ドジャース先勝、3連覇へのチェック項目を一つずつクリア 初戦で見えた好材料と次なる焦点とは?

丹羽政善

ブレーブスとの地区シリーズ第1戦の1回裏、シングルヒットを放つ大谷翔平 【Photo by Luke Hales/Getty Images】

 ちょうど、ドジャースのテオスカー・ヘルナンデスが先制2ランを放った四回、一塁側のコンコースでは、倒れた女性を球場の救護班がストレッチャーに乗せるところだった。ほぼ間違いなく、熱中症だろう。そのときスマートフォンで気温を確認すると、101°F(摂氏 38.3°C)と表示されていた。

 テレビではおそらく、外野や内野のポール際に空席が目立ったはず。チケットが売れなかったのではない。観客数は5万194人。暑くてじっと座っていられないのだ。多くの観客は日陰に座り込み、近くのテレビモニターを見ながら試合経過を追っていた。この日のチケットが再販サイトで50ドル台まで下がったのも、当然か。

 さて、試合は六回、ショーン・マーフィーのソロ本塁打で1点差となったが、その裏、ドジャースはカイル・タッカーとマックス・マンシーに本塁打が出て5対1に。その時点で勝負あった。

 大谷は第1打席にヒットを放ち、4打数1安打。状態を判断できるほどの内容ではなかったが、シーズン中に見られたブレーブスの攻めが、この日も継続されていたことは確認できた。

大谷に対するブレーブス投手陣の攻めは継続

 大谷は今季、ブレーブス戦で26打数5安打、打率.192、0本塁打、0四球、8三振。顕著なのは大谷がボール球を追いかける割合で、対ブレーブス戦ではシーズン平均の28.6%を大きく上回る40.4%だった。

 そのボール球を追いかけるカウントも特徴的だ。大谷が振ったボール球23球のうち、9球が0-0、もしくは1-0のカウントだった。つまり、追い込まれてから仕方なくゾーンを広げたというより、早いカウントからそういう傾向が見られた。また、高めの速球を追いかけるパターンも多かった。

 そんなデータを知っていると、この日の第1打席にブレーブス先発のダイラン・ドッドが、1ストライクからの2球目に高めに外れるシンカーを投げたことも理解できる。打ち取れればベスト。ファウルなら追い込める。しかし、大谷はその球をしっかり見送った。

 これはシーズン中とは違うところ。カウントは1-1。ここから1-2になるか、2-1になるかで、その後の被打率は大きく変わってくる。リーグ平均では、2-1になった後の打率が.247なのに対し、1-2では.178。大谷は、ボール球を見極めたことで優位に立った。かくしてトッドは3球目にカットを真ん中低めに投げたが、それを大谷は捉え、右前へ。ここは、大谷の勝ちだった。

第2打席は二塁ライナーに打ち取られた大谷翔平 【写真は共同】

 ただ、この1打席だけでブレーブスのプランが変わることはなかった。第2打席は2球、シンカーを高めに投げてきた。いずれもゾーン内だったが、ともにファウル。追い込まれた大谷は最後、外角のボールになるカットボールを打たされ、力のない二塁ライナーに終わった。やはり有効なのだろう。

 実は、その攻め方を教えてくれたのは、あるブレーブスのリリーフ投手である。

「翔平は、高めのボール球に手を出す。早いカウントでストライクを稼ぐのに有効だ」

 それはいまさら秘密でもないが、徹底できるかどうか。そして、そこへ投げ切れるかどうか。そこに投手力の差が出る。一歩間違えば、長打のリスクもあるからだ。

 第4打席もブレント・スーターが2球目に内角高めへシンカーを投げ、空振りを奪った。

 彼らとしては、この攻めを徹底するつもりなのかもしれない。であるなら、逆に対策も立てやすい。大谷がボール球を見極められるかどうか。第2戦以降、そこが見どころとなる。

先発投手の起用は、昨年同様、長いイニング?

 タリク・スクバルが6回を投げて、2安打、1失点、7奪三振。暑さを考慮し、早めに降板させるかと思われたが、通常運転。また、昨日の見どころで触れたように、先発に長いイニングを投げさせる傾向も確認できた。

 もちろん、101°Fは彼にとって初めてだったが、アリゾナ州に住んでいたこともある彼は、こう明かした。

「127°F(摂氏52.8°C)で投げたことがある。リトルリーグの試合だけど」

 さすがにジョークだろうが、最速が101.1マイルだったことについても聞かれると、こんな冗談を飛ばした。

「気温と同じ数字にしようと思って」

テオスカー・ヘルナンデス、カイル・タッカーは好調維持

 シーズンを通して、本来の力を発揮できなかった2人。9月に入ってともに状態を上げ、ヘルナンデスは打率.341、出塁率.420、OPS .965、4本塁打、18打点。タッカーは打率.262、出塁率.354、OPS .889、6本塁打、13打点。

 この勢いをポストシーズンに持ち越せるかが注目されていたが、ともに貴重な本塁打を放ち、存在感を示した。

 ヘルナンデスは、「調子が悪かったことは、過去のこととして消去した。9月に自信を取り戻せた」。

 ドジャースにとって、この2人がそろって2安打、2打点をマークしたことは大きな意味を持つ。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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