「巨人の主将がトロントの新たなスターに」岡本和真30歳、メジャー1年目は“文句なしの成功”と言えるか
打撃コーチも賞賛の1年
ブルージェイズの一員としてメジャーリーグでのキャリアを踏み出した岡本和真の2026年を振り返った時、このチームのファンは誰もが“厳しいシーズンの中での光明”として背番号7の活躍を思い出すはずである。
156試合に出場し、いずれもチームトップの33本塁打、92打点をマーク。打率こそ.232にとどまったものの、チームから求められていた長打力を期待通りに供給したことの意味は大きい。特に今季のブルージェイズ打線はOPSでメジャー28位、長打率で同26位、そして本塁打、打点はどちらも最下位の30位と低迷したことを考えれば、岡本の存在価値は莫大だった。
「(メジャーリーグは)夢というより、本当に必ずプレーすると思ってやってきた場所。気を引き締めて、どれだけチームに貢献できるか、自分がどこまでできるか頑張りたいなと思います」
春季キャンプがスタートした頃に岡本はそう語っていたが、実際の貢献度はチームMVPの声がかかっても不思議はないレベルのものだった。春季キャンプから岡本の打撃を見守ってきたブルージェイズのデビッド・ポプキンス打撃コーチも今季終盤頃、シーズン中に30歳になった新戦力の働きを絶賛していた。
「打撃というのは本当に難しいものだ。これほど野球で打つことが難しい時代は、かつてなかったと思う。そんな中で、カズは1年目から素晴らしいシーズンを送っている。初めて対戦するさまざまな球種や球質に適応しなければならない中で、それらの投球が彼の弱点を突いてくるわけだからね。それでいて、これだけ多くの本塁打を打っているし、チームにとって非常に重要な場面でも打ってくれている。本当に素晴らしいことだ」
前人未到の40本塁打への期待
結果として、8月の時点で2002年にエリック・ヒンスキーが打った24本を超えてルーキーの本塁打球団記録を更新。9月中旬には読売ジャイアンツの先輩でもある松井秀喜氏のメジャーでの最多本塁打だった31本、昨季に鈴木誠也が記録した日本人右打者の最多記録だった32号もあっさりとクリアしていった。
「打者はまず自分の強みを生かしていくことが大事だ。今のカズの強みは、ボールを捉えたときにしっかり打球を飛ばせること。強い打球を打つことを狙って、そこから先につなげていってくれている」
ポプキンス打撃コーチに岡本の打撃の長所を問うと、案の定、そのパワーを真っ先に挙げていたことが印象的だった。日本人野手といえば小柄なスラップヒッター(バットを強く振り回さずに、コンパクトなスイングで単打や内野安打を狙う打者)が多かった時代も今は昔。大谷翔平、鈴木、岡本、村上宗隆のような卓越した長打力を持つ選手が次々と登場し、メジャーにおける日本人打者のイメージもかなり変わってきた感がある。
岡本の場合、強靭な下半身を基盤にしたスムーズなスイングが特徴であり、無理な打撃をしている印象もないため、故障さえなければ来季以降も安定した働きが望めそうだ。一塁、三塁を守るいわゆる“コーナー内野手”に一般的に求められるパワーナンバー(長打力に関する数値)で1年目から上質なものを叩き出したあとで、近い将来に日本人右打者としては前人未到の40本塁打に届くのではないかという期待も持たせる。