麟太郎だけじゃない「プロ野球を経由せずメジャー」オリックス入りを拒否した石川ケニー22歳の現在

高木遊

シンシナティ・レッズに入団した石川ケニー(写真はジョージア大学時代) 【写真:Imagn/ロイター/アフロ】

 高校球児の進路が多様化する令和の時代にあって、新たな道を切り拓こうとしているトップランナーがいる。その一人が、今年7月のMLBドラフトでシンシナティ・レッズから13巡目(全体392位)で指名された石川ケニーだ。昨年のNPBのドラフト会議でオリックスから6位指名を受けていたが、レッズへの入団を決意した。

 マイアミ・マーリンズから8巡目(全体235位)指名された佐々木麟太郎(スタンフォード大)と同じく、プロ野球を経験せずにメジャーリーグを目指す22歳のパイオニアに、アメリカの大学野球事情やメジャー挑戦を選んだ理由を聞いた。

アメリカでの2年間「本当に楽しかった」

――7月のMLBドラフトでシンシナティ・レッズから指名を受け、そして入団合意となりました。現在はどこにいらっしゃるんですか?

石川ケニー(以下、敬称略) アリゾナ州のグッドイヤーにあるレッズの育成施設を拠点に活動しています。(グッドイヤー・ボールパークは)ジョージア大学に比べると少し劣りますが、不自由なくやれていますね。

――2年間、アメリカの大学野球を経験してみていかがでしたか?

石川 勉強だとかスケジュールだとか困難なこともありました。ジョージア大ではチャーター機で移動できたので大きな空港に行かなくてよかったんですけど、シアトル大のときには試合のためにバスで5時間、飛行機で3時間移動したり、試合前に宿題をやったり……日本では考えられないスケジュールですよね。でも、ひと言で言えば、本当に楽しかったですね。野球のレベルはすごく高いですし、シアトルの1年間もジョージアでの1年間も、すごく充実していたと思います。

――名門ジョージア大での時間はどのようなものでしたか?

石川 (シアトル大から編入して)新しい環境でまた自分のことを証明しないといけなかった。自分のように転校してきた選手もいましたし、内野から外野に移ってくる選手もいたりと、とにかく競争が激しかった。みんな体も大きいですしね。でも、そういう中で切磋琢磨するのは楽しい時間でした。

――明秀日立高校時代は、かつて光星学院で坂本勇人(巨人)らを育てた金沢成奉監督、亜細亜大学時代は山崎康晃(DeNA)らを育てた生田勉監督(石川の入学当時)と、数多くのプロ野球選手を輩出してきた名将の下で技術と人間性を磨いてきました。以前「日本のスタイルも好きで感謝してます」とお話しされていましたが、アメリカと日本では練習の内容はけっこう違うものですか。

石川 全体練習は日本より短くて3時間程度。時間になったらきっちり終わります。でもその分、密度は高いですよ。その後はそれぞれ個人練習。ジムに行く人も多いです。指導はビデオ分析が中心。良いときの自分の映像を残しておいて、調子を崩したときに比較して『おまえは以前こうだったぞ』と具体的に伝えてくれるんです。新しいことを無理にやらせるより、おのおののペースや個性を大事にしてくれる。監督・コーチと選手は対等な関係で、先輩後輩もなく、意見が言いやすい雰囲気ですね。

充実のアメリカ大学生活を振り返った石川ケニー(右)。明るく前向きな性格も大きな魅力だ 【Photo by John Adams/Icon Sportswire via Getty Images】

――先ほど「困難なこともあった」という話がありましたが、アメリカでは学業面の取り組みも重視されるんですよね。

石川 そうですね。授業をしっかり受けて、野球はその後。午前中に2コマぐらい、8時から12時までみっちり授業を受け、それから練習というスケジュールでした。学業をおろそかにすると、ロースターにすら入れてもらえなくなります。だから、練習の直前まで勉強をしていたりだとか、練習終わってすぐ帰って勉強するだとか、日本とは違う大変さがありましたね。

――単位は取れましたか?

石川 そうですね。自分が一番好きな野球に支障が出ないように、最低限のことはしっかりやるようにしていました。

――キャンパスライフはどうでした?

石川 名門大学であるジョージア大は、学生の数や敷地の規模などすべてがシアトル大とは違ったので驚きました。強豪ということもありますが、なかでもフットボール(アメリカンフットボール)の人気はすごかったですね。自分も何回か試合を観に行ったのですが、観客席(※)を見たときに「これがフットボールの人気なんだ」っていう驚きがありました。
※『サンフォード・スタジアム』…ジョージア大のフットボールの本拠地。毎試合9万人以上の観客で埋め尽くされる。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。侍ジャパンの全カテゴリー(U-12代表からトップチーム、女子)の取材から国内のアマチュア野球、女子野球と幅広く取材している。書籍では『東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方〜氷点下20℃の北の最果てから16人がNPBへ〜』(樋越勉著)『レミたんのポジティブ思考"逃げられない"な"楽しめ"ばいい!』(土井レミイ杏利著)『野球で人生は変えられる〜明秀日立・金沢成奉監督の指導論(金沢成奉著)の構成を務めた。また、SOTメディア株式会社代表取締役社長としてセガサミー野球部などチーム・連盟の公式サイトのコンテンツ制作なども行う。

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