王座奪還は大岩ジャパンの使命 アジア大会に挑むロス五輪世代の「シミュレーション」と「プレゼンテーション」
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三笘ら東京五輪世代もアジア大会で成長
アジア大会では規程上、五輪同様「23歳以下(U-23)」に加え、3人のオーバーエイジ(OA)起用が認められている。大会連覇中で日本の最大のライバルと目される韓国は、これまで兵役免除の特例措置を実施し、OA枠までフル活用したU-23チームで臨んできた。
しかし、日本サッカー協会と大岩剛監督は今回も、2歳年下に相当する「U-21(ロス五輪世代)」のみでチームを編成した。積極的にハンデを背負う理由は長年、日本が培ってきた「オリンピック強化サイクル」にある。五輪本番の2年前に行われるアジア大会を、このグループにとって数少ない実戦の場と位置づけ、あえて年上の相手と対戦してきたのだ。
今回と同じ大岩監督が率いた前回大会(23年杭州大会)も、やはり規定よりも2歳若い世代で臨んでいる。当時のU-22代表(コロナ禍により1年延期されたためU-22で参加)は大会直前にパリ五輪1次予選(AFC U23アジアカップ予選)が開催されたことで、必然的にチームを分割する必要があった。そのため、アジア大会は大学生や所属クラブで出場機会の限られた選手が中心となったのだが、この選考は結果的にチームの底上げにつながった。
重圧とアウェーの環境を経験した拓殖大の関根大輝やブレーメンⅡ(ドイツ5部)に所属していた佐藤恵允が台頭し、最終的にパリ五輪メンバー入りを果たした。
さらにさかのぼれば、森保一監督が指揮を執った18年ジャカルタ大会も2歳若い東京五輪世代で臨んでいる。そのチームからは板倉滉、三笘薫、上田綺世、前田大然らが成長を遂げ、のちにA代表の主力となった。大岩監督が見据えているのは、こうした成功例だろう。
パリ五輪世代とはスタートラインがまったく違う
その後、12年ロンドン世代や16年リオ世代は強烈なハードワークとスピーディーな攻守の切り替えをベースとし、20年(開催は21年)の東京世代は早くからA代表に引き上げられる選手が多数いたことで高い経験値を持っていた。そして前回の24年パリ世代では、限られた条件の中で組織の結束と勝負強さを突き詰め、8年ぶりのアジア王者に輝いた。
そうした歴代の系譜と比較したとき、現在のロス五輪世代の大きな特徴は、世界との距離が近い点にある。東京世代やパリ世代は、育成年代の最も重要な時期にコロナ禍が直撃し、U-20ワールドカップ(以下、W杯)をはじめとする国際大会の中止が相次ぐ不運に見舞われた。一方でロス世代は、10代前半から段階的に世界大会を経験し、高校卒業直後から欧州主要リーグへ渡る選手も珍しくない。
2世代を指揮する大岩監督は「パリ世代とはスタートラインがまったく違う」とロス世代について語り、個々の日常にすでに「世界基準」が根付いていると指摘している。
今回のチームにもCB市原吏音(AZ)、左SB小杉啓太(フランクフルト)、ボランチのMF石渡ネルソン(シント=トロイデン)、FWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄(オールボー)と4人の海外組が含まれる。これは大会の開催がインターナショナルマッチウィーク(以下、IW/9月21日〜10月5日)と重なることで招集が可能となったものだ。