「7イニング制には反対」名門率いる30代監督が考える、これからの高校野球【東邦・山田祐輔監督】
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選手との信頼関係を築く難しさ
監督として甲子園初勝利を挙げたあと、こう語っている。
「スタンドでたくさんの方に応援していただけました。気持ちいいですね。応援してくださる方に楽しんでいただけるように、と思っています。素晴らしい応援の中で、選手は力を発揮してくれました」
しかし、その後は聖地から遠ざかっている。甲子園出場を期待される名門にとって、3年のブランクは大きい。
「センバツに出たときは、石川瑛貴(中日の石川昂弥の弟/現・東海大)というキャプテンがいて、みんなをまとめてくれました。言いにくいこともしっかり指摘できるキャプテンでした。中心選手との信頼関係ができれば強いチームになると思うんですけど、それが難しくて……」
学校から練習場まではバスで移動しなければならない。教職員であるコーチたちが校務のため、練習に参加できないこともある。
「自分の考えをチーム全体に浸透させるのに時間がかかっていました。思うように選手を引き上げることができなくて……」
山田は、選手との信頼関係を築く難しさを感じている。
答えが見つからない「タイブレーク制」の対応
「DHに関しては、思ったよりも抵抗感なく使えています。守備に難があって、なかなか出番のなかった選手にもチャンスを与えることができます。ピッチャーが打席に立たないことは、体力的に楽だと思います」
延長戦でのタイブレーク制が導入されて8年が経つ。山田は2023年春のセンバツ、3回戦で報徳学園にタイブレークで敗れた経験がある。
「もうタイブレークに違和感はありませんが、気持ちとしては嫌ですね。考えることがめちゃくちゃ増えました。僅差で7、8回を迎えた時点でいろいろなシミュレーションをすることになります。打順の巡りがどうか、バント要員を残しておこうとか」
2025年夏、豊橋中央と対戦した愛知大会決勝では苦杯をなめた。
「3対3で延長に入って、10回表を0点で抑えて、その裏に犠牲バントに失敗して無得点。11回表に3点を奪われ、2点を取り返したんですけど、5対6で負けました。負けたあと、9回までにもっとやるべきことがあったんじゃないかと思いました」
1対3とリードされた9回裏に2点を取って同点に追いついた東邦だったが、押し切ることができなかった。
「そのとき、ヘッドスライディングをした選手がケガをしてしまいました。治療してもらっている間に、代走を出して盗塁を仕掛ければ、アウトになっても次の回は三番打者から攻撃を始めることができたのに……終わって冷静になればわかるんですけど、そのときには手を打つことができませんでした」
タイブレーク制は、ノーアウト一、二塁からのスタートとなる。バントでランナーを送ってワンアウト二、三塁になれば得点のチャンスができる。しかし、緊迫した場面でバントを決めることがどれだけ難しいことか。
「いろいろな仮説を立てたんですけど、なかなか『これだ!』というものがありません。試合の流れ、打順の巡りなどさまざまな要素があるので」
タイブレーク制の導入直後はバントを選択する監督が多かったが、フライになったり、ランナーがアウトになったりするケースもある。この夏の甲子園の3回戦で智辯和歌山(和歌山)が見せた“ブルドッグ”(前進守備のサインプレー)など特殊な守備隊形も増え、バントではなく、強攻策を選択する監督も増えた。定石が通用しにくい場面こそ、監督の腕の見せどころだということもできる。
「厳しい場面を想定したバント練習はもちろんやります。負けたら甲子園に行けないという、地方大会のほうがプレッシャーはかかるのかもしれませんね」