週刊ドラフトレポート2026

都市対抗で強烈アピール! 怪我から復帰の153キロ右腕、小柄でもストレートで押せる本格派

西尾典文

社会人2年目に頭角を現してきたENEOSの長屋(左)と、セガサミー廃部のために1年目から指名対象となる樫村(右) 【撮影:西尾典文】

 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。今回は熱戦が続いている都市対抗で強烈にアピールした本格派右腕二人を紹介します。

トミー・ジョン手術から見事に復活!都市対抗で強烈アピールの本格派右腕

ENEOSの長屋は躍動感あふれるフォームから繰り出される威力抜群のストレートが魅力だ 【撮影:西尾典文】

長屋竣大(ENEOS 23歳 投手 175cm/75kg 右投/右打)

【将来像】椋木蓮(オリックス)
二段モーション気味のフォームで、少し肘を下げた腕の振りから浮き上がるようなストレートを投げ込むスタイルが重なる
【指名オススメ球団】中日
リリーフ投手の多くが成績を落としており立て直しが必要なチーム事情から
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 今年の社会人投手は昨年の竹丸和幸(鷺宮製作所→巨人1位)のような1位候補は見当たらない。それだけに今年のパフォーマンスがより重要となるが、ここへ来て大きく評価を上げてきた印象を受けるのがENEOSの長屋竣大だ。

 浜松開誠館では下級生の頃からエースとして活躍。3年時は新型コロナウイルス感染拡大の影響で公式戦が中止となったが、静岡県独自大会で準優勝を果たしている。立命館大進学後も1年秋からリーグ戦に登板。3年秋には3勝をマークしている。しかし4年春のリーグ戦で右肘を故障してトミー・ジョン手術を受け、4年秋のシーズンは学生コーチを務めた。

 ENEOS入社1年目の昨シーズンはリハビリ生活となり、ようやく公式戦登板を果たしたのは今年4月に行われたJABA京都大会の対ジェイプロジェクト戦だった。その後はリリーフの一角に定着。都市対抗予選でも3試合、4回1/3を投げて無失点と好投し、チームは本大会出場を逃したものの東芝から補強選手に選出された。

 迎えた都市対抗本戦。初戦の日本生命戦で同点の8回からマウンドに上がると、2イニングをパーフェクト、3奪三振と好投。タイブレークとなった延長10回は死球でピンチを広げて3点を奪われて負け投手となったが(自責点は1)、投球内容自体はドラフト候補として十分なものだった。

 最大の魅力は躍動感あふれるフォームと、威力抜群のストレートだ。左足を二度上げるいわゆる二段モーションでしっかり軸足に体重を乗せてからステップすることができており、体重移動のスピードも申し分ない。日本生命戦でのストレートは筆者のスピードガンで最速153キロをマークしたが、その数字以上に打者の手元で勢いがあり、ストライクゾーンで勝負することができるのが強みだ。

 タイブレークとなった3イニング目は少しスピードが落ちたものの、最初の2イニングはアベレージでも150キロを超えていた。変化球は120キロ台後半のチェンジアップ、130キロ台後半のフォークとスピード、落差の異なる二つの落ちるボールを操ることができる。少し引っかけることが多かったスライダーの精度が上がってくれば、よりストレートと落ちるボールが生きてくるだろう。

 社会人での実績はわずかだが、それでも補強選手に選ばれているのはポテンシャルの高さの証明であり、本大会でも十分なアピールだったことは確かである。これだけのスピードがあり変化球のレベルも高い投手は貴重なだけに、指名を検討する球団も多くなりそうだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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