有望株の20歳・川野琢磨が元チームメイトから受けた刺激 精巣がんから復帰のイタリア代表ガラッシが世界に伝えた言葉とは?

田中夕子

石川祐希(中央)らも躍動。ネーションズリーグで“強い日本代表”を印象付けている 【写真は共同】

バレーボール人気の高さを示すこととなったB代表戦

 ネーションズリーグで“強い日本代表”を印象付けた男子バレー。ネーションズリーグ決勝トーナメントでも準々決勝で中国に勝利し、2024年の銀メダル以来となるメダル獲得に向け、8月1日(日本時間)には準決勝に臨む。

 対戦するのは2年後の五輪開催国であり世界ランク6位のアメリカ。準々決勝でそのアメリカに敗れはしたが、世界ランク2位のイタリアは、大阪の激闘から9日後の24日にとどろきアリーナで日本B代表との親善試合に臨んでいた。

 決勝トーナメントが開催される中国に向けた時差調整も兼ねてはいたが、B代表にとっては貴重な実践の場。19時開始の試合が行われるとどろきアリーナには、大勢の観客が訪れ、ネーションズリーグだけでなくバレーボール人気の高さを示す光景となった。

 公式戦ではなく親善試合であるため、試合は通常の5セットマッチではなくどちらかが3-0で試合が決したとしてもプラス1セットがボーナスとして行われる特別仕様。ネーションズリーグで日本と対峙した際に出場したシモーネ・ジャネッリはリザーブに回り、これまで出場機会があまり多くなかった選手たちがプレーしたイタリアは総合力の高さを見せ、3-0、ボーナスセットも制した4-0で勝利した。

 日本も直前までA代表に帯同していたミドルブロッカーの西川馨太郎や、アウトサイドヒッターの後藤陸翔、主将の新井雄大といった面々が存在感を発揮したが、実はこの1戦に特別な思いを持って臨んでいた選手がいる。

 この翌日に20歳の誕生日を迎えたアウトサイドヒッターの川野琢磨だ。

イタリア代表戦で再会した、かつてのチームメイト

20歳となった川野琢磨。ピアチェンツァでの一枚 【写真:田中夕子】

 早稲田大2年で、春季リーグや東日本インカレ制覇に貢献しただけでなく、強化育成選手としてSVリーグの東京グレートベアーズとも契約する197センチ。将来を嘱望されるアウトサイドヒッターの1人でもあり、早稲田大入学前、駿台学園高で春高バレーを3年連続で制した直後の25年1月には日本バレーボール協会の強化育成選手に選出され、イタリアのピアチェンツァへ短期留学という形で1月末から3月まで派遣された。

 その時にチームメイトとして異国での日々を過ごしたのが、今回来日したイタリア代表のユーリ・ロマーノ、ジャンルカ・ガラッシ、アレッサンドロ・ボボレンタ。中でも2歳上のボボレンタは同じアパートの上の階に住んでいて、練習や試合時は同じ車に乗せて送迎してくれた間柄だ。

「自分がこんなに早く(日本代表に選出されて)親善試合で対峙できるようになるとは思わなかった」と目を輝かせながらも、「もっと出たかった」と本音も漏らす。かつてのチームメイトがイタリア代表としてプレーする姿は、川野に新たな刺激を与えていた。

「当時から練習に入れてもらってもブロックは全然止められなかったし、ディグも上がらなかった。すごい人達だというのはわかっていたつもりでしたけど、ボボ(ボボレンタ)は今日の(親善)試合でもずっと決めるし、こんなにすごい選手だったんだ、と改めて感じました」

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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