全英女王・桑木志帆に欧米メディアが熱視線、その存在感の理由 日本凱旋で“フィーバー”も

北村収

全英女子優勝後、桑木は欧米のメディアで一躍注目選手に

 国内ツアーを主戦場としてきた桑木は、欧米の一般ファンにとっては馴染みの薄い選手だった。大会前の知名度は決して高くなく、今回の全英女子制覇を“surprise win” と表現する媒体もあった。だが全英女子での活躍をきっかけに、欧米のメディアでも一躍、注目選手として扱われるようになった。欧米の各媒体の論調を紹介する。

米「GOLF.com」は桑木を“米ツアーで継続的に活躍する力がある”と評価

 米国の老舗ゴルフ誌「GOLF Magazine」のデジタルメディア「GOLF.com」は、桑木の最終日のプレーを高く評価した。パー3の9番では完璧な軌道を描くアイアンショットで重要なバーディーを奪うなど、最後の13ホールを2アンダーでプレー。5アンダーまでスコアを伸ばし、優勝争いをする選手たちにプレッシャーをかけたと伝えた。さらに、序盤の苦戦から立ち直ると、速く自信に満ちたプレーを見せ、「日曜日に他の誰にもできなかったことを成し遂げた」と称賛。今後、米国ツアーで継続的に活躍する存在になるだろうとの見方も示した。

全英女子で優勝を決めた直後の桑木。地元の大ギャラリーから大歓声と惜しみない拍手が送られた 【Photo by Jason Butler/Getty Images】

プレーだけじゃない! 桑木のキャラクターにも注目した米「Golf Digest」

 米国を代表する老舗ゴルフメディア「Golf Digest」は、最終日の5ホール終了時点で首位と5打差だった桑木が、そこからどのように逆転優勝までたどり着いたのかを詳しく紹介。さらに、大胆なウェアに身を包み、黄色いゴルフボールを使い、長く鮮やかなネイルを施すなど、個性的なスタイルにも注目した。優勝後、祝勝会の予定を尋ねられた桑木が「お酒を飲んで楽しむのが大好きなので、今夜はたくさん飲むつもりです」と語ったことも取り上げるなど、プレーだけでなく桑木の魅力的なキャラクターにも多くの字数を割いていた。

大会中から桑木の実力とファッションに注目した英「Golf Monthly」

 英国の老舗ゴルフ専門誌「Golf Monthly」は、優勝が決まる前から桑木の人物紹介記事を掲載していた。その中で桑木を「日本を代表する有望な若手ゴルファーの一人」と高く評価。まだ優勝が決まる前、優勝争いに加わった段階ですでに英国の専門メディアから注目を集めていたのだ。

 さらに、人物紹介の中では桑木の「独特のファッションセンス」にも触れており、プレーだけでなく、そのスタイルにも注目。優勝後の記事では桑木を「日本のスター」と表現し、プレーオフでの戦いぶりについても、ピンチから見事に盛り返したと高く評価していた。

「驚異的」とプレーオフでの勝負強さを称賛した英「Sky Sports」

 英国の大手スポーツ専門メディア「Sky Sports」は、桑木がプレーオフを制してメジャー初優勝を飾ったニュースを大きく報じた。プレーオフ1ホール目では、ティーショットを深いラフに入れながら、フェアウェイに出した後の3打目をピンそばにつけてパーをセーブしたプレーを「驚異的」と高く評価した。ピンチを切り抜けてメジャータイトルをつかんだ桑木の勝負強さと、最後まで目が離せない展開を強調していた。

日本のファンからだけでなく世界が注目する存在に

 凱旋出場となった「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」では、多くのギャラリーから祝福を受け、まさに“桑木フィーバー”ともいえる盛り上がりを見せた。しかし、桑木に熱い視線を送っているのは、日本のゴルフファンだけではない。全英女子の開催国・英国をはじめ、欧米のファンやメディアにも、その存在は強く印象づけられた。

 世界が称賛したのは、メジャーの大舞台でも崩れなかった冷静さや、プレーオフで見せた勝負強さだけではない。大胆なファッションや鮮やかなネイル、自分らしいスタイル、そしてプレー中に時折見せる笑顔。強さと個性を併せ持つ桑木志帆というゴルファーそのものが、世界のファンやメディアを引きつけたのだ。

 NEC軽井沢で巻き起こった“桑木フィーバー”は、日本だけのものではない。全英女子制覇によって、その名前と魅力は世界へと広がった。メジャー王者となった桑木が、これから日本だけでなく世界の舞台でどんなプレーを見せてくれるのか。さらに注目を集める存在になりそうだ。

強さと個性を併せ持つ桑木には、日本だけでなく世界が注目している 【Photo by Atsushi Tomura/Getty Images】

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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