U-12侍ジャパン桑田監督、10年ぶりアジア制覇も胴上げは拒否 グラウンド外の苦労も克服し「肩の荷が下りた」

三和直樹

胴上げ拒否で全員とハグ

【撮影:三和直樹】

――今大会で特に印象に残った試合やシーンは?

「やっぱりサヨナラ勝ち(スーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦)ですよね。2アウトランナー1塁から(3点を奪っての逆転サヨナラ)でしたから。僕自身も『今日はもうここまでか』って思いかけましたけど、最後まで彼らを信じて、みんなで何とか繋いで、サヨナラまで持っていった。最後まで諦めないという彼らの強い思いにすごい感動しましたね。その日はあまり眠れなかったですから。彼らの成長を感じましたし、すごく強くなったなと思いましたね」

――今大会のMVPにも選ばれた石井裕翔君と陸翔君の双子バッテリーの活躍が光りましたが、その他の選手で敢闘賞をあげるとすれば?

「いや、もう全員ですよね。全員が試合に出ましたし、全員がミスもしましたし、そのミスを全員でカバーした。いいプレーが出たら全員で喜ぼうねっていうことでこの大会を乗り切った。本当に団結力のあったチームだったなと思います」

――決勝戦で勝利した後、「胴上げよりも全員とハグしたい」とのことでしたが?

「はい(笑)。みんなは『胴上げしたい』って言ってくれたんですけど、僕はやっぱり胴上げよりも、一人ひとりを、子どもたちを抱き締めてあげたいなって思ったんですね。その方が僕は良かったんです。なので『ごめんな』って言って、胴上げからハグに変えてもらったんです」

「将来に向けての大きな財産になる」

――改めて監督としてU-12世代を率いての国際大会で感じたことは?

「初めて監督というものを務めさせてもらいました。当然、野球で勝利を目指す、真剣勝負をするというのは素晴らしいことだと思いましたが、もう一つ感じたことが、いろんな国の選手たちが試合後に楽しそうに交流してる姿を見て、野球を通じて世界と繋がる、そして互いの文化の違いをリスペクトする。それが世界平和に繋がっていくということ。勝利はもちろんなんですけど、勝利以外の部分でも、子どもたちが将来に向けての大きな財産になる大会になったんじゃないかなと思います。おそらく子どもたちが家に帰って家族やチームの人たちが見たら、人間的にも野球選手としてもすごく成長したなっていうのは、手に取るようにわかると思います。それぐらい彼らはこの大会で強くなってくれたと思います」

――桑田監督自身が学んだことなどはありましたか?

「いろいろと学びは多かったんですが、やはり野球は打ち勝ち続けることはできないスポーツだなと再確認しましたね。ヒット3本ぐらいしか出ないけど、それを3得点に繋げたりとか、そういった野球がやっぱり日本の野球の特徴であり、日本の持ち味だと思う。日本はそういう野球をしっかりやっていくことが大事だなと再確認できた大会でもありましたね。どのステージの野球も同じ。やっぱりいいピッチャーが相手だと打てないです。ですから、いかにみんなで繋いでいくか、あるいは相手のミスを逃さずに得点していくか。そういう野球が僕はすごい大事じゃないかなと思います」

――この選手たちの中から将来、甲子園やプロの舞台で活躍する選手が出て来そうですか?

「先のことはわからない。わからないですけど、彼らには一日でも一年でも長く野球を続けて欲しいなと思います。野球からさまざまなことを学んで、豊かな人生を歩んでもらいたい」

――桑田監督自身は今後も侍ジャパンの組織に関わって行きたいですか?

「いや、これはもう選ばれないとできないことですからね。でもまぁ、僕は日本の野球界のために貢献したいなと思っているので、自分ができる範囲で、ベスト尽くしたいなと思っています」

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、サッカー、野球を中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。その後、野球専門誌所属を経て、現在はフリーランスとして幅広く取材、執筆活動を続けている。

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