週刊MLBレポート2026(毎週木曜日更新)

ESPNが、一平事件を扱ったポッドキャストを公開 大谷翔平を裏切った元通訳の“肉声”が語る真実とは?

丹羽政善

2024年6月(※日時はすべて現地時間)、連邦地裁に出廷し罪を認めた水原一平被告 【Photo by Paul Bersebach/MediaNews Group/Orange County Register via Getty Images】

水原氏にインタビューした記者が抱いた疑問

 それは紛れもなく、水原一平の声。ボソボソと話すのは彼の特徴だ。しかし、何かに怯え、ときに声を震わせる。それは彼が公で残した最後の肉声だった。

 米スポーツ有線局「ESPN」のポッドキャストにて、「大谷翔平に対する裏切り」というプログラム(全6回)が先週から配信され、話題だ。

 水原受刑者が違法賭博で借金を作り、大谷の口座から送金してその穴埋めを行った事件。

 番組では、水原受刑者だけではなく、違法賭博の胴元であるマット・ボイヤー、水原受刑者の学生時代の同級生2人、連邦捜査官らにもインタビューし、事件の真相だけではなく、なぜ、そうした事件が起きたのか。米国における違法スポーツ賭博とマネーロンダリングの実態、また、カモを見つけたときにそれをはめる手口、水原受刑者が堕ちたギャンブルの中毒性といった背景にも触れられている。

 ただ、前半のハイライトは、なんといっても2024年3月20日に韓国で行われたMLB開幕戦の試合前に実施された水原受刑者へのインタビュー。エピソード2でそれは紹介されるが、水原受刑者自身の言葉で経緯が語られる。これまでコメントとしては公になっていたが、音声が公開されるのは初めて。
 
 何があったのか。あくまでも水原受刑者の証言をもとに整理すると……。

・ポーカーをやっているときにマット・ボイヤーが近づいてきた。自分が大谷の通訳だということを知っていたようだ
・スポーツベッティングの仕事をしているとボイヤーは自己紹介した。その後、自分のための口座を開設し、その時点でクレジット(賭けをするための資金)を用意してくれた
・違法だとは最後まで気づかなかった
・大谷のライフスタイルに合わせるため、日々、生活費のやりくりに苦労しており、ギャンブルでその穴埋めをしようと考えた
・ドジャースに移ってから年収(30万ドル~50万ドルの間)が増えたが、足りなかった
・負けが続くと、その負債を返済しようとさらにギャンブルにのめり込んだ
・負債の返済を求められると大谷に事情を明かし、大谷の銀行口座から送金。その際、一緒に手続きを行った。その額は少なくとも450万ドル以上
・負債を抱えたとき、誰かが家に来るのではないかと恐れた

 もっとも、インタビューをしたティシャ・トンプソン記者は多くの点で疑問を持った。

・合法であれば、クレジットカードや身分証明書を登録することなく口座を開設できない。そもそも信用枠が事前に与えられることはない
・合法であるなら、借金取りが家に来ることもない。つまり、本当は違法だと知っていたのではないか?
・水原受刑者には大谷を犯罪に巻き込んだという自覚はないのか?
・振り込みの際、「ローン」と記した。融資には所得税がかからない。虚偽であれば相手の脱税に大谷を加担させたことになる
→3番目と4番目の指摘に対し、水原受刑者は合法だと思っていたと主張
・水原受刑者が恐れたのは世間の目。捜査ではなかった

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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