週刊ドラフトレポート2026

昨年の都市対抗優勝コンビ! ゲームを作れる実戦派左腕、走攻守に高レベルな強打の外野手

西尾典文

【撮影:西尾典文】

 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。今回は8月26日に開幕した都市対抗で注目のサウスポーと強打の外野手を紹介します。

縦の変化球で打者を翻弄!試合を作る能力の高さが魅力の実戦派左腕

大学、社会人と結果を残している左腕・樋口。縦の変化球が魅力だ 【撮影:西尾典文】

樋口新(王子 24歳 投手 178cm/84kg 左投/左打)

【将来像】小島和哉(ロッテ)
フォームは少し違うが変化球の使い方が上手く、小島のような先発左腕になれる可能性も
【指名オススメ球団】ヤクルト
山野太一以外に安定した左の先発投手がいないチーム事情から
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 昨年の都市対抗で21年ぶり2度目の優勝を果たした王子。MVPにあたる橋戸賞を獲得した九谷留(現・楽天)とともに投手陣を牽引する活躍を見せたのが左腕の樋口新だ。千葉経大付では3年夏にエースとして千葉県の独自大会で活躍したものの、当時は全国的には無名の存在だった。

 愛知工業大進学後も3年までは結果を残すことができなかったが、4年春から中村優斗(現・ヤクルト)とともに二枚看板を形成。4年秋には最優秀防御率、最多奪三振のタイトルも獲得している。王子でも入社直後から投手陣の一角に定着。昨年の都市対抗では4試合、19回を投げて自責点3、20奪三振という成績を残し、チームの優勝にも大きく貢献した。

 今年は前年度優勝チームということで都市対抗予選が免除されたこともあってアピールの機会は逆に少なくなったが、そんな中で多くのスカウトが視察に訪れたのが6月30日に行われた西武三軍とのプロアマ交流戦だ。1回にいきなり先頭打者にヒットで出塁を許すなど立ち上がりから走者を背負う場面が続き、5回を投げて被安打3、4四死球ながらもなんとか無失点に抑え、試合を作って見せた。

 特に効果的だったのが縦の変化球だ。大きいカーブで緩急をつけ、スライダー、スプリットもしっかり低めに集めることができる。昨年の都市対抗の時と比べても重心の上下動が小さくなり、体の開きもしっかり抑えられているように見えた。時折クイック気味に投げるなどボールだけでなくフォームに変化をつけられるのも持ち味で、走者を背負っても慌てることがなかった。

 一方で気になるのはストレートだ。大学4年時は150キロに迫ることも珍しくなかったが、社会人では140キロ台前半が多く、西武三軍戦での最速も144キロにとどまっている。スピードガンの数字が全てではないが、プロで先発として勝負するにはもう少しストレートの勢いが欲しい印象だ。貴重な先発タイプのサウスポーだけに、都市対抗ではどこまで球威が戻ってくるかが大きな注目ポイントとなりそうだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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