2026-27シーズンのJ1・J2「補強・戦力」を徹底分析!

曺貴裁監督が就任した今季の浦和レッズはどうなる? 識者2人がキャンプ・練習・プレシーズンマッチから読み解く

構成:YOJI-GEN

どうなるかと思っていたけれど……

いまはハイプレスに取り組んでいるが、曺貴裁監督が目指すのはボール保持もできるハイブリッドなスタイルだ 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

――チームの雰囲気や選手たちの表情はどうですか?

菊地 選手に話を聞くと、ポジティブに取り組んでいる印象です。開幕前だから当たり前といえば当たり前ですけど、曺監督の指導や狙いに関してもポジティブに受け止めていて、雰囲気もいいと思います。スタッフ陣の雰囲気もいいですね。むしろ、以前と比べて声がよく出るようになったと思ったら、その声を出しているのがスタッフ陣だったりします(笑)。選手でもたとえば新加入の水沼宏太が率先して声を出しているなど、単純な声の量、大きさは明らかに増していると感じます。

沖永 外国人監督が続いていたので、日本語で直接コミュニケーションを取れることによるやりやすさは感じているように見えます。曺監督とのコミュニケーションも、オフ・ザ・ピッチやちょっとした練習の間のときはフランクですし、逆に外国人監督の前だとこういう感じは出しにくいのかなと。田中達也さんが暫定監督だったときも少し感じていたもので、個人的には“ゆるみ”に見えることもあるのですが、クラブが善しとするならいいのでしょう。それを抜きにしても本当にみんな明るいし、声かけはとにかくたくさんできています。

――ファン・サポーターとのコミュニケーションの場ということも含め、公開練習をもっと増やしたほうがいいかもしれませんね。

菊地 実際に練習を見ると、雰囲気もそうですし、練習内容の意図も感じられると思います。

沖永 7月29日の大原での公開練習や、沖縄キャンプを見学に来ていたファン・サポーターたちの中には、「どうなるかと思っていたけれど雰囲気はいいじゃないか」みたいに感じた人も多かったのではないかと思います。

――プレシーズンを見てきて、キーマンになりそうな選手や若い選手でチャンスが増えそうな選手についてどう感じましたか?

菊地 工藤孝太に関しては沖永さんも推しているようですが、僕も期待しています。まず、その変わりように驚きました。21年にユースから昇格して23年から藤枝、ギラヴァンツ北九州、ファジアーノ岡山と期限付き移籍してきましたが、22年までとは別人のようです。先輩たちにも臆さず厳しい声も含めて指示を出し続けていますし、メディア対応も堂々としている。自信に満ち溢れていて頼もしい選手に成長したと感じます。

沖永 曺監督が好きそうだなと感じたのは和田武士ですね。どこでどれくらい出るのかは分からないですけど、少なくともデビューは今シーズンのどこかで絶対あるんじゃないかと。それくらい気に入っているように見えますし、本人もアピールしています。

――和田は遠藤航系ではなく、プレーメーカー的なボランチですよね?

菊地 ルカ・モドリッチ系ですね。

沖永 ただ、インサイドハーフで使われているのもあって、「バチバチでも俺はやれるぞ」みたいなところを見せています。総合力タイプでもあるので、何かしらの起用はあるんじゃないかと思いますし、ブレイクする可能性もなくはないと思います。今から持ち上げすぎるのも良くないですけど。

菊地 田中義峯やルカ・ディドゥリカが田中達也監督率いるU-21に移った一方、和田はトップチームに残っていることからも期待を感じますよね。同じポジションだと植木颯も出番を増やしそうです。あとは、縦に速いとかプレスの強度と言われている中で、サミュエル・グスタフソンがかつてのアンドレア・ピルロのようなプレーを見せたら面白いんじゃないかと思います。彼が急ぐのではなく、むしろ攻撃の時間を調整しながら、精度の高いパスで前線に飛び出していく選手を使うイメージです。

沖永 植木選手はアンカーとしても評価されていそうです。日本大学時代に見た印象よりバチバチできる選手になっていて、出足がいいし、ボールも奪える。もっとグスタフソンのようなプレーメーカーだと思っていましたが、バトルもできますね。中盤3人は分からないですね。誰が出てもおかしくない。

菊地 インサイドハーフはボランチの選手もウイングの選手もプレーしますよね。

沖永 マテウス・サヴィオや南野遥海もやっていますね。笹修大も面白いです。まだ19歳ですけど、プロレスラーみたいな体をしていて馬力がある。

菊地 ダイナミックですよね。4-3-3の中盤ならどこでもできます。本人は中盤で勝負したいと考えていますし、クラブからもボランチとして使いたいと言われているようですが、3バックやサイドバックでもプレーできます。話を聞いてもベテランのように落ち着いていますね(笑)。

沖永 前に出ていくときの迫力は伊藤敦樹に近いかもしれないですね。

暑いときのほうが差を出せる?

今治から加入した19歳の笹修大。大宮戦ではインサイドハーフとして先発し、攻守に渡って力強いプレーを見せた 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

――8月1日にはRB大宮アルディージャとのプレシーズンマッチが行われ、2-2のドローに終わりました。どう見ましたか?

沖永 終わってみると、なかなか苦しい内容と結果でした。渡邊凌磨の最初のシュートが入っていればそのまま押し切った可能性もあると思いますが、守備の方が思ったよりもできていなかった。1失点目のファーへのクロスは練習でも失点が多かった形でしたが、2失点目はキャンプで重点的に取り組んだところのはずなので、もっとうまくやってほしかったですね。

 西川周作が「ぺナルティーエリア内で下がらないで守りたい」というのを藤枝戦のあとに言っていたのですが、そこもできていなったかった。メンバーが変わるとガラッと変わる部分もあると思いますが、まだまだ実行レベルは足りないと思います。

菊地 プレッシングや縦に速い攻撃、後方から追い越す動きなど、狙いはかなり感じられる試合でした。選手に意識が揃っていると感じましたし、個々の状態も良さそう。あと4、5点入ってもおかしくないくらいチャンスはありましたし、厳しく言えば勝たなければならない試合でしたが、開幕前にここまでできていることは評価されるべきだと思います。一方、失点シーンを含めて自陣での守備は大きな課題として残ったと思います。狙いを絞って進めている段階ですし、最終的には個の力になるところですが、守備は整理する必要がありますね。

――では、最後に26-27シーズンはどんなシーズンになりそうですか? 何位くらいになるでしょう?

菊地 ACL(AFCチャンピオンズリーグ)エリート出場権獲得……と言いたいところですが、そこを争う5位、6位くらいになると予想しています。

沖永 「このサッカーだと夏場はもたない」というイメージもあると思いますが、京都はむしろ夏に強かったイメージです。スタートダッシュがうまくいく可能性はあると思いますし、むしろ暑いうちに勝ち点を稼ぐ必要があると思います。

――京都はなぜ暑い時期に強かったのですか?

沖永 京都は季節に関係なくハードワークできて、涼しい時期には相手チームとの差が出にくくて、暑いときの方が差を出せるイメージです。浦和がいきなり京都くらいハードワークできるかは分からないですけど、仮に強度一本槍だとしても、シーズン当初は押し切れる可能性があると思います。ただ、例えばヴィッセル神戸のような、強度スタイルでぶつかってくる上位陣に勝ちきれるかというと、どうかなと。4位から10位くらいと予想しています。

菊地 予想の範囲が広いですね(笑)。

沖永 怪我人や今後の補強だったりでどうにでも転びそうなんですが、あまりいい流れにならなくても、そこまで悪いことにはならなくて下半分までは落ちないんじゃないかと。ここ数年で最もシンプルなことをやっているので、スタイルそのものに疑念が出ない限り迷いはあまり出ないと思いますから。

(企画・編集/YOJI-GEN)

沖永雄一郎(おきなが・ゆういちろう)

山口県出身。某連合組織に16年務めたのち、ストレスで退職。フリーランスとして活動をはじめ、2020年からサッカー専門紙『エルゴラッソ』の浦和レッズ担当に。2022年~23年のACLとクラブワールドカップでは唯一の皆勤取材者となった。26年からザスパ群馬担も兼任。

菊地正典(きくち・まさのり)

福島県出身。埼玉大学卒業後、サッカーモバイルサイトを運営するIT企業を経て、フリーランスに。2025年はサッカー専門新聞『エルゴラッソ』でジェフユナイテッド市原・千葉の担当記者を務める傍ら、サッカー日本代表や過去に担当した浦和レッズや横浜F・マリノス、川崎フロンターレなどJリーグを中心に取材している。著書に『浦和レッズ変革の四年 〜サッカー新聞エルゴラッソ浦和番記者が見たミシャレッズの1442日〜』(スクワッド)、『トリコロール新時代』(スクワッド、三栄書房)がある。

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