八村は「4週間」で日本代表に何を残せるのか? 周囲が語るNBA組の復帰効果と期待

大島和人

2年ぶりに代表復帰を果たした八村。コート上でひと回り成長した姿を見せた 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 八村塁、河村勇輝が日本代表に帰ってきた。二人の代表復帰は2024年のパリ五輪以来。FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)2027最終予選WINDOW4の2試合に備えたもので、チームは8月27日にサウジアラビア戦(アウェイ)、31日にカタール戦(東京/トヨタアリーナ東京)を控えている。

 八村は翌日の第2試合をコンディション調整のために欠場したものの、8月15日の韓国戦で実力を存分に見せ、22得点を決めている。河村も15日に12得点6アシスト、16日は24得点3アシスト6リバウンドを記録。いわゆる「親善試合」で、お互いに選手を状態に応じて休ませながら、色々な選手を均等に試しながらの展開だったが、日本は88-68、95-66と韓国に連勝している。

制限、衝突を乗り越えて代表復帰

 八村、河村はいずれもロサンゼルス・クリッパーズと2026-27シーズンの新契約を締結している。八村は2年総額2800万ドル(約45億円)という高額契約で、河村はエグジビット10(無保証の最低年俸)という違いはあるが、世界最高峰のNBAで戦う二人はアジアでも別格の存在だ。

 ただ、彼らはしばらく日本代表から遠ざかっていた。男子のW杯予選は2月、8月、11月に2試合セットで組まれる慣例だが、2月と11月はNBAやNCAA(全米大学体育協会)のシーズンと被る。慣例としてNBAとNCAAに所属する選手はシーズン中の代表戦に出ない。さらにNBA組はオフシーズンにも「28日(4週間)ルール」という、代表活動の日数を制限する選手会とリーグの取り決めがある。

 NBAはレベルや強度が高いだけでなく、レギュラーシーズンだけで年間に72試合もあり、北米を広く移動する過酷なリーグだ。確かに休養は必要で、それが選手を守るための措置であることも理解する必要がある。当然ながら代表活動よりNBAの契約をつかむ、守る努力が優先されるオフもあるだろう。

 それでも二人は代表に戻ってきた。まずW杯最終予選で日本を勝利に導き、27年にカタールで開催されるW杯本大会の出場に近づくため。そしてW杯で「アジア最上位」に入り、LA28(ロサンゼルス五輪)の出場権をつかむためだ。

 八村は2023年のW杯を欠場している。翌年のパリ五輪は出場したが、その後「プレーヤーファーストの精神が見られない。そういう方針の日本代表ではプレーしたくない」と明確な批判を口にしていた。しかしそこから日本協会の会長が交替し、代表も伊藤拓摩強化委員長、桶谷大ヘッドコーチ(HC)の新体制に切り替わっている。

 まず八村が代表選手としてコートに立つことが、バスケットボールに関わる者にとって興奮を誘うニュースだった。昨季までロサンゼルス・レイカーズという人気チームの主力としてしっかり実績を残し、NBA30球団、450選手の中でも上位5分の1には入るであろう「トップ選手」として日本に凱旋した。

周囲が語る八村効果

 15日の韓国戦、八村は開始直後から「違い」を見せる。まずティップオフから15秒(第1Q残り9分45秒)のファーストショットで、八村は西田優大からのパスをトップの位置で受け、ミドルを悠々と決めた。さらに第1Q残り8分08秒、河村のキックアウトを左ウイングの位置で受けると、この試合1本目の3ポイント(3P)シュートを成功。さらにフリースローも成功し、11-0のラン(連続得点)に大きく貢献した。

 八村自身は試合をこう振り返っていた。

「バスケはチームスポーツで、その中で僕らが入った。今まで桶谷さんがやってきた、積み重ねてきたケミストリーを崩さないようにしつつ、プラスのパワーを得点力、フィジカルのところで出せたと思う」

 桶谷HCは八村、河村の合流によるインパクトをこう説明する。

「チームでなかなか点が取れない時間帯に個で打開できます。結局チームとして強くなるためには、個の尖った部分がないとチーム力も上がっていかない。これくらい尖っている二人がいることで、自ずとチームの総合力も上がってくると思っています」

 ジョシュ・ホーキンソンは八村効果をこう言葉にする。

「攻撃の選択肢が格段に増えたので、相手にとって守りにくいチームになったと思います。塁は1対1で守るのが非常に難しい選手ですから、彼がいることでスペースが生まれ、他の選手も得点しやすくなります。彼らがコートにいるおかげで、イージーなレイアップや3Pシュートを打つチャンスが増えました」

 ホーキンソンは自身のプレーについてもこう述べる。

「毎回スクリーンをセットする、頻繁にボールに触れる必要はなくなります。自分はオフ・ザ・ボールの動きもできますし、純粋な5番(センター)の役割を担ったり、あるいは(外に開いてプレーする)ストレッチ・ビッグとしてプレーしたり、柔軟に対応できます」

 ホーキンソンも八村も、オフェンスについては万能タイプ。二人の共存も楽しみだ。

 シェーファーアヴィ幸樹はこんな「反省の弁」を述べていた。

「やはり塁はすごいですね。でも最初ちょっと一ファンになってしまった瞬間があって、ベンチでそれは少し良くないかなと思いました」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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