アジア競技大会2026 徹底プレビュー

八村&河村不在でアジア大会に挑む男子バスケ日本代表 初優勝へのポイントと3人の注目プレーヤー

大柴壮平

若手主体で臨むアジア大会だが、目的は育成ではなく強化。活躍すれば、8月の韓国との強化試合に招集された高島(左端)のようにA代表にコールアップされる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 9月19日に開幕する愛知・名古屋アジア競技大会2026だが、男子のバスケットボール競技は開会式に先立って9月10日からスタートする。日本代表は10日のインドネシア戦を皮切りに、11日にサウジアラビア、13日に韓国とグループリーグを戦い、9月20日のファイナル進出、そして史上初のアジア制覇を目指す。八村塁と河村勇輝の2大エースが不在の若いロスターで今大会に臨む狙いはどこにあるのか。初優勝への鍵となるポイント、3人の注目プレーヤーを挙げながら、“AKATSUKI JAPAN(アカツキジャパン)”の可能性を探る。

高島紳司のA代表選出が明確なメッセージ

 バスケットボール男子日本代表の桶谷大ヘッドコーチ(HC)が、日本生命カップ2026(8月9、10日のモンゴル戦)と愛知・名古屋アジア競技大会(以下、アジア大会)の方針を語ったのは、8月頭に行われた強化合宿でのことだった。

《この2大会には、いわゆるA代表より若いロスターで臨む。とはいえ育成を目的としているのではなく、代表の強化を狙っている。活躍すればA代表にコールアップするつもりだ。そのためにこの2大会の指揮を、普段はアシスタントコーチ(AC)を務める吉本泰輔に任せ、自分は一歩引いた位置から観察に力を注ぐつもりでいる》

 桶谷発言は、おおむねこのような趣旨だった。

 実際、日本生命カップでの活躍が認められた高島紳司(SG/25歳/宇都宮ブレックス)は、有明アリーナで行われたA代表の強化試合2連戦(8月15、16日の韓国戦)にコールアップされ、さらにFIBAバスケットボールワールドカップ アジア地区予選Window4の2試合(日本時間8月28日のサウジアラビア戦、31日のカタール戦)のメンバーにも抜擢された。

《君たちは代表選考のプールに入っている》

 高島のA代表選出は、桶谷HCからの明確なメッセージとして他のメンバーにも伝わっただろう。選手たちのモチベーションが高まったことは容易に想像できる。

ミッションは「イ・ヒョンジュンを止めろ」

昨シーズンのBリーグで長崎ヴェルカを初優勝に導いたイ・ヒョンジュン。このエースを擁する韓国を倒して、まずはグループリーグを1位で通過したい 【写真は共同】

 JBA(日本バスケットボール協会)は、金メダルを獲りにいくチーム作りを掲げてきた。

 アジア大会で初めて男子日本代表HCの看板を背負う吉本ACも、「勝てるチームを作りたいですし、それが日本全体に貢献することにつながると思います。そしてカルチャーを作っていくには、やっぱり勝つことを目的にしていかないといけません」と、勝利へのこだわりを語っている。

 初優勝への鍵となるのは、グループリーグの1位通過だ。勢いに乗るという意味でも、トーナメント初戦から他グループの中国やイラン、フィリピンといった強豪と当たるのを避けるという意味でも重要になってくる。

 ただし、それはライバルたちにとっても同じことだ。グループAに入った日本(FIBAランキング22位)はインドネシア(同92位)、サウジアラビア(同64位)、韓国(同57位)と戦うが、この3カ国で明確に実力差があるのはインドネシアだけだろう。

 サウジアラビアは伝統的な強豪国ではないが、スペイン人のリカルド・カサスをHCに招へいしたり、アジアカップ2025のホスト国を務めたりと、近年バスケットボールの強化に力を入れている。FIBAランキング上は格下でも舐めてかかることはできない。

 前述のW杯アジア予選では、A代表がサウジアラビアに106-78で大勝した。29得点で日本を勝利に導いた八村塁の代わりを誰が務めるのか。楽しみなところでもある。

 もっとも、サウジアラビアを相手に取りこぼしているようでは、1位通過はままならない。なぜならグループリーグ最大の山場は第3戦の韓国戦だからだ。

 残念ながら、日本が2連勝した有明アリーナでの強化試合は参考にならない。日本のメンバーがまったく違うのはもちろんだが、それだけではない。韓国も強化試合では不在だった絶対的エースのイ・ヒョンジュンと、オールラウンダーのアン・ヨンジュンという主力2人がアジア大会に向けた代表チームに名を連ねている。

 特に長崎ヴェルカでプレーしていたイ・ヒョンジュンの怖さは、Bリーグファンなら誰もが知るところだ。昨シーズンはスタンリー・ジョンソンやジャレル・ブラントリーといった元NBAのチームメイトを差し置いて、チャンピオンシップMVPに輝いた。ファースト・オプションとして使われる韓国代表での成績はさらに驚異的で、今年3月のW杯アジア予選では日本を相手に28得点・11リバウンドの大暴れを見せている。

 イ・ヒョンジュンを止めろ。A代表でディフェンスを担当する吉本ACが、このミッションをどうクリアするのかも、アジア大会の見どころの1つだ。イ・ヒョンジュンのいる韓国を破ってグループAを制すれば、初の金メダルも見えてくる。

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著者プロフィール

バスケ雑誌『ダブドリ』発行人兼コラムニスト。NBA Rakutenにて「大柴壮平コラム」を連載していたほか、『ダブドリ』にて仙台89ERSを追うコラム「Grind」、フランチャイズ都市のディープスポットを巡る「ダブドリ探検隊」を執筆している。2024年には富永啓生選手との共著で『楽しまないと もったいない』を上梓した。ポッドキャスター(Trash Talking Theory、Mark Tonight NTR)、YouTuber(Basketball Diner)としても活動中。

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