リバプールの選手としての遠藤航は終わったのか? 開幕から出番なしの状況についてイラオラ新監督に直撃
“サッカー小僧”鎌田は常に最善のパス、プレーをさりげなく選択
アンフィールドの記者席に座ると、隣にいた顔見知りのタイ人ジャーナリストにそう言われた。
鎌田大地、冨安健洋、そして前田大然の3人が同時に出場する可能性がある試合を捨てて、リバプールへやって来たのだ。確かに彼の言うことには一理ある。実際、先発は鎌田だけだったが、前半37分から冨安が出場すると、後半18分に前田も登場して、日本人選手3人が同じピッチの上で顔を揃えた。
この光景を見逃したのは本当に痛い。しかも鎌田が2アシストを挙げた。
もちろん後で映像は見たが、どちらの場面もフィニッシャーが素晴らしいシュートを放ってゴールを決めており、鎌田のラストパスが“局面を切り拓いた”というまでのクオリティではなかったが、2本とも攻撃のリズムを崩さない、流れを重視したチームプレーのパスだった。
この2本のアシストを見て、昨季の終盤戦に差し掛かった4月上旬、かつて鎌田がプレーしたシント=トロイデンのCEO立石敬之氏から聞いた話を思い出した。
取材をした夜の夕食会で隣の席に座らせてもらったのだが、フランクフルトから1年のレンタルで、ベルギーの首都ブリュッセルから西へ約70キロの地方都市にやってきた当時22歳の鎌田について、「一晩中でもサッカーの話をしているサッカー小僧だった」と愉快そうに話した。
鎌田のパフォーマンスを見れば、非常にフットボールIQが高いことが分かる。フットボールのことしか考えない“サッカー小僧”は、常にチームにとって最善のパス、プレーをさりげなく選択する、まさに玄人好みの選手に成長した。
そんな鎌田のセンスがイプスウィッチ戦の2ゴールに直結するパスを生んでいた。
結果は3-2でアウェーのイプスウィッチが勝利した。前田が「2勝目が大切」と開幕戦勝利の後に話していたのを思い出した。
しかし筆者はアンフィールドいた。それはこの1週間前、イプスウィッチでのアウェー戦の後にミックスゾーン(取材エリア)で遠藤航と会った際、「今シーズンはどんな感じになる?」という問いに対して「分かりません」と一言返した33歳元日本代表主将の、意外なほどサバサバとした表情が気になったからだ。
悔しさはないのだろうか? そんな疑問が湧いた。
今の扱いは怪我人復帰までの人数合わせにしか見えない
もちろんホームグロウンの選手を最低8人入れなくてはならない決まりはあるが、リーグ戦でもベンチ入りしながら出番なしが続いている。これでは大怪我で長期欠場となっているユーゴ・エキティケ、コナー・ブラッドリー、ジョバンニ・レオーニらが復帰を果たせば、遠藤が真っ先にベンチ外にされてしまうと見るのが自然だ。
アンドニ・イラオラ新監督は今後、いったいどういう形で遠藤を起用するつもりなのだろうか。酷な言い方だが、今の扱いは怪我人が帰ってくるまでのベンチの人数合わせにしか見えない。
実際、欧州CLの登録メンバーから外れて、遠藤のリバプールにおける選手生命は“終わった”と見る報道もあった。今季の遠藤の状況を考えれば、それもあながち間違いではないと思ってしまう。
そこをはっきりさせたかった。果たして遠藤はこの先、リバプールの選手として公式戦に出場することがあるのだろうか。
だが、フラムをアンフィールドに迎えた第4節の試合は見どころのない0-0のドローで終わった。最悪だった。こんなしょぼい試合の後では、監督に遠藤の話は聞きづらい。もし快勝してくれたら、試合に出ていない選手のことも少しは尋ねやすくなるのだが。
実際、監督会見は「今日は何が欠けていたと思うか?」という厳しい質問で始まった。
「フレッシュさだ」と44歳のスペイン人監督は答えた。そして週中の水曜日、アトレティコ・マドリーに先制されながら2-1の逆転勝利を飾った欧州CLのわずか60時間後に、このリーグ戦が行われた日程を「最悪だ」と言った。
しかしこれが、国内リーグで優勝争いをしながら欧州の最強戦を戦うトップチームの宿命だ。しかもこの週のリバプールは、A・マドリー戦、そしてフラムとのリーグ戦ともホームゲーム。移動が厳しい欧州CLのアウェー戦を戦う週はどうなるのだ。事実、アーセナルは――土曜日のリーグ戦のキックオフが夜8時で、リバプールのそれより5時間遅くはあったが――、水曜日の欧州CLをナポリで行い、ロンドンから一番遠いサンダーランドでリーグ戦をこなして、厳しいアウェー2連戦で連勝した。
そんな言い訳をしていると、「ここは(昨季までイラオラが率いた)ボーンマスと違うんだ」と言われるぞと思った。
こうした日程も、リーグと欧州CLのダブルを究極の目標とするリバプールという超強豪クラブに科せられた日常なのだ。