“第2の谷川萌々子”は現れるか? 国内組主体でアジア大会3連覇に挑む、なでしこジャパンの可能性
WEリーグの価値を示すためにも結果を
女子サッカーもその1つだ。今やなでしこジャパンのレギュラーメンバーの多くが海外で活躍するなか、3連覇を狙う今大会はWEリーグでプレーする選手を主体としたチーム構成で挑むことになる。
前回2023年の中国・杭州大会では、当時JFAアカデミー福島でプレーしていた谷川萌々子(現バイエルン・ミュンヘン)が5得点を挙げる活躍で、同じく古賀塔子(現トッテナム・ホットスパー)が守備陣の柱として優勝に貢献。今ではすっかりなでしこジャパンになくてはならない存在になった2人だが、果たして今大会でも彼女たちのような存在が現れるだろうか。
注目選手を挙げるなら、まずは昨季のWEリーグMVP、成宮唯(INAC神戸レオネッサ)とともにゲームを作る塩越柚歩(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)だ。前回大会の優勝を経験している一方、昨年のE-1選手権では中国、韓国に勝ち切れず3位に終わった悔しさも忘れていない。緊迫した場面において前線で発揮される高いキープ力に加え、味方を活かしながら自らもゴールを狙える塩越の存在は大きい。
「海外組と比べられることは分かっています。WEリーグの価値を示すためにも、たとえ即席チームであってもアジアでは結果を残さないといけない」
国内組で挑むからこその思いを胸に、塩越は結果を求めている。
中央の厚みとともに必要となるのが、サイドの選手が担う攻守の役割だ。今、国内で最も勢いのある若手、21歳のMF榊原琴乃(三菱重工浦和レッズレディース)のパフォーマンスが、3連覇へのカギになると見る。
「いつ代表に呼ばれてもいいように準備をしていた」と、本人も納得の初招集。引き出したボールのスピードを殺すことなく一気に最前線へ持ち込み、フィニッシュまで狙うスタイルで、浦和ではすっかり攻撃の局面に欠かせない存在となっている。
もっとも、左右両サイドを遜色なくこなす柔軟性に加え、確かな守備力もベースにはある。攻守両面で計算できる榊原が、チームにどんな変化をもたらすかに注目したい。
そして大化けを期待したいのが、RB大宮アルディージャWOMENの西尾葉音だ。170センチというサイズは今回選出されたFW陣では最も高く、なでしこジャパンにはいなかったパワータイプ。持ち前のフィジカルを活かした突破と、相手に囲まれながらも足を振り抜く力強さが、昨季に花開いた。
「気持ち的に振り切れたことで、前を向く自分らしさを出せるようになった。呼ばれたからには爪痕を残して次(来夏のブラジルW杯)につなげたい」
初めての代表活動でどこまで存在感を示せるか。国内組中心のチームだからこそ、これまでとは違う武器を持つ選手が台頭すれば、3連覇への大きな推進力となる。
前回大会を制した指揮官と世界を知るコーチ
常に「ここからなでしこジャパンに上がっていくために自分に何が必要か、何が足りていないかを見極めないといけない」と、若い選手たちの向上心に火をつけてきた人物だ。
おそらくベースは4バック。そこから相手によって中盤や前線の形を調整する、海外組を含めたいわば“本家なでしこ”に直結するような戦い方をするだろう。
心強いのは、同じく5月に就任した内田篤人コーチの存在だ。世界を相手に戦ってきた内田コーチは、プレー中の視野の確保の仕方など、ちょっとしたコツを自ら実践して伝授する分かりやすい指導で、海外組のなでしこ選手からの信頼も厚い。今大会でも狩野監督をサポートしながら、経験の浅いメンバーたちに大きな影響を与えるはずだ。