現地発! プレミア日本人の週刊リポート(毎週水曜更新)

三笘不在のブライトンが英国全土に与えた衝撃 超アグレッシブなフットボールで王者アーセナルを粉砕!

森昌利

グロス、そしてこのコストゥラスのミドル2発で前半に2点を先行したブライトンは後半にも加点。王者アーセナルを3-0で粉砕した 【Photo by Clive Rose/Getty Images】

プレミアリーグ第5節、最も大きな衝撃をもたらしたのが三笘薫の欠場が続くブライトンだ。9月19日(現地時間、以下同)、ホームでのアーセナル戦。高強度のプレーで昨季王者を押し込み、3-0の快勝を飾った。“超”がつくほどアグレッシブなそのフットボールは、かつてリーグを席巻したあのチームを思い起こさせるものだった。

日本人3選手の同時先発はプレミア史上初

 先週は9月19日の土曜日にエバートン対イプスウィッチを取材し、翌日の日曜日はリーズに出掛けて、田中碧、鎌田大地、冨安健洋の日本人3選手がプレミアリーグ史上初となる同一試合同時先発した歴史的な瞬間を目撃した。

 が、しかし! 先週、英国全土に一番の衝撃を与えたのはブライトンである。

「Are you at Brighton?」

 今あらためてこのメッセージが送られてきた時間を見ると、午後4時半となっていた。ちょうどその頃、筆者は2025年2月に開場したエバートンのヒル・ディッキンソン・スタジアムで、前田大然が投入される寸前だった、見どころの少ない試合をぼんやり眺めていた。

 後半22分にイプスウィッチの左FWアブドゥル・ファタウが、英国人が心底嫌うシミュレーションで2枚目のイエローカードをもらって退場したが、クオリティに欠けるエバートンが10人の相手を攻めあぐねて、試合はつまらない状態で膠着していた。

 前田も出場しておらず、眠気を誘うような試合の最中に、フットボール狂の友人グラハムが「ブライトンにいるのか?」とメッセージを送ってきたのだ。

 もちろんブライトンが3-0でリードしていることは知っていた。そのメッセージに苦々しい思いで「いや、今日はエバートンだ」と返信した。三笘薫が故障していなければアーセナル戦を取材していたのかと思ったら、本当に残念な気持ちになった。

クロップ時代のリバプールを見ているかのような

この日のブライトン・イレブンは、クラブ創設当時の水色のユニホームを着用。125周年を祝う試合でアーセナルを相手に完璧な戦いを見せた 【Photo by Silvina Brodersohn - CameraSport via Getty Images】

 近年のプレミアリーグでアーセナルがここまで一方的にやられた試合は記憶にない。

 試合後のインタビューで、「今日の試合プランについて聞かせてくれ」と尋ねられたブライトンのファビアン・ヒュルツェラー監督は、きっと昨季のイングランド王者に3-0完勝した興奮からだろう。「単純なプランだった。とにかくインテンシティ(ピンと張り詰めた緊張感)を保ち続けるということだった」と、叫ぶように答えた。

 この日のブライトンのパフォーマンスは、かつてのユルゲン・クロップのリバプールを見ているかのようだった。

 まったく休まない。1点を先行しても2点目、2点目を取っても3点目を狙ってくるアグレッシブの権化とでもいうようなフットボールだった。

 本当に、プレスが最盛期のリバプールのようだった。波状となって次々と巻き起こり、ボールキープに関しては常に悠々としている王者アーセナルが非常に窮屈そうにプレーしていた。

 もちろん右ポストの内側を叩いて決まったパスカル・グロスの先制点と、シャラランポス・コストゥラスが決めた2点目――この2本のミドルシュートのクオリティの高さは、特筆すべきものだった。

 しかしその起点となったのは、圧倒的な運動量でピッチを駆け回り、高い位置で次々とボールを奪い返して攻撃に転じたブライトンのインテンシティの高いプレーだった。それは、見ていて胸が熱くなるようなパフォーマンスだった。

 3点目はアーセナルのお株を奪うセットプレー(コーナーキック)からの得点だったが、その後もブライトンが優勢だった。もしも、この試合の4つ目のゴールが生まれていたとしたら、それもきっとブライトンの得点だったに違いない。

 世界をあっと言わせた試合をしたこの日、奇しくもブライトンは創設125周年を記念して、初シーズンを戦った綺麗な水色のレトロなユニホームで躍動した。もしも三笘がこのブライトン・イレブンの一員としてプレーしていたら、どんなに痛快だったことだろう。

 このようなパフォーマンスを38試合続ければ間違いなく優勝だ。もちろんそれは至難の業であるが、この試合の感触を保ち続ければ、ブライトンが来季の欧州チャンピオンズリーグ出場権を獲得することも決して夢ではないだろう。

 そしてそんな偉業を達成した際には、その中核に復活した三笘がしっかりと居座っていてほしいと切に願った。

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著者プロフィール

1962年3月24日福岡県生まれ。1993年に英国人女性と結婚して英国に移住し、1998年からサッカーの取材を開始。2001年、日本代表FW西澤明訓がボルトンに移籍したことを契機にプレミアリーグの取材を始め、2025-26で25シーズン目。サッカーの母国イングランドの「フットボール」の興奮と情熱を在住歴トータル30年の現地感覚で伝える。大のビートルズ・ファンで、1960・70年代の英国ロックにも詳しい。

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