定のメッツは10年ぶりの地区優勝なるか

東地区首位を争うメッツはカージナルスの守護神ライアン・ヘルズリーら中継ぎ陣を強化【Photo by Dilip Vishwanat/Getty Images】

 日本時間8月1日午前7時、MLBはトレード期限を迎えた。ここでは各球団のトレード市場での動きを振り返りつつ、地区優勝やプレーオフ争いの行方を展望する。

 メッツとフィリーズが熾烈な優勝争いを繰り広げている東地区では、この2球団が積極的な動きを見せた。メッツはカージナルスの守護神ライアン・ヘルズリーのほか、タイラー・ロジャーズ、グレゴリー・ソトを獲得してブルペンを補強。絶対的守護神のエドウィン・ディアスにつなぐ中継ぎ陣が大幅に強化された。また、弱点のセンターにはオリオールズからセドリク・ムリンスを獲得している。先発の層を厚くすることができなかったのが懸念材料だが、千賀滉大ら先発陣が故障することなく実力を発揮すれば、2015年以来10年ぶりの地区優勝も夢ではない。

 フィリーズも課題のブルペンにツインズの剛腕ジョアン・デュランを補強。今季無所属だったデービッド・ロバートソンも獲得しており、弱点のブルペンが一転して強みとなる可能性も出てきた。メッツ同様、センターの補強にも動いており、好守のハリソン・ベーダーを獲得。カイル・シュワバーが牽引する打線、ザック・ウィーラー、クリストフェル・サンチェス、ランヘル・スアレスらを擁する先発陣はどちらも強力であり、ブルペンがしっかり機能すれば、メッツとの争いを制して地区2連覇を成し遂げることができるはずだ。

 予想外の健闘で3位につけているマーリンズは、噂されていたサンディ・アルカンタラやエドワード・カブレラの放出には動かなかった。元サイ・ヤング賞投手のアルカンタラはトミー・ジョン手術から復帰した今季、21先発で防御率6.36と苦しんでおり、球団としては価値が下がっているタイミングでのトレードを避けたのだろう。

 シーズン開幕前にメッツ、フィリーズとともに東地区の「3強」に挙げられていたブレーブスは思わぬ低迷を強いられている。8年連続のプレーオフ進出は絶望的な状況であり、一部の主力を放出する可能性も取り沙汰されたが、最終的には戦力をキープすることを選択。現有戦力の復調に賭け、奇跡のプレーオフ進出を目指す。

 7月上旬にマイク・リゾGMとデーブ・マルティネス監督を解任したナショナルズはジェームス・ウッドら一部の若手が活躍しているものの、プレーオフ進出を狙える状況ではなく、先発右腕のマイク・ソロカやクローザーのカイル・フィネガンを放出。8月以降は若手に出場機会を与え、来季以降を見据えた戦いに臨む。

地区優勝を目指すカブスは今永ら先発陣がカギ

打線が強力なカブスは、地区優勝に向けて今永昇太を中心に投手陣の頑張りにかかっている【Photo by John Fisher/Getty Images】

 中地区ではブリュワーズとカブスによる激しい首位争いが続いている。ブリュワーズはスモールマーケット球団ながら投打ともバランスのいい戦力を揃えており、トレード市場では大きな動きを見せなかった。シーズン途中に補強したクイン・プリースターやアンドルー・ボーンが期待以上の活躍を見せており、夏のトレード市場で無理に動く必要がなかったとも言える。知名度の低い実力派が揃う「無名軍団」が球団史上初の地区3連覇を目指す。

 ブリュワーズを追うカブスは2020年以来5年ぶりの地区優勝&プレーオフ進出を成し遂げるために、トレード市場では弱点の投手陣を補強した。先発にソロカ、ブルペンにはテーラー・ロジャーズやアンドルー・キトレッジを加え、戦力アップに成功。野手陣にはユーティリティ・プレーヤーのウィリー・カストロを加え、層を厚くした。カイル・タッカー、鈴木誠也、ピート・クルーアームストロングら強力打線の得点力は高く、地区優勝を達成できるかどうかは、今永昇太とマシュー・ボイドの両左腕を軸とする先発陣、そして複数の新戦力を加えたブルペンの頑張りにかかっている。

 ワイルドカードを狙うレッズもトレード市場で買い手に回り、名手ケブライアン・ヘイズ、先発右腕ザック・リテル、元有望株ミゲル・アンドゥハーを獲得。リテルの加入でニコラス・マルティネスをブルペンに回すことが可能になり、8月中にはエース右腕のハンター・グリーンも負傷者リストから戻ってくる予定のため、投手力アップが期待できる。

 カージナルスは7月に失速し、ワイルドカード獲得が厳しい状況に。それを受け、今季終了後にFAとなるヘルズリー、フィル・メイトン、スティーブン・マッツの3投手を放出した。タレントが揃う打線がしっかり機能し、投手陣が踏ん張ることができれば、逆転でのプレーオフ進出の可能性もゼロではないが、あまり現実的ではない。今季終了後にはジョン・モゼラック編成本部長が退任し、後任にハイム・ブルームが就任することが決まっており、8月以降は来季を見据えた戦いとなる。
 
 パイレーツは他球団からトレードの問い合わせが殺到していたミッチ・ケラーを放出しないことを選択。しかし、トレード市場では名手ヘイズのほか、デービッド・ベッドナー、ベイリー・ファルター、ケーレブ・ファーガソンらを放出しており、8月以降の浮上は望めない。今季終了後にFAとなるアンドルー・ヒーニーやトミー・ファムは残留しており、やや中途半端な印象も受ける。

パドレスは「打倒・ドジャース」へ大補強を敢行

30日(現地時間)のレッズ戦で緊急降板した大谷。ドジャースは大補強をしたパドレスから逃げ切れるか【Photo by Andy Lyons/Getty Images】

 ドジャースは「売り手が有利になる夏場のトレードはなるべく避ける」というアンドリュー・フリードマン編成本部長の方針に従い、小規模な動きにとどめた。弱点の投手陣にはツインズからブロック・スチュワートを獲得したのが目立つ程度だが、これはブレイク・スネル、タナー・スコットら離脱中の選手たちの復帰が最大の戦力補強になるということだろう。野手陣も同様で、大きな補強は行わず、マックス・マンシーら負傷者の復帰を待つことを選択した。この判断が吉と出るか凶と出るか、今後の戦いが注目される。もちろん、大谷翔平、山本由伸、そして8月中の戦列復帰が期待される佐々木朗希の「日本人トリオ」の活躍も重要になる。

 ドジャースを追うパドレスは大補強を敢行。超有望株のレオ・デブリーズらを放出し、剛腕メーソン・ミラー、強打のライアン・オハーン、強肩好打のラモン・ロレアノらを獲得して大幅に戦力をアップさせた。ロイヤルズでサルバドール・ペレスの影に隠れていたフレディ・フェルミンを獲得し、捕手のアップグレードに成功したのも大きい。現時点の戦力を比較すると、決してドジャースにも見劣りせず、ダルビッシュ有、松井裕樹とともに「打倒・ドジャース」を目指す準備は整った。

 シーズン途中までドジャース、パドレスと首位争いを繰り広げていたジャイアンツはロジャース、カミロ・ドバル、マイク・ヤストレムスキーらを放出して白旗モード。シーズン途中に加入したラファエル・ディバースのほか、ウィリー・アダメズ、マット・チャプマン、ローガン・ウェブ、ロビー・レイら魅力的な選手はいるものの、上位2球団と比べると層が薄く、追いつくのは難しそうだ。

 シーズン開幕前に「打倒・ドジャース」の筆頭候補に挙げられていたダイヤモンドバックスは、負傷者続出の投手陣が崩壊。トレード市場では売り手に回り、ジョシュア・ネーラー、メリル・ケリーといった主力選手を放出した。コービン・キャロル、ケテル・マルテらを擁する打線は依然として強力だが、投手陣の立て直しを行わないことには、来季以降の再浮上も見えてこない。

 歴史的な低迷中のロッキーズは「売れる選手」もほとんどいないという悲惨な状況だった。現時点でシーズン120敗ペースとなっており、昨季ホワイトソックスが作ったシーズン121敗の近代野球記録の回避だけが目標となりそうだ。

(企画構成:スリーライト)

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