育成指名で狙いたい“大化け候補” 素材の良さが光る3人の高校生投手、甲子園で一発の強肩捕手
140キロ前後でも三振を量産。北関東で注目を集める大型本格派左腕
【西尾さんの推しポイント】長身左腕&指先感覚の良さ
甲子園出場は1986年春の選抜以降遠ざかっているものの、西濱勇星(現・ヤクルト)など近年好素材を上のカテゴリーに輩出している関東学園大付。そんなチームで今年注目を集めているのが大型左腕の田村瑛輝だ。中学時代は太田市立毛里田中学の軟式野球部でプレーしており、目立った実績はなかったという。しかし高校進学後に大きく成長。今年に入ってから多くのスカウトが視察に訪れる存在となった。
実際に投球を見ることができたのは今年夏の群馬大会、対太田東戦だ。同点の5回からマウンドに上がりいきなり三者連続三振を奪うとその後も安定したピッチングを継続。最終的に5回を投げて被安打わずかに1、8者連続を含む12奪三振という圧巻の投球でチームを勝利に導いた。
ストレートの最速は141キロで、決して圧倒的な速さがあるというわけではない。フォームも明らかにステップの幅が狭く、上半身の力に頼ったように見える。ただそれでも打者が振り遅れて空振りを繰り返すのは、右足を踏み出してから腕を振るまでに独特の“間(ま)”があり、タイミングを取りづらいのが大きな要因である。またフォームはギクシャクしていても指先の感覚の良さは抜群で、しっかり両サイドに投げ分けることができる。
この日は試合途中から雨が強くなる難しいコンディションだったが、最後まで制球を乱すことがなく、9回も三者連続三振で締めてみせた。ボールだけを見ればまだまだ時間はかかりそうだが、これだけの長身左腕で指先の感覚も良いのは大きな魅力であり、筋力がついてくればさらなるスケールアップも期待できるだろう。
スピードは関東全体でも上位。都立の星として注目を集める本格派右腕
【西尾さんの推しポイント】指にかかったときのボールの勢い
2003年夏に都立高校として史上3校目となる甲子園出場を果たした雪谷。2014年には鈴木優(オリックス9位)がプロ入りするなど東東京の都立では上位の実績を誇るが、今年もエースの松岡史穏に注目が集まっている。昨年夏は控え投手ながらリリーフとして2試合に登板し、チームの5回戦進出に貢献。その後は怪我に苦しんだが、最後の夏に向けて調子を上げてきた。
プロからの高い注目度がうかがえたのが4回戦の東亜学園戦だ。スタンドには5球団のスカウトが視察に訪れ、そのうち2球団は複数人体制だった。松岡は立ち上がりから制球が定まらずにいきなり4連続四死球を与えて5点を奪われる苦しい投球となったが、それでもストレートはコンスタントに145キロ前後を計測し、筆者のスピードガンでは最速147キロをマーク。春は故障で思うように投げられず、調整不足の中でこれだけのスピードをマークできるのはポテンシャルの高さの証拠と言える。
特に目立ったのが鋭い腕の振りで、テイクバックで早めに肘をたたむスタイルだが、しっかり上から縦に振り下ろすことができており、指にかかったときのボールの勢いは目を見張るものがあった。
フォームの躍動感も申し分なかったが、気になったのが下半身の使い方だ。左足の着地が安定せずに体が一塁側に流れることが多く、どうしても引っかかるボールが多かった。ただこの日は3回途中で雷によって継続試合となったが、翌日は立ち直り3回から6回までは無失点に抑えるなど修正能力も見せている。素材の良さは十分だけに、鈴木優以来となるNPB入りの可能性も十分にありそうだ。