【後編】午前は起業家、午後はプロ野球選手 メジャー定着を狙う西田陸浮の「異色のルーティン」

丹羽政善

遠征地・ナッシュビルでの練習前、西田陸浮の素顔に迫った 【筆者撮影】

「球場のほうが楽」起業家・西田陸浮の1日

 遠征地のナッシュビルでインタビューを行ったのは7月29日のこと。

 待ち合わせは午後1時。その日の試合開始は午後6時40分なので、かなり早い。わざわざ早めに時間をとってくれたのかと思ったが、チームバスのホテル出発が午後12時半。その時間帯の球場入りが、西田陸浮が所属するシャーロット・ナイツにとっては、デフォルトだった。

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 あまり聞いたことがないが、西田も「僕らはちょっと、異常っす」と苦笑した。

「ホワイトソックスはローAもハイAも全部、毎日練習する。しかも外で。普通外では練習しないじゃないっすか、暑いんで。するんすよ、しかも全員で」

 メジャーであれば、もちろん、試合開始時間にもよるが、午後6時40分開始であれば、ホームの選手が球場に来るのは午後1〜2時。敵地の選手なら午後3時ごろ。チームバス出発が午後12時半というのは、早出で何かをするケースだけだ。

 で、午後1時に来て、何をするのか。全体練習開始は、投手と野手によって時間が異なるが、西田の場合、「まず野球のメモをとる」という。

 例えばどんな?

「今日意識することだったり、いろんな選手の良いところを書いています」

 その後、「ストレッチを2時間ぐらいかけてしている」とのこと。そしてその日は、午後4時過ぎから、守備練習と打撃練習が行われた。

 試合が始まるまでに、特に暑い夏場は体力が削られそうだが、「球場に来てからの方が楽です」と西田は笑う。

「いっぱい時間あるんで。僕らだいたい7時から試合じゃないっすか。だけど12時から球場入りして、練習する。でも、そんなずっと練習はしないんで、時間があるんすよね」

 そこで少し息抜きもする。なにしろ、午前中から働き詰め。

 前編でも少し触れたが、西田は、「ワンハネ」という会社を経営し、留学支援、イベントの運営(野球教室など)、チアリーダー留学、トレーニング事業を行っている。1日のルーティンは、その仕事を午前中にこなすことから始まる。

「今日だと、朝8時ぐらいっすね、起きるのは。朝8時、9時ぐらいに朝食を食べてから、確認事項。ルーティンワークと作業っていうのを分けていて、ルーティンワークっていうのが、従業員のルーティンを作ること。朝起きたときに見られるように、次の日の従業員のルーティンを出してあげる。次に選手と連絡を取ってから、自分の仕事っすね。自分の仕事は、仕事を持ってくることなので、営業とかメールとかです」

 時差があるので、日本の従業員が寝ている間に指示を出しておく。続いて、アメリカにいる日本人留学生のフォロー。そして、営業。それを午後12時前後の出発時間までにこなす。

 試合が終わって家、もしくはホテルに戻ると、今度は日本とオンラインミーティングをすることが多いそう。

「11時に終わって、帰って。で、その時にZoom(ズーム)。試合後のズームの設定が夜11時、12時なんで、それをやって、寝るって感じですね」

 球場に来れば野球だけに集中できるので、そのほうが楽、というのは、そう意味である。

「それ以外は、いろんな連絡が常に来る。その連絡にはすぐに返すようにしているので」

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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