「最後まで楽しめるメンタル」「自分だったらあんなに…」 プレーオフ直前に見た桑木志帆の強さ/解説・宮里藍&上田桃子

桂川洋一(GDO)

【撮影:村上航(GDO) 】

 2026年のメジャー最終戦を桑木志帆が制した。昨年の山下美夢有に続いて日本勢が「全英女子オープン」で連勝。日本女子ゴルフのレジェンド、宮里藍と上田桃子はU-NEXTの「日本勢徹底マークLIVE」チャンネルで初めて解説者として放送席で並び、快挙の瞬間を一緒に見届けた。

同組の選手がミスしても…自分のイメージで打てる強さ

――日本勢7人目の女子メジャー覇者が誕生

宮里藍(以下、宮里) 今のメジャーでプレーする選手の皆さんの技術や感覚が、自分が現役でプレーしていたときと全く違うと改めて痛感しました。桑木選手が技術の高さはもちろん、この大きな舞台で最後まで楽しめるメンタルの強さをすでに持ち合わせていることが、ただただすごいと感じます。

優勝が決まり、シャンパンで祝福される桑木 【Photo by Charlie Crowhurst/R&A/R&A via Getty Images 】

上田桃子(以下、上田) 解説をさせていただきながら、私は14番ホールくらいからずっと緊張していました。最後まで続いた素晴らしいプレーぶりも、表彰式でのインタビューも、画面で様子を眺めながら、「自分だったらあんなに落ち着いてできるだろうか…」と考えていました。スピーチも含めて本当に素晴らしかったと思います。

宮里 だいぶ早い段階で緊張したんだね(笑) 私はプレーオフに入ってからだったでしょうか。まるで親になった気分で観ていて、感情移入しすぎて疲れました。

――3打差の2位から中盤に首位を捕らえてプレーオフへ

上田 スタートの1番(パー3)で第1打をグリーン右に外しながらパーを拾い、滑り出しは理想的でした。その後は5ホール近く続けて惜しいパットが続きましたが、無理をし過ぎることなくプレーする姿が印象的でした。一日を通して、ウェッジでショットできるときにピンを狙い、その他のケースでは広いサイドからバーディパットを打つようなマネジメントを徹底していたように思います。

プレーオフ2ホール目、桑木は周囲を埋めるギャラリーを見渡しながら笑顔 【Photo by Kate McShane/R&A/R&A via Getty Images 】

宮里 折り返しの9番(パー3)、ピンそば1mにつけてバーディに繋げたティショットが大きかった。同じ組のユ・ヘラン(韓国)選手がグリーン右手前にミスをした直後でしたが、気持ちに線を引き、自分のイメージを大切にして打ったのだろうと思います。簡単なことではありません。経験で時間をかけて補うべきもので、優勝争いの場面でそういった対応ができたことが素晴らしかったです。

決戦の準備ができなくとも…貫いたスタンス

――プレーオフ1ホール目、第1打を右のブッシュに入れながらパーセーブ

宮里 最終組は桑木選手の組の2つ後ろで、クラブハウスリーダーでホールアウトしてから、長く待たされる時間がありました。ディスアドバンテージがあると思いましたが、ピンチで冷静に、ブッシュからあっという間にフェアウェイに刻んで3打目勝負を決断しました(3打目をピンそば1m強につけてパーを拾い、2ホール目に持ち込んだ)。その勝負強さは相手をやりにくくさせる。ちょっとした攻めの姿勢が、最終的には全英の優勝にもつながると改めて勉強させてもらいました。

プレーオフ1ホール目、桑木は右サイドのブッシュから第2打を放つ 【Photo by David Cannon/Getty Images 】

――プレーオフが決まるまで桑木選手は練習をしなかったが?

上田 気温が下がって寒くなり、正規のホールで頭もかなり疲れていたはずです。彼女は今週、「無理をしない、余計なことをしない、無駄なエネルギーを使わない」プレースタイルのままでした。(正規のホールで)前の組を待っているときに素振りを増やすわけでもなかった。打つ番が回ってきたときに、一気に集中できている様子がうかがえました。

宮里 ひょっとしたら、(大会側の要請などで)練習したくてもできなかった状況だったのかもしれません。いずれにしても、プレーを楽しむことをテーマに、最後までそれを貫き通したことが素晴らしかった。他の選手のプレーを笑顔で見ている姿も好感を持てましたし、彼女が決めたことは、第三者にどうこう言われるべきものではありません。

桑木は優勝トロフィーを手に、現地のこどもたちとハイタッチ 【Photo by Warren Little/Getty Images 】

上田 今の選手たちはもう、“プレッシャーとの駆け引き”とは違うところで戦っている気がします。私はキャリアを通じて「メンタルをどうすべきか」といったところに力を注ぎ、最後まで克服できないまま終わってしまいました。桑木選手のきょうのプレーを見ていると、緊張している様子が全くなく、逆に心境を聞いてみたいと思うほどです。

1/2ページ

著者プロフィール

当サイトには一部アフィリエイトリンクが含まれています。

リンクから商品・サービスをご購入いただいた場合、スポーツナビに収益が発生することがあります。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント