新たな4年が始まった男子カーリング界 強さを見せた王者、下剋上チームも出現か!?

竹田聡一郎

KiT CURLING CLUB(Hirata)。左から臼井慎吾、青柳剛、青木豪、平田洸介。「豪と剛が入ってもう字面が強くなっている」という現場の声も 【(C)どうぎんカーリングクラシック】

日本選手権王者と3位の若手は兄弟チーム、今夏は上々の滑り出し

 今季の開幕シリーズにあたる北海道カーリングツアーは、9月6日まで北見市常呂町で行われたアドヴィックスカップで男子の部が幕を閉じた。

 強さと仕上がりの早さを見せたのは、日本選手権王者のSC軽井沢クラブ(Yamaguchi)だ。

 初戦のどうぎんクラシックは決勝でロコ・ドラーゴ(Maeda)に敗れたが、続く2戦目の稚内みどりチャレンジカップでは6戦全勝で“みどチャレ”初優勝を果たした。

 小泉聡ー山本遵ー山口剛史ー栁澤李空のラインナップは円熟味すら出てきた感があるが、そこに今季は昨季までナショナルコーチとして共闘してきたボブ・アーセルがクラブコーチとして加わり戦術支援をする。アーセルコーチを交えたミーティングでコミュニケーションの深さやプレーの精度を高め、世界へ再挑戦する構えだ。

「世界ランキングトップ10に安定して入り、グランドスラムに出場し、そこで強豪と互角に戦えるところまで持っていきたい」とスキップの山口は今季を位置付ける。

 北海道ツアー3戦のアドヴィックスカップは回避し、一足先に帰軽。17日にホームリンクで開幕する軽井沢国際でライバルを迎えてから渡航し、結果次第では最長で2ヶ月半、6-8大会に出場するカナダでの強化合宿を敢行する。

 また、昨季のジュニア王者でありながら日本選手権で3位に入ったSC軽井沢クラブJr.(Fujii)も札幌と稚内の2大会に参戦した。

 スキップの藤井海斗は「十人十色みたいな、それぞれ個性があって、それぞれ得意なショットがある」とチームの良さについて語ってくれたが、その言葉通り、ポジションごとに得意なショットをしっかり決めて、稚内では見事にクオリファイを果たした。

 今季は日本代表として来年2月の世界ジュニア選手権に出場するため、日本選手権(横浜BUNTAI)への出場は見送ることになったが、来季以降について「チャンスがあればしっかり出て、日本のトップに置いていかれないように」と藤井は謙虚に語った。

 また、藤井は昨季、2025年から始まった世界ジュニアミックスダブルス選手権に札幌国際大学の三浦由唯菜と出場し見事に金メダルに輝いているが、「日本の男子はまだ(世界ジュニアで)金メダルを獲っていないので、このチームで一番乗りを目指したい」と2つ目のジュニアタイトルをメダルを目指す。

稚内みどりチャレンジカップでは準決勝で対戦が実現し、兄貴分のSC軽井沢クラブが貫禄勝ち 【(C)北海道カーリングツアー】

この夏2勝のドラーゴ、安定のコンサドーレ

 “どうクラ”準優勝のロコ・ドラーゴは、稚内、常呂とツアー全3大会にフル出場した。稚内の“みどチャレ”途中からスキップの前田拓海が、スライダーフットである左足股関節に痛みが出て大事をとって欠場。常呂に戻ってのアドヴィックス杯でも頭の2試合を欠場し、その間は所岳澄ー上川憂竜ー前田拓紀の3人で戦った。

 ラウンドロビンの最終戦から復帰し「大丈夫ですけれど万全かと聞かれたら、そうは言えないです」と前田拓海は慎重に語ったが、4人が揃った残り3戦では1度もリードを許すことない磐石の戦いでホームリンクで嬉しい初優勝。特にMVPに輝いたリードの所岳澄は安定したセットアップを見せ、チームの身上である攻撃カーリングを支えた。

 前田拓海の負傷は今回は大事には至らなかったが、平均年齢24歳とまだ若手の部類ではあるロコ・ドラーゴもキャリアとしては国内ではトップクラス。加えて昨年は新設されたU-25のグランドスラムで初代王者になるなど、もはや次世代ではなく今季から世界の頂点を狙っていいポテンシャルを秘めたチームだ。

 だからこそ、日々のトレーニングやウォーミングアップから目的を明確にし、より真摯に取り組むべきだろう。幸い彼らには身近にロコ・ソラーレの鈴木夕湖や吉田夕梨花らハードワークを何年もこなしながら結果を出してきた良い手本がいる。今季は特にソラーレのお姉さんたちとの合同トレーニングも多く、彼女らから学んで怪我の功名としてほしい。今季は既に2勝。そろそろ頂点を奪っていい頃だ。


 日本選手権4位のコンサドーレも3大会にフル参加しいずれも最終戦のアイスに立っていた。

 スキップの阿部晋也は「4位、2位、3位か……」と少し間を置いた後「残念ではあったけれど、ミスが出ても致命傷にはならなかった。勝ちパターンは作れているので、あとはそこでどう勝つか完成度を高めていきたい」とコメント。全大会の予選、のべ11試合負けなしで1位のクオリファイ(プレーオフ進出)するなどパフォーマンスは落ちなかった。

 阿部は昨年途中から加入した中原亜星にも触れ「亜星が入って迎える最初のフルシーズンになるので、全員アイスに乗りながらしっかりチームの輪郭を作っていきたい」と前を向いた。チームは中原がフィフスとしてスポット参加した2024年から、世界選手権には出ていない。かつてはアジア制覇も果たした赤黒軍団の世界挑戦を見たいファンは多い。

LOCO DRAGO(Maeda)。左から前田拓海、上川憂竜、前田拓紀、所岳澄。北海道ツアーはどうクラに続き2勝を挙げた。 【(C)北海道カーリングツアー】

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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