「現実逃避のやり方を覚えれば殻を破れる」 早田ひなの自己分析と成長への渇望
自国開催はプレッシャーを感じる?
9月に愛知・名古屋で開幕するアジア競技大会に向けた記者会見で、卓球女子の早田ひなが語った言葉だ。質問は「自国開催でホームの雰囲気をどう感じるか?」というもの。他に登壇した選手たちが「楽しみ」「安心感がある」「自分をより強くしてくれる」といった回答をする中、彼女だけがやや異なる発言をしたことが印象に残った。
もちろん早田は自身を悲観しているわけではない。2024年のパリ五輪では女子のエースとして、シングルスで銅、団体でも銀と二つのメダルを獲得し、文字通り日本を牽引した。そもそもプレッシャーに弱ければ、五輪や世界選手権のような大舞台で活躍するのも難しいだろう。彼女はその後、こう言葉を継いだ。
「ただ、プレッシャーによってプレーが変わるというのはないので、心配はしていないです。愛知で大きな試合をやるイメージもなかったので、卓球を初めて見る楽しさを皆さんにも感じていただきたいですし、ここから卓球を始める子供たちが増えてくれたら嬉しいなと思っています。そのためには最後まで残り続けないといけないと思うので、頑張っていきたいです」
大舞台で感じる中国選手の強さ
「大きい大会になればなるほど、選手全員が本気でその大会に入ってくるんですね。例えば中国人選手は普段の国際大会で戦っているときよりも、五輪や世界選手権では5倍くらいの強さになる。そういう舞台でしか出会えない、その選手の強さを感じることができるんです。そこで感覚を研ぎ澄まして、吸収できることはして、通用しない部分に気づけていけないと五輪で勝利することは遠い。そういうことを感じられるような試合をしたいと思いますね」
早田が中国人選手を5倍の強さと感じるのと同様、相手からしてみても大舞台で発揮される彼女の強さを脅威に思っていることだろう。パリ五輪のシングルスでは準々決勝で左腕を負傷しながら、3位決定戦は痛み止めを打って見事に勝ち切った。死力を尽くして、逆境を乗り切ったこの試合は、早田の肉体的・精神的な強さを象徴する一戦でもある。
「自分は大舞台の方が、爆発的な力や粘り強さは発揮できる印象はあるんですよね。1、2回戦とかはたぶんいつもと変わらないんですけど、ラウンドが上がってくるにつれて、プレーしている自分がキラキラ輝いてきている感覚もあって……。相手も本気だからこそ、こっちも思い切り対抗できる感じがゾーンに入るきっかけになったり、自分の良さを引き出してくれるのかなとは思っています」