16歳がJ1開幕戦で衝撃デビュー弾 横浜FM・三井寺眞は何がスゴいのか?

大島和人

16歳・三井寺眞(写真右)は鹿島戦の7分に先制点を決めた 【(C)J.LEAGUE】

 記録づくめの明治保田J1リーグ2026/27シーズン開幕戦だった。8月7日(金)の横浜F・マリノスvs.鹿島アントラーズは記念すべき秋春制の初戦で、MUFGスタジアム(国立競技場)にはJリーグ史上最多となる63,960人の観客が集まった。

 そんな大一番で16歳4カ月5日の横浜FM・三井寺眞(みいでら・しん)は、史上最年少のJ1開幕戦先発選手となった。彼が開始7分に決めた先制ゴールは2004年の森本貴幸(当時東京ヴェルディ)に次ぐJリーグ史上2番目の年少ゴール。「開幕戦」「J1デビュー戦」に限定すれば史上最年少のゴールだった。

 試合は3-4で横浜FMが敗れていて、三井寺が交代したあとの3失点による逆転負けだった。ただ三井寺個人は左サイドのMFとして61分までプレーし、十分な結果とインパクトを残した。

3得点に絡み、スーパープレーも

天野純(写真左)との連携も光った 【(C)J.LEAGUE】

 試合後の三井寺は試合前の心境をこう振り返っている。

「昨日の前泊はもうずっと緊張していたんですけど、いろんな先輩が話しかけてくれて、今日はのびのびプレーできました。ゴールは近藤(友喜)選手の個人技がすべてで、自分はクロスに合わせただけだったかなと思っています。アップのときは緊張よりワクワクが大きかったんですけど、試合前に入場したときはすごく緊張していました。笛が鳴ってからは、いつも通りでした」

 先制弾は知念慶のインターセプトから始まったカウンターで、近藤が右サイドを破り、絶好のクロスが三井寺の前に流れてきた。彼は寄せてきた相手と重ならないように身体を軽く開き、蹴り急がず冷静に左足で合わせた。

 その後も三井寺はピッチ上で輝きを放ち続けた。18分、58分に谷村海那が決めたゴールは、いずれも彼が起点になっている。特に18分のお膳立ては鮮烈だった。

 角田涼太朗が左サイドに浮き球を入れたものの、三井寺の前には植田直通が立ちはだかっていた。体格差や対人能力を考えれば「競り勝つ」「ボールを収める」ことはほぼ期待できない。しかし三井寺はヒールでのトラップでボールを浮かし、31歳の元日本代表センターバックを翻弄。ボールを収めると中間スペースは走り込んだ天野純へ絶妙のパスを通し、そこからのクロスに谷村が合わせた。

 三井寺は淡々と自らのスーパープレーを振り返っていた。

「たまたまっす。植田選手が来ていたので、後ろのスペース空いているかなと思ってトラップしたら、なんかいい感じに抜けました」

 天野はこう口にする。

「(三井寺が)点を取って乗ったかなと感じていました。シャペウみたいにかわして、僕が抜け出せた。『うまっ』と思いました」

 58分のチャンスも左中間の「3対3」の局面から、狭いエリアをスルーパスで破り、天野のスプリントを上手く活かした。ボールコントロールやキックの技術に加えて「コースが見えている」「タイミングを計れる」という天分の見えた場面だった。

 なおこの2得点について、三井寺はアシストのクロスを送った19歳上の先輩を称えていた。

「自分がキープしたときに、(天野)純くんがすごくいいランニングを何回もしてくれていたので、純くんのおかげかなと思っています」

コリカ監督はなぜ16歳を起用したのか?

コリカ監督は自身の横浜FM初戦で三井寺を起用した 【(C)J.LEAGUE】

 もっとも体力的にはまだ足りない部分が露呈した。彼はこう述べている。

「球際、フィジカルの部分は個人的に劣っている部分が多かった。そういうところは磨かないとこれから活躍できないと思います」

 また空中戦の競り合いで着地した場面で左足を攣(つ)り、そのまま61分に交代している。

「今まで攣ったことがなかったので、まさか60分で攣るとは思っていなかったです。自分が思っている以上に緊張が大きかったのか……。90分の試合なので、60分で攣っていたら使われる回数は少なくなってくる。そこは今後の課題にしたい」

 とはいえ三井寺の起用が単なる「話題作り」でなかったことは、この日の活躍が証明している。スティーブ・コリカ監督は起用の理由をこう述べていた。

「プレーを見れば明らかでしょう。彼はデビュー戦でゴールを決め、他の2得点にも絡みました。彼はまだ16歳ですが、以前も言ったように年齢は関係ありません。プレシーズンもいい調整ができていました。足を攣って交代したのは残念でしたが、素晴らしいプレーでしたし、自信を持っていいと思います」

 視察に訪れていた日本代表の森保一監督も賛辞を惜しまなかった。

「得点を決め、演出もする、本当に素晴らしい活躍をしていました。『16歳の子が』とか言ったらもう失礼ですね。物怖じすることなく、思い切って出し切っていましたし、同世代の選手たちに『俺たちもできるんだぞ』と示してくれました。Jリーグ、日本の国内に、若い選手が本当にいっぱいいるぞとアピールしてくれました」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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