F1に残ることの難しさ 角田裕毅が直面する日本人ドライバーの壁
一定の評価は得たが……
この8月、レッドブルのイザック・アジャが手首を骨折。控えドライバーだった角田は、グループチームのレーシングブルズから代役出場した。3レースの結果は、11位、10位、14位。ほとんど練習もできないぶっつけ本番だったにもかかわらず、今季大きく変化したマシンを乗りこなし、入賞1回、1ポイントを獲得したことには、チームや欧州メディアからも一定の評価を得た。
しかしF1デビューしたばかりのチームメイト、アービッド・リンドブラッドに対しては、予選で全敗。レースでも、リンドブラッドは8、9位と連続入賞した。角田は確かに健闘した。F1でもう一度戦えることも、十分に証明した。だが強烈なインパクトを残したとは、残念ながら言い難い。
角田は、来季のF1復帰を目指している。現時点ではハース、キャディラックなどが候補チームに挙がっているものの、状況は正直厳しい。
歴代日本人ドライバーがぶつかってきた壁
一方キャデラックは、不調が続くバルテリ・ボッタスに代わって、角田が加入する観測が一時は出ていた。しかし現在はオコンが、最有力候補だ。角田を長年支援してきたホンダがパワーユニットを供給するアストンマーティンも、フェルナンド・アロンソらレギュラー二人の残留が正式に発表された。残念だが、角田の来季F1復帰という選択肢は、ますます狭まりつつある。
思えばこれまでF1に挑んだ日本人ドライバーたちも、似たような壁にぶつかってきた。
たとえば、佐藤琢磨。スーパーアグリで活躍を見せていたが、チームは財政難でF1撤退。シーズン途中でシートを失ってしまう。佐藤は現役復帰を諦めず、レッドブル姉妹チームのトロロッソ(現レーシングブルズ)のオーディションに参加した。三度にわたるテストでは正ドライバーを凌ぐタイムを出し、技術陣からも高い評価を得た。しかし最終的にはレッドブル育成ドライバーが選ばれ、佐藤のF1キャリアは終止符を打った。
小林可夢偉も、不本意な形でF1から去って行った。所属していたザウバーは、深刻な資金難からスポンサー付きドライバーを採用。翌年は耐久レースに出場したものの、F1を諦めきれず、無報酬という条件で下位チームのケイターハムと契約した。だが待っていたのは絶望的な戦闘力不足のマシンと財政難だった。年末にはチームは消滅し、その後の可夢偉はスーパーフォーミュラや耐久選手権に活躍の場を移していった。