バレンシアが佐藤龍之介に見いだした“陽のエネルギー” 開幕スタメン当確も、懸念は周囲の過度なプレッシャー
昨年のU-20W杯から継続して動向を追う
この夏、バレンシアに加入した佐藤龍之介に対して、現地スペインのメディアは惜しみない賛辞を送っている。地元バレンシアのスポーツ紙『Super deporte』などは、プレシーズンに出色のパフォーマンスを披露した日本人アタッカーを、守護神ストレ・ディミトリエフスキ、中盤の要ギド・ロドリゲス、そしてカンテラ(下部組織)育ちの大器ハビ・ゲラとともに、セルタとの開幕戦のスタメン当確組として予想している。ハビ・ゲラと並ぶ攻撃の二枚看板という位置づけだ。
今年も例によって補強が遅れ、批判を浴びているクラブ首脳陣にとって、佐藤はまさに希望の星であり、嬉しい誤算だ。
バレンシアは昨年5月、かつてチェルシーでCEOを務めたロン・グーレイを、同じくCEOとして招へい。将来性豊かな若手への投資を、新たな補強戦略の重要な柱の1つに据えている。
昨年10月にチリで開催されたU-20ワールドカップで目を付け、継続して動向を追っていた佐藤を、市場価値が高騰する前に先んじて確保できたのも、そうした戦略がベースとしてあったからだ。そして佐藤の獲得は、プレシーズンを見るかぎり砂漠でオアシスを見つけたかのようなヒット補強となった。
前出の『Super deporte』紙は、《ロン・グーレイはサトウの獲得を強化部の大手柄と捉えており、遅かれ早かれ獲得に動くはずだったプレミア勢を出し抜いたことに胸を張っている》と紙面に綴っている。
才能は青天井で今季最大のサプライズにも
サイドアタッカーが不足するチーム事情が追い風となった側面もある。昨季最終節のバルセロナ戦でディエゴ・ロペスが右膝前十字靭帯を断裂して長期離脱となり、さらにプレシーズンのストーク・シティ戦ではルイス・リオハも負傷。カルロス・コルベラン監督は4-2-3-1から5-3-2へと基本フォーメーションの変更を検討せざるを得なくなったが、5バックの場合、佐藤は本来の左サイドハーフから2トップの一角にポジションを移している。
もっとも、サイドでも前線でもポジションを問わず、佐藤はかつてFC東京の監督だったアルベル・プッチが絶賛したその才能を、異国の地でも遺憾なく発揮している。わずか16歳だった青年をトップデビューさせたスペイン人指導者が惚れ込んだのは、前線にタメを作る卓越したキープ力であり、相手守備網を切り裂く多彩なパスであり、そして敵ライン間へ巧みに潜り込んでプレーする研ぎ澄まされた戦術眼である。
ラ・リーガのスタメン予想や戦術分析を専門とするスペインのサッカー情報サイト『Comuniate』は、佐藤のプレースタイルを次のように分析している。
《狭い局面を打開するスピードがあり、相手との間合いの取り方も絶妙。最終ラインの背後を突く抜け目なさ、ペナルティーエリア内での鋭い得点感覚を併せ持つだけでなく、周囲との連携で相手を崩し、味方の決定機を演出するクリエイティビティーも備えたアタッカーだ》
さらにそのポテンシャルも加味し、《才能はまさに青天井。ラ・リーガのスピードと強度に素早く順応できれば、今シーズン最大のサプライズにもなれる》とまで踏み込んで評価する。