アストンマーティン・ホンダは正しい道を見つけたのか? 本格復活への期待と課題
何が変わったのか
アストンマーティンはここに、ノーズやフロア、リアウィング、リアサスペンションなど、16ヶ所ものアップデートを投入した。もはやほぼ別物のマシンと呼んでいいほどの大改造である。同時に大幅な軽量化にも成功し、ラップタイムは秒単位で縮まった。コンマ1秒の短縮にしのぎを削るF1で、一気に1秒以上速くなるなど、普通はありえない。
しかし本当に重要なのは、マシンがどれだけ速くなったかという結果ではなく、「どこを改善すればさらに速くなるのか」が、チームの中でようやく見え始めたことだ。
F1の開発競争では、絶対的な速さ以上に、「正しい方向へ進んでいる」という確信が何より大切になる。少し技術的な話になるが、今回の大改造で目を引いたのが、旧仕様にあった「ハイレーキ」がほぼ消滅していたことだった。「ハイレーキ」とは、車体リアの車高をフロントより持ち上げ、前傾姿勢で走らせるアイデアだ。
強大なダウンフォースを発生し、コーナリング性能も劇的に向上する。ニューウィの代名詞というべき技術で、レッドブル・ホンダのタイトル獲得に大きく貢献した。ライバルチームもこぞって後追いした技術だったが、2022年に空力規約が大きく変わって以降、ハイレーキのメリットは薄れ、ほぼ消滅していた。
それをニューウィは今年、復活させたのだ。しかしハイレーキをまとったAMR26は大苦戦。今回の改良仕様では、そのアイデアを封印したように見える。
本格復活は可能か
そしてホンダはいよいよ、夏休み明け8月末のオランダGPで改良版PUを投入する。高速燃焼システムを見直し、かなりのパワーアップ、そして電気エネルギーの回生能力の大幅向上が見込めそうだ。もし両者が同じ方向を向いて機能し始めるなら、今季後半は来季への土台を築く重要な時間になるだろう。
F1に魔法はない。一度のアップデートでトップチームになることも、一人の天才だけでタイトルを獲得できることもない。そして今のアストンマーティン・ホンダには、ようやく希望を語れる材料がそろってきた。「この道を進めば勝てる」という確信を、彼らはこのまま積み重ねることができるかもしれない。
ハンガリーGPは、アストンマーティン・ホンダにとっての「正しい道」がようやく見え始めた週末だった。その道が、本当に勝利へ続く一本道なのか。それを証明する戦いが、いよいよここから始まるといえる。
(了)