カーリングが強化戦略室発足と共に新サイクルに突入「8年、さらにその先を見据えた強化を」
五輪シーズンだった昨季、日本代表は女子(フォルティウス)が7大会連続で五輪出場を果たしたが、男子とミックスダブルス(以下MD)は4年に一度のアイスに立つことができなかった。
世界選手権でも日本代表は男子(SC軽井沢クラブ)が8位、女子(ロコ・ソラーレ)が4位、MD(小穴・青木)が5位という決して悲観する結果ではないが、世界の頂点を狙うにはもう一声、という成績ではあった。
JCA(日本カーリング協会)はこれらの結果を受け、従来の強化部門である強化委員会を解散して新たに強化戦略室を発足させた。室長に小笠原歩を据え、佐藤浩、松沢大介、松村雄太、立松正、武藤大観、佐藤みつきの7名で構成される理事会直結の組織だ。
小笠原はかねてから「未来に向けて投資は必要」と語っていた。五輪でいえば「4年ではなく、8年先、12年先に向けた強化が必要になってくる」と力を込める。
ジュニア育成のサマーキャンプ「ナブテスコ ユースカーリングアカデミー」
「回を重ねるごとにカリキュラムも濃くなってきた」とは小笠原。デリバリーやスイープといった基礎は当然ながら、例えば今回はショットフォーム分析アプリ「CURLING EYE」を使用しユース選手が継続可能な動作解析を行なった。
また、今年の講師陣にはカナダのブリティッシュ・コロンビア州出身の佐藤剣仁が名を連ね、ネイティブの英語でコミュニケーションを図った。合宿最終日の実戦では試合前練習のアナウンスを佐藤が担当するなど活きたカーリングイングリッシュに触れた受講生は「もっと英語を勉強しないといけないと感じました」と刺激を受けたようだ。
さらに、鈴木夕湖や吉田夕梨花(ともにロコ・ソラーレ)、小野寺佳歩(フォルティウス)らオリンピアンも講師として参加し、青森の「フェンリル」でプレーする高校1年生の相馬圭佑はスイープについて小野寺に「脚の運びと重心に注意」とアドバイスをもらったと明かしてくれた。
「どんどん吸収してスイープ力や体力をつけていきたい」と語り、今年は日本ジュニアのプレーオフ進出を目指す。
一方で初参加の吉田が「一緒に学んでいる感覚でもある」と感想を口にした。
「いろいろなチームからトップカーラーが来ているので、それぞれのチーム、個人の考え方をジュニアに伝えていて、それを聞くだけで勉強になります。特に剣仁のイングリッシュ講座はすごい良かったと思う。英語で自分の意思をどう伝えるか。それは必修課題。一生、組み続けてほしいですね」
全4回で講師として参加している臼井慎吾(KiT CURLING CLUB)も同様に「僕自身も基本から教えることで復習という意味では学びが大きい」と語ってくれたが、小笠原は「講師の選手も、自身のキャリアの幅を広げるようなきっかけになるのが理想」とまた別の狙いを明かしてくれた。
昨季はまだジュニア世代ながら最年少講師としてこの「ナブテスコアカデミー」に参加した三浦由唯菜(札幌国際大学)が、受講生の藤井海斗(SC軽井沢クラブJr.)と組んでMD世界ジュニアで金メダル獲得する快挙を達成した。夏の風物詩であり、育成強化の柱となるイベントであり、選手としてはブレイクスルーの契機となるこのアカデミー。今後も世界に挑む多くのカーラーを輩出してくれそうだ。