「最後まで楽しめるメンタル」「自分だったらあんなに…」 プレーオフ直前に見た桑木志帆の強さ/解説・宮里藍&上田桃子
データをアプリで解析。減量にも成功
上田 彼女自身がもともと、こういうタイプの選手だったわけではない気がするんです。試合を重ね、経験を重ね、誰かからの影響を受け取って、自分でトライアンドエラーを繰り返して今のスタイルにたどり着いた。技術的なものだけでない、いろんな角度からのトライがあった上で優勝に繋がったはずです。
宮里 同じブリヂストンスポーツ契約の選手ということもあって、数年前に(国内女子ツアーの大会で)座談会に参加したとき、お話をしたことを思い出します。まだ桑木選手がツアーで初優勝する前のことでした。会話の中で、自分に必要な情報を的確にピックアップできるセンスを彼女から強く感じました。
――桑木選手は国内ツアー「宮里藍 サントリーレディス」で優勝して出場権を獲得した全英女子で優勝
宮里 もう、ありがたい、ありがたいという感じです(笑) 6月の「全米女子オープン」で自分のスタイルが通用するという手ごたえを感じてから、わずか1カ月半でこんなにゴルフが変わるのかと驚きます。メジャーでしかできない経験の重さのすごみも改めて思い知らされました。
揺るがぬ支配力はいかに…「世界1位」への期待
上田 やはりプレーオフで勝つのと負けてしまうのでは、現実的にかなりの差が出ます。渋野日向子選手もそうでしたが、大きなチャンスが到来して勝ち切れたことで、キャリアのレベルを上げる勢いがつくことでしょう。変に考えすぎて、気持ちにブレーキをかけることなく、右肩上がりの波に乗って頑張ってほしいと思います。
上田 「どうしてこんなに強いんだろう」と私も疑問に思います。もう想像の範ちゅうを越えている。要因はいくつもあると思います。昔では考えられないほど早く、情報を手に入れられるようになったり、桑木選手のようにデータを蓄積できる時代にもなった。藍プロをはじめ、先輩選手たちがいろんなことを見せてくれて来たことも大きい。渋野さんが全英女子で優勝してから、岡山のジュニアゴルファーもすごく増えたそうです。近い世代、身近な選手たちが周囲に良い影響を与えてくれています。
宮里 あとは…世界ランキング1位になる選手が早く出てきてほしいですね。ネリー・コルダ選手、リディア・コー選手のような揺るがない支配力を持ち合わせた強さが備わるかどうかが、これからの日本選手の課題になると思います。母国でない国で戦うというハンディキャップは確かにあります。私たちがプレーしていた時代とはゴルフというスポーツそのものの在り方が違う。五輪種目にもなり、スポーツとしての格も上がった。その中で、選手たちがより進化するためには、もう一つ、二つ大きな壁があるのではないかと思います。今はまだその壁がどういったものなのかは分かりませんが、乗り越えて、頂点に立ってほしいなという気持ちです。