大谷翔平か、PCAか...ナ・リーグMVPレースはすでに「勝負あった」なのか?
あらゆる攻撃指標でPCAが大谷を上回るが
「彼は、すごくいいスイングをしている」
高橋氏の目に留まったのが、その年3年目のPCA ことピート・クローアームストロング(カブス)。その年――つまり昨季は157試合とほぼフル出場を果たし、打率.247 、出塁率.287、長打率.481、OPS.768、31本塁打、95打点、91得点と成長の兆しをみせ、オールスターにも選ばれた。
今年は9月7日の試合を終え、打率.281 、出塁率.376、長打率.577、OPS.953、41本塁打、97打点、108得点、35盗塁(太字はリーグトップ)。2年連続ゴールドグラブ間違いなしとされる守備力も考慮すれば、「もはや今年のナ・リーグのMVP(最優秀選手)レース争いは決着がついた」とも見られている。
※リンク先は外部サイトの場合があります
今季中の投手としての復帰は断念した大谷だが、左膝の影響で離脱するまで、14試合に先発し、8勝2敗、防御率1.79。85回2/3に登板し、95三振、26四球。前半を終えた時点ではサイ・ヤング賞を争っており、6月30日の時点では、FIPなどがリーグトップ5に入っていた。
ERA:1.58(2) 防御率
xERA:2.72 (3) 打球内容から期待される失点結果
FIP:2.56(5) 守備力、運を排除し三振・四球・本塁打などから投手を評価
WHIP:0.90(5) 走者を出さない能力
※6月30日現在。70イニング以上。カッコ内はリーグ全体の順位
少し時間が経っているため、インパクトが薄れているのは確か。しかし、あまりにも過小評価されていないか。仮にこれが昨年のように後半に入って残してのものだったら、どう印象が変わっているのか。
もちろん、PCAには守備での貢献があり、それは大谷にはないもの。しかもセンター。これもMVPレースでは大きな加点要素だ。前半だけとはいえ、大谷の投手としての貢献とPCAの守備。どちらが勝るかは、物差しが違うので答えが出しにくいが、では果たして、純粋にオフェンスの指標だけで2人を比較すると、どうなるのか。
まずは、投票する記者が参考としそうな以下の5項目から――。
Off = 打撃+走塁で平均的な選手より何点貢献したか
RE24 = 走者・アウト状況を考慮した得点への貢献
WPA = プレーによってチームの勝利確率をどれだけ高めたか
WPA/LI = 勝負どころが多く回ってきた影響を補正した攻撃価値
こうしてみるとPCAがいずれも大谷を上回り、ナ・リーグ全体でも軒並みトップだ。続けて、クラッチ指標についても調べてみた。例えば、僅差の終盤で、どれだけ価値のあるヒットを放ったか。Baseball Referenceのデータを利用しながら、① Leverage Index ② Late & Close ③ WPA(Win Probability Added)の3項目で比較した。
① Leverage Index(LI):その場面で起きるプレーが試合の勝敗をどれだけ大きく左右し得るかを示す指標。平均的な状況をLI=1.0とし、イニング、点差、アウトカウント、走者状況などによって変化。
②Late & Close:単純な「○点差以内」という固定条件ではない。基本的には7回以降で、1点リード、同点、または同点走者が塁上・打席・ネクストバッターにいる状況。試合終盤でまだ勝敗が大きく動き得る接戦。
③WPA(Win Probability Added):そのプレーの前後でチームの勝利確率がどれだけ変化したかを示す。たとえば勝利確率20%の状況でその確率がその選手のホームランによって40%になれば、そのHRのWPAは+20%(+0.20)。同じソロ本塁打でも、序盤の0-0と、9回の1点ビハインドでは価値が大きく異なる。STATCAST にある (delta_home_win_exp) を、打者側の視点に変換してWPAを算出。大谷の30本塁打、PCAの39本塁打を対象とした。