3年連続100敗からポストシーズンへ── ホワイトソックス奇跡のシンデレラ・ストーリーを導いた「要因」

久保田市郎

村上(右から2人目)をはじめ、若手の躍進がホワイトソックスを変えた 【Photo by Sydney Schneider/MLB Photos via Getty Images】

最大の要因は「若手の躍進」

 ホワイトソックスがワイルドカードで2021年以来5年ぶりとなるポストシーズン進出を果たした。9月の失速で地区優勝こそ逃したものの、2年連続100敗以上のチームがポストシーズンへ進んだのは史上初。ホワイトソックスの場合は3年連続、しかも24年には史上ワースト記録(1900年以降)となるシーズン121敗を喫していたのだから、まさに「歴史的大躍進」と言っていい。

 この快挙はいかにして成し得たのだろうか。言うまでもなく、最大の要因は若手選手の躍進だ。

 特に野手陣では、村上宗隆(一塁)、サム・アントナッチ(レフト)、トリスタン・ピーターズ(センター)、ブレイデン・モンゴメリー(ライト)と4人のルーキーがレギュラーに定着。その中でも、シーズン序盤に躍動したのが村上だった。

 メジャーの速球への対応力が懸念される中、開幕戦からいきなり3試合連続本塁打。5月末までに20ホーマーを量産し、MLBのルーキー記録を更新した。その後、右ハムストリングを痛めて1ヶ月以上の故障を強いられ、後半戦は成績を落としてしまったが、チームに勢いを与えたという意味でも数字以上の働きぶりだったと言っていい。

 1番に定着したアントナッチは球団記録を更新する29死球と、身体を張ったハッスルプレーで打線を牽引。あのサバンナ・バナナズ出身で、開幕当初はまったく無名の存在だったピーターズは、球団史上7人目のサイクルヒットや球団タイ記録の5試合連続本塁打など次々に意外な活躍を披露。村上とともにオールスターにも選出された。個人レベルでは、彼の活躍が今季最大のサプライズだったと言っていいだろう。

 球団屈指のトップ・プロスペクトとして期待を集めていたB・モンゴメリーは、メジャーデビュー戦でサヨナラ本塁打(現地6月9日のブレーブス戦)という史上5人目の快挙を達成。そのままライトのレギュラーに定着し、随所に潜在能力の高さをアピールした。

バルガスのシンデレラ・ストーリー

「ルーキー」カテゴリー以外の若手の躍進も見逃せない。

 2年目のコルソン・モンゴメリーは、メジャーワースト記録を更新する227三振を喫した一方で遊撃手リーグ1位の31本塁打。C・モンゴメリーと二遊間コンビを組む同じく2年目のチェイス・マイドロスは、アントナッチと同じ泥臭いプレースタイルはそのままに、16本塁打と昨季から長打力を大幅に向上させた。

 B・モンゴメリーとマイドロス、そして正捕手のカイル・ティールは、24年オフにエースのギャレット・クローシェイをレッドソックスへ放出した際の交換要員でもある。球団再建のピースとして獲得した3人が入団2年以内に主力に成長したことは、チームにとっても嬉しい誤算だったに違いない。

 そして何と言っても大きかったのはミゲル・バルガスのブレイクだ。

 ドジャースから途中加入した24年、敗戦に次ぐ敗戦にショックを受けてベンチで呆然と佇んでいた男が球界屈指の三塁手へと成長。30本塁打・30二塁打・100得点・20盗塁という球団史上初の記録も達成した。

 オールスター選出の際、「2年前はもう野球を楽しめないと思っていた。でも、自分が間違っていたことをみんなが証明してくれた」と、涙をこらえながら仲間に感謝を捧げたバルガスこそが、シンデレラ・ストーリーの象徴的な存在だった。

 投手陣では、3年目のショーン・バークがチーム最多の172.1回を投げて防御率3.34、185奪三振とエースへ成長。2年目のグラント・テイラーは100マイルに達する剛速球でブルペンの柱としてフル回転。シーズン終盤にデビューした24年ドラフト全体5位左腕のヘイゲン・スミスもリリーフで快投を披露した。

 ルーキーたちが積み上げた総合指標WAR(FanGraphs版)11.3はメッツに次いでMLB2位。開幕前の予想成績は67勝95敗、プレーオフ進出確率1.1%(同じくFanGraphs)だったホワイトソックスの意外な大躍進を支えたのは、間違いなく若い力だった。

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